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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「かもめ食堂」 カップルで癒されたい時に〔9〕 

かもめ食堂
全編に漂うゆったりとした朝の食卓の香り。




【公開年】2005年  【制作国】日本国  【時間】102分  【監督】荻上直子
【原作】群ようこ
【脚本】群ようこ
【言語】日本語 フィンランド語        
【出演】小林聡美(サチエ)  片桐はいり(ミドリ)  もたいまさこ(マサコ)  マルック・ペルトラ(マッティ)  ヤルッコ・ニエミ(トンミ・ヒルトネン)     
 
【成分】穏やか かわいい 知的 楽しい 食卓 フィンランド
 
【特徴】フィンランドを舞台に日本人が経営する「かもめ食堂」を介してほのぼのとした人間模様。ゆったりと静かな朝の食卓と昼下がりのお茶の時間が全編にわたって続いている感じである。こんなサ店があれば常連になりたくなるだろう。
 
【効能】映画に理想的な食卓が見えるかもしれない。
 
【副作用】ほとんど物語に必要なメリハリ(同じことが実際の日常で起こったら、けっこう波乱万丈だが)がないので退屈するかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
何気ない日常を集めた佳作
 
 今(2007年)でも食パンのCMで「かもめ食堂」が登場する。ただ、本編の「かもめ食堂」のメイン料理は御飯に焼き魚といった日本食の朝の定番で、CMのような厚切りのサンドイッチは出てこない。

 フィンランドのヘルシンキにあるカフェレストが舞台だ。主人公は30代後半(余談1)の女性。客席20くらいの食堂を切り盛りしている。
 実際に私の知人夫妻がやっているカフェレストも、開店当初は閑古鳥で私の貸切状態の日々もあったが、次第に常連客が増えていき満席になるようになり、最近になって広い店舗へ移って行った。この映画も同様の形でささやかなハッピーエンドになる。満席になった賑やかな朝の食堂、食堂の外にもテーブルを置いていることから繁盛していることが覗われる。

 ストーリーは何気ない日常が延々つづく。何気ないというのは正確ではない。エンターテイメントの世界では何気ない淡々とした描写だが、現実世界の日常であれば日記に記したり家族に話したりするであろうサプライズの連続である。

 異国の地で黙々と食器を磨いているときに、日本語を話す日本かぶれの青年(余談2)がやってきて常連になる。
 カフェが併設されている本屋に立ち寄ると、ムーミンの邦訳本を読んでいる女性を見かけ「あっ、日本人だ」と思って話し掛ける。それが縁でその女性が店のメンバーになる。
 シナモンロールに釣られてカシマシおばさん達が常連になっていく。
 もうひとり日本人のオバサンがやってきて常連になり、やがて店のメンバーになる。(余談3)
 恐そうなオバサンがやってきて酔いつぶれる。
 
 これら日常の「ちょっとした大事件」や「ちょっとした感動」を、デフォルメ臭の無い身近に居そうな登場人物が体験していく。「映画」という世界であれば地味な出来事ばかりだが、現実の日常であれば十分劇的なシチュエーションだ。これが作品のリアリティーと面白さを高め、テーブルに置かれた白いコーヒーカップから漂う朝一の珈琲、清潔な厨房の焼き網の上で程よく焦げ目がついている鮭の大きな切り身や、フライパンの上で仄かな生姜の香が漂いそうな豚肉の炒め物、シナモンとバターの香りのロールパン、白米と海苔の香ばしさと薄い塩味の握り飯。店主たちと交わす簡単な挨拶と会話、かつて夜勤からの帰り道に立ち寄ったお気に入りのカフェで過ごした時間を思い出す。
 
 主人公や「店員」となる2人の女性の過去や恋愛や家族模様を敢えて割愛し、ほぼ「かもめ食堂」の世界に限定した物語にしたのが正解だった。下手に波乱愛憎劇を加えると飯が不味くなるところだ。
 「かもめ食堂」という映画は、甘ったるいケーキ菓子のようなラブストーリーであってはいけないし、スパイスが効きすぎた活劇であってもいけないし、美食家が唸るクセのある山海の珍味であってもいけないし、国賓をもてなすような贅を尽くした文藝大作であってもいけない。
 爽やかな朝にとる御飯と御茶、温かい昼下がりに小腹へ入れるパン菓子と珈琲のような作品であるべきだし、その目的は達成している。

(余談1)小林聡美氏は学年でいうと私と同じだから映画公開時は40歳か。

(余談2)フィンランドは長らくロシアからの圧迫を受けてきた国であり、ゆえに大国ロシアと戦争をした日本に対し好感を持つ人がいる。
 かつては帝政ロシアの目玉バルチック艦隊を壊滅させた東郷平八郎元帥を讃えてビールを醸造した噂まである。聞くところによると、たしかに東郷ラベルのビールはあったそうだが、東郷提督を賞賛してというよりは、世界の有名提督シリーズの中の一つらしい。

(余談3)フィンランドの出入国制度は知らないが、「かもめ食堂」のメンバーに加わるミドリとマサコは観光客のはずだ。就労ビザとかはどうなっているのだろうか?
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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「かもめ食堂」オリジナル・サウンドトラック
めがね(3枚組) [DVD] 荻上直子
 
晴雨堂関連書籍案内
かもめ食堂 (幻冬舎文庫) 群ようこ
フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453)) 堀内都喜子


 
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