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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ターミネーター2」 感動からエナジーを得よう〔5〕

ターミネーター2」 稀有の続編傑作
 

 
【原題】Terminator 2: Judgment Day 
【公開年】1991年  【制作国】亜米利加  【時間】137分  
【監督】ジェームズ・キャメロン
【音楽】ブラッド・フィーデル
【脚本】ジェームズ・キャメロン ウィリアム・ウィッシャー
【言語】イングランド語
【出演】アーノルド・シュワルツェネッガー(T-800型ターミネーター)  リンダ・ハミルトンサラ・コナー)  エドワード・ファーロングジョン・コナー)  ロバート・パトリック(T-1000)  アール・ボーエン(ドクター・シルバーマン)  ジョー・モートン(マイルズ・ベネット・ダイソン)  ジャネット・ゴールドスタイン(ジャネル・ヴォイト)  ザンダー・バークレイ(トッド・ヴォイト)  S・エパサ・マーカーソン(タリッサ・ダイソン)  カストロ・グエラ(エンリケ・サルセダ)  ダニー・クックシー(ティム)     
 
【成分】泣ける 悲しい パニック 勇敢 知的 切ない かっこいい SF 1994年 アメリカ
 
【特徴】前作から10年余りが経過した時代が舞台。再び未来からターミネーターが2体も送られ、少年となったジョン・コナーは母親と一緒に闘う。
 今回のシュワちゃんは善玉ターミネーターを演じる。タイムトリップして現代に出現する場面も、前作はホラーチックだったが、今回はコミカルさも加わっている。
 前作よりも大幅に予算が増え、当時としては最新のCGを効果的に使用しているのが大評判。物語の構成も続編にありがちな強引さはなく、一層充実した内容だ。続編の金字塔といっても良い。
 
 それから、「エイリアン2」でボーイッシュで筋肉質ガッシリ体型の女性兵士バスケスを演じたジェニット・ゴールドスタイン氏がジョンを引き取った里親のくたびれた主婦を演じているのも興味深い。
 
【効能】シュワちゃんのアクションに興奮し、ラストのヒューマンな結末に感涙する。
 
【副作用】T-1000のホラーチックな殺し方に少し気分が悪くなるかも。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
続編の金字塔。 
 
 「ターミネーター」の思わぬ成功によって、当然の事ながら興行主はもうひと稼ぎをと続編制作を考える。ところが続編というのは当たらないジンクスがある。これは原作小説や漫画を映画化するのと同じで、そこそこ巧く作っても既成のファンが許さない。1作目を凌駕する映画ができて初めて評価される。
 もちろん興行のプロたちもそれは承知で、そこそこ儲けがあれば良いのだ。ターミネーターというキャラは完成されているので、上手くいけばシリーズ化も不可能ではない。

 ところが前作を凌駕する内容の濃い作品をキャメロン監督たちは成し遂げてしまうのだ。制作費も前作とは桁違いだが、興行成績も桁違い、物語も前作を踏襲しながら様々な要素を盛り込んで充実している。
 大きな目玉はCGである。潤沢な制作費のおかげで、当時はまだまだ黎明期である高価なCGがふんだんに使われた。前作はホラー映画調で恐怖をベースにしているが、本作ではコミカルさも盛り込まれている。

 一番の変化は、機械に対してアメリカ人は日本人のように愛情を持ち始めたことだ。日本人はしばしば機械を道具以上の存在として接し愛称までつける。手塚治虫氏の「鉄腕アトム」や藤子F不二雄氏の「ドラえもん」が典型例で、ロボットに対して嫌悪感は抱かないどころか家族の一員のように愛着をもつ。
 欧米ではどちらかといえばロボットに対して良いイメージは抱いていない。古くは「メトロポリス」の女性型アンドロイドや「2001年宇宙の旅」のHAL9000など。機械が叛乱を起こして人間を攻め滅ぼそうとする。ところが日本びいきのジョージ・ルーカス氏が「スターウォーズ」で善玉ロボットを登場させてきた辺りから変わってきた。
 本作もシュワルツェネッガー氏(以下「シュワちゃん」)演じるターミネーターは善玉として登場する。

 前作ではダサい女子大生風だったサラ=コナーは引締まった身体の女戦士に、少年ジョン=コナーと接する関係から少しずつ人間味を出していくシュワちゃん、そしていつも思うがハリウッドは子役が優れている。ジョン・コナー役のエドワード・ファーロング氏は子役スターになる。(余談2)
 どのエンタメ作も魅力ある悪役が登場しないと物語全体がつまらなくなる。特に続編の場合は成功の可否を握っていると私は思う。今回は液状化して姿を変える新型ターミネーター、変幻自在なので様々な人間に姿を変えるが、基本形はオールバックの短髪で髭なし警官の制服で通す。
 物語設定では警官の方が動きやすいメリットがあるし、演出としては無個性の風貌に無個性の制服が機械的にターゲットを追いかけるターミネーターにピッタリだ。物語後半ではサングラスにヘルメットと表情すらわからないくらい記号化されたきゃらになっている。これが前作のシュワちゃんとは違った不気味さが出て良い。
 
 物語は劇的かつヒューマンな結末でハッピーエンドとなる。また、キャメロン監督はそれで終えるはずだった。(余談3)

(余談1)前作のレビューで読者から指摘があった。サイボーグは生身の人間をベースにした機械化人間を指すのであって、ターミネーターはアンドロイドというべきだ、と。
 私もむかし生体の一部分が機械化したのがサイボーグと聞いた。単純にそれだけがサイボーグとロボットを分かつ定義であれば、ターミネーターはサイボーグになる。何故なら作中でメカはタイムトラベルできないという設定があり、そのためターミネーターも骸骨のようなメカに筋肉や血管や皮膚などの生きた組織で被って「生物」として転送されたからだ。
 また、人間がベースという定義なら、「ロボコップ」も殉職警官のまだ活きている脳細胞を使っている事からロボットではなくサイボーグとしなければならない。実際に作中でサイボーグと称しているところがある。その一方で大半が機械でほんの一部に生体を使っているからロボットだという理屈もある。
 ようするに、私は批判を否定はしないが、自分の意見も誤っているとは断じて思わない。しっかりとした定義は国際的な学者会議で行って、科学と言語学のレベルで取り決めて国際条約で法的コンセンサスを得てくれ。それまでは俺の解釈は正当である。

(余談2)作中で2人のサラ・コナーが登場する。一方はターミネーターの変化なのだが、公開当時は特撮と思い込んでいた。ところがリンダ・ハミルトン氏は双子の姉妹がいて、姉?だったか、映画のために出演した。最先端のCGや特撮を使いながら、なんと原始的な手段。しかも殺され役ならありえるとしても、まさかヒロインに双子がいるとは思わなかった。

(余談3)ノーカット版ではラストの後日談が出てくる。サラ・コナー婆さんと子供と戯れる大人のジョン・コナーだ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
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☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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