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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「地球最後の男 オメガマン」 ストレス解消活劇〔40〕 

地球最後の男 オメガマン
チャルトン・ヘストン、マッチョに孤軍奮闘!
時代を感じさせる革新的雰囲気に郷愁

 

 
【原題】The Omega Man
【公開年】1971年  【制作国】亜米利加  【時間】99分  
【監督】ボリス・セイガル
【原作】リチャード・マシスン
【音楽】ロン・グレーナー
【脚本】リチャード・マシスン ジョン・ウィリアム ジョイス・H・コリントン
【言語】イングランド語        
【出演】チャルトン・ヘストン(ロバート・ネビル)  ロザリンド・キャッシュ(リサ)  アンソニー・ザーブ(マシアス)  ポール・コスロ(ダッチ)  リンカーン・キルパトリック(ザカリー)  エリック・ラニューヴィル(リッチー)  ジル・ジラルディ(少女)     
 
【成分】悲しい ファンタジー 不気味 恐怖 勇敢 かっこいい バイオ 終末 SF
 
【特徴】ゾンビ映画に影響を与えた「地球最後の男」の最初のリメイク。CG無しで無人のロスアンジエルスを表現、反体制的大ロックコンサート「ウッドストック・フェスティバル」の記録映画をネビルが独りで観る場面は効果的に寂寞感を演出するとともに時代を感じさせる。当時の映画職人の気迫だ。
 
【効能】パワフルで知的なチャルトン・ヘストンに男の理想像が見える。
 
【副作用】マッチョなアメリカンヒーローなので胡散臭い。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
チャルトン・ヘストン氏のB級娯楽劇
 
 ゾンビ映画に影響を与えた「地球最後の男」(シドニー・サルコウ監督 64年米・伊)の最初のリメイクだ。ウィル・スミス氏と犬との共演版の前作にあたる。かなり昔に観た映画なので内容は随分忘れてしまっている。

 印象に残っているのは、大アメリカを象徴する大御所俳優チャルトン・ヘストン氏が無人のロスアンジェルスをスポーツカーで疾走する場面と、真夜中に黒いフードを被った白塗りの集団が襲い掛かってくることと、ヒロインが黒人の若い女性でショッピングセンターの衣料服売り場でマネキンの振りをしていた事ぐらいだ。(余談1)

 チャルトン・ヘストン氏は「ベン・ハー」や「猿の惑星」などの超大作に出演する大物俳優のイメージが強いが、この映画の内容はどう考えてもB級といったほうが良い。たしかにCGの無い時代なので無人の街を疾走する場面などを撮影しているから、見た目ほど低予算ではないはずだが安っぽさが目立った。

 そういう意味では、1作目は後のゾンビ映画のスタイルを確立させた始祖的な映画として歴史に残っているし、3作目はウィル・スミス氏と犬との名共演や雑草が生い茂る廃墟のニューヨークをリアルに描写した目玉があるのに対し、2作目はイマイチ華が無い。

 原因は物語の構成と設定の強引さと、大物俳優に気を遣ったのかヘストン氏のマッチョぶりを強調させた結果、善玉のヒーローに見えにくくなっているからだ。
 3作目は医療目的に作られたウイルスが暴走して人類を壊滅させ、辛うじて生き残った感染者も体毛が抜けて夜行性の凶暴な恐ろしい肉食獣に変質したた事になっている。2作目の場合は中ソ戦争が勃発し細菌兵器を使用したために人類が壊滅状態になり、生き残った感染者は顔面が蒼白になって紫外線に弱くなり夜行性になるのは同じだが人間らしい知性があった。(余談1)
 
 行動も理がある。まず感染者たちは自分たちを新しい人類と規定し、人類を壊滅させたのは大量破壊兵器を生み出した旧人類の「文明」なので、文明を象徴する存在は破壊する。ヘストン氏扮するネビルは文明社会の未だに文明の利器に頼る旧人類そのものであり敵である。
 対してヘストン氏は、原始的な投石器で攻撃してくる新人類たちに向かって自動小銃を乱射して迎え撃つ。しかもたびたび諸肌脱ぐ。如何にも筋骨逞しい肉体を見せびらかしながら銃火器を勇ましく派手に撃つ胡散臭いアメリカンヒーローそのもので、善玉には思えなかった。

 3度目の主人公であるウィル・スミス氏の目を赤くした泣き顔のほうが遥かに感情移入できる。体毛の無い肉食獣に成り下がったダークシェーカーのほうが恐怖だ。2作目の人間らしい感染者を見ていると、どうしてもウイルスを撃退するワクチンを開発しなければならない必然性が薄いし、それは同時にネビルと感染者が殺し合う必然性も薄い。ただ徒に大した武器を持たない感染者の集団に機関銃をぶっ放すマッチョなヘストン氏が悪意に見えてしまう。(余談2)

 これは私の想像だが、たぶん藤子F不二雄氏もこれに不満をもって「流血鬼」という作品を発表したのではないか? 時期的に見て「オメガマン」の少し後だ。「流血鬼」の主人公は最後まで抵抗するが、ガールフレンドが噛み付いて感染者になり、最後のオチは昼夜逆転しただけで今まで通りの楽しい日常が始まる。
 
 ただ、伝説の平和祭典であるロックミュージックの大野外コンサート「ウッドストック」のドキュメント映像を主人公ネビルが観ていたり、黒人少女と恋に落ちるなど、時代を感じさせる革新的雰囲気がある。また、チャルトン・ヘストン氏自身も当時は保守右翼というよりは保守左派といった感じで、人種差別撤廃を訴えるワシントン大行進に参加していた。

(余談1)新人類の容姿は、不気味なカルト教団の信徒みたいな感じだ。当時、アメリカではカルト教団の台頭が社会問題になっていた。
 また当時は中国とソ連は政治的にも対立し、国境線でも紛争が頻発していて緊張状態だった。小学生の頃に聞いていた短波の北京放送で女性アナウンサーが流暢な日本語でソ連のことを「帝国主義超大国」呼んで非難していた。
 そういう意味では、時代を良く現した映画といえる。

(余談2)ヘストン氏は全米ライフル協会の会長である。鉄砲はアメリカの命と言い切る市民たちの総元締である。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
晴雨堂関連作品案内
地球最後の男 [DVD] シドニー・サルコウ
アイ・アム・レジェンド 特別版(2枚組) [DVD] フランシス・ローレンス
 
晴雨堂関連書籍案内
アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV) リチャード・マシスン
藤子不二雄少年SF短編集 (第2巻) (てんとう虫コミックス―別コロ版)


 
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ものは試しとTBしてみましたが、やはり入りませんでした。URL欄に記事URLを差し込んでおきました。

最初の映画化は観ていません。
「アイ・アム・レジェンド」は意外にも具体性を欠いていて、僕は本作の方が僅かに楽しめました。ゾンビもどきはちまたに溢れ、もううんざりという理由もあります。
本作でのヘストンは最後にキリストの磔姿で死にますので、カルト集団みたいな連中との対比と併せて、確かにカルト宗教風刺の側面がありますね。
[ 2009/06/09 00:15 ] [ 編集 ]
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