足利事件 近頃の現象［六十八］

足利事件　「17年間の人生返して」

　「今までの17年間の人生を返してもらいたい」。釈放された菅家利和さん（62）は千葉刑務所を出た後、千葉市内のホテルで記者会見し、「本当にうれしく思います」と語る一方で、「わたしは犯人ではありません」と声を震わせ、刑事司法に重い十字架を突き付けた。(時事通信)
　　
【雑感】これはエライ事になった。１７年というのは取り返しがつかない時間である。働き盛りの大事な時期を奪われ、還暦を過ぎてから再出発というのはシンドイ。晴れて無罪となっても、「犯罪者」というレッテルと偏見はなかなか剥がれず、今後も嫌な思いをすることになるだろう。１７年という時間も残酷だが、実際の損失は１７年では済まないのだ。
　
　菅家氏はまだ死刑囚よりはいい。これまで死刑になってしまった人々の中で、冤罪が混じっている可能性は当然ある。死刑となったら、もはや完全に手遅れでやり直しがきかない。
　近年は厳罰化の風潮で死刑判決や死刑執行が増えてくる傾向にあったが、裁判員制度導入もあり、ここでブレーキがかかってしまうだろう。
　
　私は死刑廃止論者ではないが、冤罪だけが怖い。いや、冤罪を生む土壌をなんとか改めないと、死刑を廃止したらますます冤罪が増えてしまう可能性を危惧する。
　
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