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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「アイ・アム・レジェンド」

アイ・アム・レジェンド
ウィル・スミスの泣顔にもらい泣き


 

【公開年】2007年  【制作国】米  【時間】100分  【監督】フランシス・ローレンス
【原作】リチャード・マシスン        
【出演】ウィル・スミス(ロバート・ネビル)  アリシー・ブラガ(アナ)  ダッシュ・ミホク(アルファ・メイル)     
 
【成分】泣ける 悲しい ファンタジー パニック 不気味 恐怖 勇敢 知的 かっこいい バイオ 終末 SF
 
【特徴】ゾンビ映画に影響を与えた「地球最後の男」の2度目のリメイク。最新のCGを使ってのリアルなニューヨーク廃墟が素晴らしい。前半の犬との生活は静寂感に満ちてグッド。1人と1匹が暮らす快適なアジトにはけっこう憧れる。ときおり見せるウィル・スミスの泣顔にはもらい泣きする。
 後半に登場するミュータントの存在は賛否分かれているが、原作に沿うことを考えたらやむを得ない。
 
【効能】前半の静寂感と緊張感はリアルで幻想的。愛犬家は泣くかもしれない。
 
【副作用】前半と後半とでは物語の雰囲気が変わるので、戸惑う場合がある。。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。


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いっそ、犬を主人公にすべきだった。
 
 予告編にもあるように、ウィル・スミス氏の傍らにいる犬が良い演技をしている。物語前半は、廃墟と化した静寂のニューヨークでウィル・スミス氏と犬との「2人芝居」が延々続く。おそらく予告編に期待した方々も、それが目当てで観に行くだろう。
 
 新種ウイルスが全世界に蔓延し人類は滅亡?、主人公と愛犬だけが生き残る。リアルな廃墟の大都会でセキュリティー万全の要塞のような設備の自宅を構え、大容量の自家発電機で以前と変わらぬ快適な生活を犬とともに営んでいる。(余談1)
 朝、犬とともに目をさますと、以前に録画したニュース番組をテレビに映してかつての「出勤前の朝」を演出し、犬とともに健康器具で運動不足を補い、大量にストックした保存食と調味料で朝食をとる。元は公園だったらしい自家菜園から野菜を取り、誰もいないDVD屋からディスクを失敬し、港に停泊している無人の空母からゴルフに独り興じる。愛犬は常に主人公に付き添い、狩の際は有能な助手となる。愛犬は、今は亡き幼い娘が可愛がっていた形見のようなものなので、主人公にとっては特別な思い入れがある。

 他のレビュアーの感想をみると、後半のゾンビの群れが登場することで幻滅された方が多いが、元々の物語がそうなのだから仕方がない。それを省いてしまったら、リメイクではなく全く新しい物語になってしまう。私としては、思い切って新しい物語にするべきだったのではないかと思うのだが、制作者側が自ら「リメイク」という足枷をつけてしまったから、やむを得ないだろう。
 この映画は3度めのリメイクだ。1回目の「地球最後の男」は未見だが、後のゾンビ映画に強い影響を与えた伝説の作品である。だからリメイクである以上はゾンビは登場せざるを得ないのだ。1回目では正確に言うとウイルスで吸血鬼と化した群衆がゾンビのようなウスノロ動作で主人公に襲い掛かる。さらにウイルスに巧く適合して人間性を失わず新人類へと進化したミュータントが逆襲して「最後の旧人類」は駆逐される。(余談2)。
 2回目はチャルトン・ヘストン氏主演の「オメガマン」、これは昔観たような記憶がある。CGの無い時代で無人の街を一台の車が疾走するシーンは映画史に残る描写だと思う。ヒロインは若い黒人女性で、主人公を襲うミュータントは顔を白く塗った黒人たちというのが印象に残っている。ヘストン氏は如何にも尊大なアメリカンヒーローという感じだった。

 そして3回目、主人公のキャラ設定は良いし、愛犬との「二人三脚」の生活も新機軸だ。廃墟のニューヨークも美しい画像だ。吸血鬼の設定を改編して、ウイルスの作用で紫外線に弱くなり体毛が抜けて凶暴化するのも悪くない。
 しかし、CGが発達した今では残念ながらインパクトは少ない。「三丁目の夕日」で昭和三十年代の東京を再現した画像よりは遥かに精巧でリアリティーがある。さすがはハリウッドだ。とはいえ全世界から人材と金が集るのだから出来て当然の感もある。

 もっとも残念だったのは、ミュータント登場を省略し、主人公以外にも大勢の生存者を登場させてしまったことだ。その時、ジョン・マイケル・ビンセント氏主演の「世界が燃えつきる日」のラストを思い出してしまった。(余談3)
 いっそのこと、主人公を思い切って犬にして、ネビル中佐亡き後も優しい主人を思い出しながら逞しく生き残る話のほうが良かったのではないか。

(余談1)電力はいいとしても、水道設備が3年もメンテ無しで機能しているのは不自然だ。それともアメリカは遠まわしに自国のインフラ設備の優秀さを自慢しているのか?
 
(余談2)この映画の影響だと思うが、藤子F不二雄氏が「流血鬼」という作品を残している。「ドラえもん」と同じ綺麗な画風で読みきりの短編ながら、「アイ・アム・レジェンド」に負けない迫力満点作に仕上がっている。最後のオチは主人公も感染して皆の仲間入りしてハッピーエンド。ウイルスのおかげで知力体力が倍増し夜行性動物に変わったこと以外は今まで通りの生活が始まる。

(余談3)最終戦争後の文明が崩壊した世界が舞台なのに、ラストで主人公たちが辿り付いたゴールの町は無傷のアメリカ西海岸の観光地のようだった。当然、大勢の住民がいる。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV) リチャード・マシスン
藤子不二雄少年SF短編集 (第2巻) (てんとう虫コミックス―別コロ版)


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