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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「茶々 天涯の貴妃(おんな)」 ストレス解消活劇〔41〕 

茶々 天涯の貴妃(おんな)」
元タカラジェンヌの
絢爛豪華な安土桃山ロマン

 

 
【公開年】2007年  【制作国】日本国  【時間】128分  【監督】橋本一
【原作】 井上靖
【脚本】 高田宏治
【出演】和央ようか茶々)  寺島しのぶ(小督)  富田靖子(はつ)  谷村美月(千姫)  吉野公佳(おまあ)  メイサツキ(きく)  中林大樹(豊臣秀頼)  近藤公園(大野治長)  高島礼子(大蔵御局)  余貴美子(北政所)  原田美枝子(お市の方)  中村獅童(徳川家康)  渡部篤郎(豊臣秀吉)  松方弘樹(織田信長)     
 
【成分】スペクタクル ゴージャス 勇敢 切ない かっこいい 安土桃山 江戸時代初期 17世紀 時代劇
 
【特徴】久しぶりの絢爛豪華な戦国絵巻。元宝塚歌劇団宙組トップスターが映画デビュー作で女帝淀君を熱演。眼光の鋭さが素敵。
 
【効能】CGのおかげもあって、壮大で日本離れした桃山文化と合戦場面を再現。リッチな気分になる。盆と正月に家族団欒で観ると雰囲気よし。
 
【副作用】和央ようか氏が時代劇に溶け込んでいないように見えて違和感。時代考証にこだわる人にはあからさまな脱線に不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
茶々は素晴らしい素材なのだが・・。
 
 大阪のとある駅前商店街を歩いていると、地元の古い映画館の入口にポスターが立てかけられていた。漢字で大きく「茶々」と書かれ、その上には豪華内掛けを着た若い女性の横顔があった。私の感覚では「美人」とは思えないが、大きな目に鋭い眼光、少し俯き加減の横顔に闘志がみなぎっている様はまさに茶々らしい。

 見た事の無い顔だったので、ひょっとして物凄い若手新人女優ではないか、と思ったらタカラジャンヌOB(余談1)だった。たしかに「映画俳優」としては新人だが、既に藝歴は長く10年程前に新設された宙組の男役スターだった。ポスターの横顔は20歳代前半のように見えたが、私よりたった2つ歳下、俳優としては青年から老年までを演じられる良い歳頃である。
 もし、茶々を演じた俳優が20歳前後の若手新人で和央ようか氏なみの演技だったら、この作品に対する印象はかなり好意的なものになっていたかもしれない。

 いわゆる正月用のエンタメ豪華時代劇で、時代考証の正確さは期待してはいけないし、多少の意図的な誤りや演出は目をつぶるべきだろう。これは「赤影」や「風雲ライオン丸」なとで、台詞に現代のスラングがあったり、篭手がバズーカ砲になったり、16世紀の世界で卍党の円盤型航空機やガスマスクを被った幹部が登場するのに目くじら立てては野暮なだけと同じである。

 安土桃山のゴージャスかつ血腥い舞台で、保護者たる父親・伯父・養父・母親と相次いで失い、若い身空で魑魅魍魎の戦国武将たちの中に放り込まれ、強かに世渡りして天下人にならんとする。さらに自分が倒れても姉妹の誰かが国母として生き残れば「我家」の勝ち、という発想は家の繁栄と存続を価値の第一に置く武家社会の、それも大名の女性であれば、さほど常軌を逸した考え方ではないだろう。(余談2)自分たちの血脈が天下人たちに受け継がれたら、してやったりというところか。物語としては面白い。

 ただ、個人的には不満は多い。時代考証のデタラメはあまりにも数が多いし、作品の目的は「娯楽大作」なので敢えて無視しても、気になる箇所がある。松方弘樹氏の信長は如何にも典型的なワザとらしい信長ぶり(余談3)であり、中村獅童氏は家康をやるよりも智将石田三成のほうが似合っていそうだし、秀吉は渡部篤郎氏よりも織田裕二氏のほうが適役ではないかと思う。

 茶々に南蛮風の黒い甲冑と黒マントを着せ騎馬姿を披露させたのは、なかなかの策だ。私は闘う女性ヒーローが大好きだ。制作者はエンタメというものを理解していて好印象をもったが、私が監督ならもっと踏み込んで細かい浮き彫り細工を施した銀色に光るセレブな西洋風甲冑を着せマントは派手に深紅だ。髪も綺麗に結って白銀のティアラをつけさす。そして打寄せる徳川勢に向かって、百発百中の鉄砲の腕前を披露し傍らでは小姓や足軽たちが10人がかりでせっせと茶々の射撃のために鉄砲の弾込め作業を行なう。(余談4)

 周囲を大軍に攻囲されているのだ。いくら太閤殿下が丹精こめて造った難攻不落の大坂城でも将兵の士気に陰りが出てくる。女が大将として兵たちを鼓舞するのであれば、やはり派手な桃山文化の時代だから黒を基調としたシックないでたちよりも、明るくて煌びやかな姿で現われるのではないか。兵たちに「俺たちの大将はまだお洒落をする余裕がある」「さすが信長様の血筋だ」というのをアッピールさせるのが自然だと思う。

 銭をかけた大作であるのは解説が無くてもよく判るが、しかし銭をかけすぎた大作となれば、作品への評価基準はその分あがってしまう。安土桃山を舞台にしたエンタメであれば、もっと茶々を活躍させてほしいところだ。
 茶々こと淀殿は稀代の悪女として描かれることが多いが、ヒロインに相応しい波乱万丈の人生をおくった女性であり、どの戦国大名よりも遥かに魅力的な素材だと思っている。

(余談1)私がお気に入りのタカラジャンヌは八千草薫氏だ。
 
(余談2)真田家も関ヶ原合戦時に兄弟で徳川方と豊臣方に分かれた。

(余談3)緒形直人氏の知的な信長が一番気に入っている。

(余談4)鬘が気に入らん。あの規格が定まった富士額は好かん。自毛の生え際を活かした鬘にし、広い額を魅せて知的で強い女性を描写してほしかった。残念だ。
 それから時代考証の誤りに目をつぶるのはやぶさかではないが、茶々らしさを出すため、史実どおりの座り方をしてほしかった。正座は17世紀後半に畳の普及とともに定着した座り方で、それ以前の日本人の座り方は胡座か片膝座りだ。当時の肖像画でも明らかなように、貴婦人でも片膝を立てた座り方をしている。
 何故か時代劇は考証に煩い大河ドラマでも女性には正座をさせる。茶々のキャラを考えたら、この作品では史実どおり片膝座りにしても良かったのではないか。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
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出てくる役者さんたちが、東映任侠映画の感じで、そのまま任侠時代劇!!というような感じでした。
2年前で、だいぶ詳細を忘れましたが、いちばん印象にないのが、茶々の顔です・・。
[ 2009/06/29 13:47 ] [ 編集 ]
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大掛かりな東映風、大任侠ちゃんばら歴史絵巻
[2009/06/29 11:57] 迷宮映画館
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