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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「火の鳥」 家族と一緒に考えよう〔14〕 

火の鳥」 アニメと実写の融合
 
火の鳥 市川崑
(未ソフト化) 

【公開年】1978年  【制作国】日本国  【時間】120分  【監督】市川崑
【原作】手塚治虫
【音楽】深町純
【脚本】谷川俊太郎
【言語】日本語
【出演】高峰三枝子(女王ヒミコ)  若山富三郎(猿田彦将軍)  江守徹(王弟スサノオ)  草笛光子(女官イヨ)  大滝秀治(スクネ)  木原美知子(サヨ)  ピーター(ヌサ)  カルーセル麻紀(シメ)  風吹ジュン(オロ)  加藤武(クマソ族長カマムシ)  大原麗子(ヒナク)  林隆三(医師グズリ)  田中健(タケル)  尾美としのり(ナギ)  沖雅也(ウラジ)  草刈正雄(天弓彦)  由美かおる(ウズメ)  仲代達矢(高天原族長ジンギ)  伴淳三郎(まじない師)  潮哲也(マツロ王)  岡真佐子(火の鳥の声)    

【成分】笑える 悲しい ファンタジー スペクタクル ロマンチック パニック 勇敢 切ない アニメ 時代劇 邪馬台国 3世紀  

【特徴】手塚治虫氏のライフワーク的傑作「火の鳥・黎明編」を実写と一部アニメで映画化。監督は市川崑氏、アニメ部分を手塚治虫氏が手がけた伝説のコラボである。
 当時の有名スターが勢揃い、渋い時代劇俳優若山富三郎氏が原作通り御茶ノ水博士のような鼻メイクをしているのが微笑ましい。高峰三枝子氏の女王卑弥呼は貫禄のアタリ役、主題歌は熱血の松崎しげる氏。衣装はコシノジュンコ氏、考古学的にリアルな3世紀日本の風俗を見事に再現。

【効能】邪馬台国の繁栄と滅亡を描いているので物語が進むにつれて暗くなるが、ラストはまるで廃墟のあとに新たな芽生えがあり、明るい希望に包まれる。

【副作用】実写とアニメの融合に違和感。ギャグが滑って不快感。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
市川崑監督異色作Ⅱ。

 映画界の大御所・市川崑監督と漫画アニメ界の大御所・手塚治虫氏の共同制作。基本的には実写映画だが随所に手塚治虫アニメ総監督による動画が挿入されている。劇場公開時は実写にアニメを入れる事に違和感があり、アニメはアニメだけで、実写は実写だけで勝負して欲しかった。悪い意味で奇を衒った作品に見え、この印象は現在も変わっていない。(余談1)同様の感想を抱いたファンは私以外にも大勢いたはずで、制作者側もその後の続編映画化はアニメだけで勝負している。

 今にして思えば、けっこう味わいのある作品かな、と思えるようになった。興味深い例をあげれば、第一に参加している映画人の豪華さだ。前述したように、監督しているのは市川崑氏と手塚治虫氏の両巨頭である。衣装デザインはコシノジュンコ氏、主題歌は「愛のメモリー」大ヒットで驀進中の実力派歌手松崎しげる氏が担当し、俳優陣は主役から端役まで人件費が高そうな顔触れだ。

 物語は原作にほぼ沿って進められている。というより、制作者は偉大な漫画家の不朽の名作に忠実であろうと努めたように思える。主人公の1人猿田彦に扮しているのは勝新太郎氏の兄として知られる若山富三郎氏なのだが、「火の鳥」を読んでいる方なら御存知のように「猿田彦」は物語各編に登場するテングザルを太らしたような風貌のキャラだ。当然、男気キャラの俳優若山富三郎氏も原作漫画に倣って大きな鼻を付けたメイクを施されているのが微笑ましい。
 邪馬台国女王ヒミコに高峰三枝子氏、夏目雅子氏が三蔵法師に扮したTVドラマ「西遊記」では貫禄のお釈迦様に扮していたが、ヒミコもよく似合っている。そのヒミコの失脚を狙う女官の重鎮にこれまた見劣りしない草笛光子氏、他ピーター氏とカルーセル麻紀氏が女官に扮しているのも神憑り的な妖しさが膨らまされて良い絵である。
 子役時代の尾美としのり氏が本作デビュー作にして主演作というのも見逃せない。悲劇の少年ナギを演じる。その同い歳の恋人役には既に20歳を超えているはずの風吹ジュン氏が扮しているのもシュール、けっこう違和感がない。(尾美氏は私と同世代、風吹氏は5歳歳上の私の姉より4つほど上のはず)

 第二に興味深く思ったのは衣装である。映画パンフレットによれば当初は手塚治虫氏の原作に沿ったデザインで勝負しようと思っていたらしいが、時代考証を考慮したのと各国風俗の違いを映像的に強調するため、コシノジュンコ氏が3世紀の日本を体感できるよう当時の技術で制作できる衣装を考案した。
 主人公ナギが属していたクマソ国の如何にも原始的な粗末なボロ布的衣装に対して、卑弥呼・猿田彦ら邪馬台国軍の茶色を基調としたまとまった形の文明国的な衣装、そして仲代達矢氏扮するジンギ(余談2)の高天原族は北方騎馬民族を彷彿させる綿入れの高度な縫製技術を思わせる揃いの衣装で邪馬台国を上回る文明水準と軍事力を表している。

 私にとって不満なのは、原作ではスペクタクルな物語だったのが、実写ではこじんまりとした迫力の無い映像になってしまったことだ。ただ、当時の人口や動員兵力などを考えたら、映画の風景のほうが妥当で、「スパルタカス」や「ベン・ハー」のような大群衆はありえないかもしれない。
 猿田彦の恋人ウズメは由美かおる氏が扮しているが、彼女は実際に「火の鳥」の不老長寿の血を一口舐めているかも知れない。(余談3)

(余談1)唐突に鉄腕アトムが出てきたりと、アニメ主体の作品「クレオパトラ」でやった同じようなギャグを入れているが、明らかに場の空気を読んでいないギャグである。いくら手塚ワールドでも実写でやってほしくなかった。

(余談2)いわゆる騎馬民族説で、邪馬台国などの倭人とは別に朝鮮半島南部に本拠をもち西日本にも勢力を伸ばしていた騎馬民族が高句麗などの圧力に負けて日本に逃げて大和朝廷の基礎を築いた、という。「火の鳥 黎明編」もその説に沿った解釈をしていて、原作では邪馬台国を侵略する騎馬軍団の長をハッキリと神武天皇としている。
 原作では、邪馬台国の衣装と高天原族の衣装に差異は殆ど無かったが、映画ではこれはおかしいと判断されたのか、邪馬台国は柔道着を茶色に染めたような南方系の衣装にし、ジンギの騎馬軍団は蒙古を連想するような寒冷地風の衣装になっている。

(余談3)実は、由美かおる氏が30歳頃に発表したヌード写真集と50歳頃に発表したヘアヌード写真集を持っている。目の周りに小皺が増えたことを除けば、体型は全くといって良いほど変わっていない。素晴らしい。美しい。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


晴雨堂関連作品案内
火の鳥 黎明編・前編 [DVD] 高橋良輔
火の鳥 黎明編・後編 [DVD] 高橋良輔
火の鳥 ヤマト編 [DVD] 平田敏夫
NHK特集 手治虫・創作の秘密 [DVD]

晴雨堂関連書籍案内
火の鳥 1・黎明編 手塚治虫
火の鳥 3・ヤマト編、宇宙編 手塚治虫
生まれたままの妖精―由美かおる写真集 池谷朗
妖精の舞踏―由美かおるRE写真集 池谷朗
由美かおる氏の裸体は、妖艶とかお色気ではなく、綺麗・美しい、この形容に限る。




 
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トラックバックありがとうございました。
この映画は、かれこれ 30年以上前に一度 観たきりなので、ぜひ、もう一度観てみたい映画です。

風吹ジュンが、この映画撮影時に既にそんなにお姉さんだったとは!
驚きましたわ!
[ 2009/07/02 21:33 ] [ 編集 ]
 ええ、そうなんです。尾美氏は学年でいうと私と同級生になりますが、風吹氏は私より9歳上です。
 
 今の女優さんでいうと、長澤まさみ氏や宮崎あおい氏がセーラー服着て中学生の役をやるようなものですね。けっこう似合うかもしれません。
[ 2009/07/03 01:08 ] [ 編集 ]
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