「青い珊瑚礁」
少年少女による遭難ファンタジー 【原題】The Blue Lagoon
【公開年】1980年
【制作国】亜米利加
【時間】105分
【監督】ランダル・クレイザー 【原作】ヘンリー・ドヴィア・スタックプール 【音楽】ベイジル・ポールドゥリス
【脚本】ダグラス・デイ・スチュワート
【言語】イングランド語
【出演】ブルック・シールズ(エメライン) クリストファー・アトキンズ(リチャード) ウィリアム・ダニエルズ(アーサー・レストレンジ) レオ・マッカーン(パディ・バトン) エルヴァ・ジョゼフソン(幼女期のエメライン) グレン・コーハン(幼年期のリチャード)
【成分】楽しい ファンタジー ロマン 切ない セクシー かわいい 遭難 南国
【特徴】南海の無人島に流れ着いた少年少女は、成長してアダムとイヴのように。劇場公開時、思春期の少年少女たちの間で大ブームとなった
サバイバルファンタジー。当時15歳の
ブルック・シールズが半裸で演技、健康的な美しさが超話題に。
登場人物は大自然の下で素直に愛を育む。露骨なセックス描写は無いので、少年少女の性教育入門編に適しているかもしれない。
【効能】恋愛に疲れた方々に恋愛の原点回帰をはかる事ができるかもしれない。
【副作用】サバイバル描写が甘すぎてリアリティが感じられない。
ブルック・シールズ氏の全裸を期待した方はガッカリ。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
ブルック・シールズの美しさが
過酷なサバイバルを幻想的にする 大ブームだった。70年代後半に思春期を過ごした方々にとっては思い出の作品である。なにしろ主演女優
ブルック・シールズ氏は「学年」でいうと私と全くの同世代、映画公開は私がまだ中学生の頃だった。同じ中学生の女の子が瑞々しい肢体を露わにする半裸姿で男の子と2人っきりの無人島生活、思春期とは発情期のようなものだから当然の成り行きで子供をもうけてしまう、そんな物語なので中高生たちの間で大評判にならないはずがない。(余談1)
日本の歌謡界ではこの映画をモチーフに歌が創られ、松田聖子氏が歌って大ヒットしたのも有名である。漫画界や漫画同人誌界でもタイトルは覚えていないが少年少女たちが遭難して隔離された地域で
サバイバルする物語がけっこう量産されていたように思う。(余談2)
物語としては、一応はつじつまが合うように配慮されていた。遭難時は壮年の船乗りと一緒に脱出していたので、船乗りから縄の結び方各種や食べ物の見分け方など生活技術を教わっている。南海の豊かな自然の孤島なので狩猟採集の生活でも2・3人なら不自由しない。防寒具を着る必要もないし雨露をしのげる場所があれば十分だ。
中盤に入る頃に頼りになる大人の船乗りは命を落とす。彼の遺体の口から蟲が出てくる様を見て恐怖で逃げ出す主人公たちの行動は子供らしくてリアルだ。少年は成長してから再び遺体を観に行き、白骨化した船乗りの遺体を見て自分の胸を撫でながら肋骨の形を確認する様も「小学生」的な好奇心で説得力がある。
設定では遭難時8歳と7歳の少年少女で、船乗りが事故死してからは2人だけの生活になる訳だから、中学生くらいの歳になっても会話の内容や発想の仕方は小学生のままだ。2人の初々しい演技は悪くない。
病気や出産は本当に2人だけで対処できるのだろうか、と疑問に思うことがあるが、都会でも独りで出産した人はいるし、コンビニが無いと生活できないという人でも
サバイバル世界に放り込まれたらそれなりに対処できるようになるものだ。映画では出てこないが、たぶん船乗りから他にも色々教わっているかもしれないし、船からエロ本の一冊でも持ち出しているかもしれない。
当時の多くの恋する青少年が憧れたアダムとイヴのような生活、そしてシチュエーション自体も不自然なところが思ったより少なく感情移入しやすいデキになってはいるが、どうしても不自然なところがある。これによって、リアリティーある
サバイバルではなくファンタジーになってしまった。
実際の海難
サバイバルの例を紹介しよう。
江戸時代中頃から後期にかけて廻船が難破して太平洋上の孤島鳥島へ漂着する事がしばしばあった。当時の鳥島は地名通りアホウドリの大生息地で、簡単に鶏肉を確保できたから深刻な飢餓状態にはならなかった。(余談3)また漂着者たちはアホウドリの脂肪が傷口の化膿を予防するに効果があることを見つけているので、比較的
サバイバルの条件は良いほうだ。
生還した人の記録によれば、鳥島に漂着したときに20年前からの先客遭難者が飛び出してきたので、鬼か野獣の類に見えてビックリして逃げたそうだ。髪は伸びきってボサボサ、色は日焼けと垢で真っ黒、衣服はボロボロだから、遭遇したときは恐怖だったろう。鳥島のような恵まれた環境でも、人相をすっかり変えてしまうほど過酷な生活なのだ。
説得力の無さは皮肉にも
ブルック・シールズ氏の栄養が行き届いた抜群の容姿端麗さが原因だ。思春期ファンタジーとしては悪くない作品である。
(余談1)実際に映画を観ると、別に主演の男女が契っている場面は露骨に出ていないし、隠すところは隠していたから、大半の友人たちは「しょーもな(つまらん)」とガッカリした。
ブルック・シールズ氏に憧れた男の子たちの多くが、後にジェニファ・コネリー氏にも夢中になるパターンにはまった。
後年、判ったことだが、このブルックの「
青い珊瑚礁」はリメイクで、40年代にジーン・シモンズ氏主演の映画が存在する。当時の彼女は19歳だ。いずれも美眉クッキリの女優が演じている。
(余談2)これら漫画の主人公たちは、何故か私服ではなく学生服にセーラー服あるいはジャージや体操着を着ていた。
レジャーなどでも、2人だけのキャンプというのが流行っていたようだ。
(余談3)アホウドリは警戒心が殆ど無く簡単に捕まえることができた。そのためこの名前がついた。しかし江戸後期になると、さすがにアホウドリも人間が恐い動物であることを認識するようになったので捕まえにくくなったそうだ。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作【受賞】第1回 ゴールデンラズベリー賞 最低主演女優賞 -
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SECRETS―BROOKE SHIELDS リウミセキ
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過酷なサバイバルを幻想的にする 大ブームだった。70年代後半に思春期を過ごした方々にとっては思い出の作品である。なにしろ主演女優
ブルック・シールズ氏は「学年」でいうと私と全くの同世代、映画公開は私がまだ中学生の頃だった。同じ中学生の女の子が瑞々しい肢体を露わにする半裸姿で男の子と2人っきりの無人島生活、思春期とは発情期のようなものだから当然の成り行きで子供をもうけてしまう、そんな物語なので中高生たちの間で大評判にならないはずがない。(余談1)
日本の歌謡界ではこの映画をモチーフに歌が創られ、松田聖子氏が歌って大ヒットしたのも有名である。漫画界や漫画同人誌界でもタイトルは覚えていないが少年少女たちが遭難して隔離された地域で
サバイバルする物語がけっこう量産されていたように思う。(余談2)
物語としては、一応はつじつまが合うように配慮されていた。遭難時は壮年の船乗りと一緒に脱出していたので、船乗りから縄の結び方各種や食べ物の見分け方など生活技術を教わっている。南海の豊かな自然の孤島なので狩猟採集の生活でも2・3人なら不自由しない。防寒具を着る必要もないし雨露をしのげる場所があれば十分だ。
中盤に入る頃に頼りになる大人の船乗りは命を落とす。彼の遺体の口から蟲が出てくる様を見て恐怖で逃げ出す主人公たちの行動は子供らしくてリアルだ。少年は成長してから再び遺体を観に行き、白骨化した船乗りの遺体を見て自分の胸を撫でながら肋骨の形を確認する様も「小学生」的な好奇心で説得力がある。
設定では遭難時8歳と7歳の少年少女で、船乗りが事故死してからは2人だけの生活になる訳だから、中学生くらいの歳になっても会話の内容や発想の仕方は小学生のままだ。2人の初々しい演技は悪くない。
病気や出産は本当に2人だけで対処できるのだろうか、と疑問に思うことがあるが、都会でも独りで出産した人はいるし、コンビニが無いと生活できないという人でも
サバイバル世界に放り込まれたらそれなりに対処できるようになるものだ。映画では出てこないが、たぶん船乗りから他にも色々教わっているかもしれないし、船からエロ本の一冊でも持ち出しているかもしれない。
当時の多くの恋する青少年が憧れたアダムとイヴのような生活、そしてシチュエーション自体も不自然なところが思ったより少なく感情移入しやすいデキになってはいるが、どうしても不自然なところがある。これによって、リアリティーある
サバイバルではなくファンタジーになってしまった。
実際の海難
サバイバルの例を紹介しよう。
江戸時代中頃から後期にかけて廻船が難破して太平洋上の孤島鳥島へ漂着する事がしばしばあった。当時の鳥島は地名通りアホウドリの大生息地で、簡単に鶏肉を確保できたから深刻な飢餓状態にはならなかった。(余談3)また漂着者たちはアホウドリの脂肪が傷口の化膿を予防するに効果があることを見つけているので、比較的
サバイバルの条件は良いほうだ。
生還した人の記録によれば、鳥島に漂着したときに20年前からの先客遭難者が飛び出してきたので、鬼か野獣の類に見えてビックリして逃げたそうだ。髪は伸びきってボサボサ、色は日焼けと垢で真っ黒、衣服はボロボロだから、遭遇したときは恐怖だったろう。鳥島のような恵まれた環境でも、人相をすっかり変えてしまうほど過酷な生活なのだ。
説得力の無さは皮肉にも
ブルック・シールズ氏の栄養が行き届いた抜群の容姿端麗さが原因だ。思春期ファンタジーとしては悪くない作品である。
(余談1)実際に映画を観ると、別に主演の男女が契っている場面は露骨に出ていないし、隠すところは隠していたから、大半の友人たちは「しょーもな(つまらん)」とガッカリした。
ブルック・シールズ氏に憧れた男の子たちの多くが、後にジェニファ・コネリー氏にも夢中になるパターンにはまった。
後年、判ったことだが、このブルックの「
青い珊瑚礁」はリメイクで、40年代にジーン・シモンズ氏主演の映画が存在する。当時の彼女は19歳だ。いずれも美眉クッキリの女優が演じている。
(余談2)これら漫画の主人公たちは、何故か私服ではなく学生服にセーラー服あるいはジャージや体操着を着ていた。
レジャーなどでも、2人だけのキャンプというのが流行っていたようだ。
(余談3)アホウドリは警戒心が殆ど無く簡単に捕まえることができた。そのためこの名前がついた。しかし江戸後期になると、さすがにアホウドリも人間が恐い動物であることを認識するようになったので捕まえにくくなったそうだ。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作【受賞】第1回 ゴールデンラズベリー賞 最低主演女優賞 -
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