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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明」 ストレス解消活劇〔48〕 

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ
天地黎明
カンフーの貴公子、長衣をはためかせ再臨

 


【原題】武状元黄飛鴻
【公開年】1991年  【制作国】英領香港  【時間】100分  【監督】徐克
【音楽】黄霑
【脚本】徐克 阮継志
【出演】李連杰黄飛鴻)  關之琳(十三姨)  元彪(梁寛)  張學友(牙擦蘇)  鄭則士(エイ)  任世官(巖振束)  
          
【成分】笑える 楽しい スペクタクル パニック 勇敢 かわいい かっこいい カンフーアクション 清代 19世紀末 中国
      
【特徴】若干18歳の現役大学生にして「人民中国」初の娯楽アクションスターとしてブレイクし勢いをかって香港に進出した李連杰氏だったが低迷期を味わう。この作品は再浮上した李連杰氏の復帰作的代表作である。
 清朝末期、実在の憂国志士黄飛鴻を若々しく華麗に、そしてスピーディーに演舞する。
 
【効能】スカッと爽やかカンフーアクション。
 
【副作用】格闘が嫌いな人には不快感。伯母と甥との近親恋愛に不愉快。中国人の価値観とテンポに違和感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
黄飛鴻で再浮上の李連杰(ジェット・リー)
  
 「人民中国」初の娯楽アクションといっても良い「少林寺」シリーズで大成功を収め、勢いに乗って香港映画界に進出する李連杰氏だったが壁にぶつかる。詳しい事情は知らないが、「人民中国」出身なのか売り込みが下手糞との噂があった。マネージャーや映画会社とのゴタゴタもあったらしい。
 なによりキャラがアダとなった。中国本国を代表する武術チャンピオンなので技は抜群だが、ブルース・リー氏のような陰のある二枚目ではないし、ジャッキー・チェン氏のような徹底したコミカルさも無い。良くいえば、「柔道一直線」の桜木健一氏のような糞真面目な純粋まっすぐ君である。18歳で突然大スターになった李連杰氏は20歳代半ばにして低迷期を迎える。

 ところが、ワイヤーアクションの先駆者徐克監督(ツイ・ハーク)が李連杰氏の技に目を付け、まっすぐ君キャラを逆手にとった。押し寄せる西洋文化に対し頑固に自国の文化にこだわり、国家存亡の危機に地元で自警団を組織した実在の中国武術英雄・黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)である。(余談1)「酔拳」で少年時代の黄飛鴻をコミカルに演じたジャッキー・チェン氏とは異なり、多少は史実に近づけた設定で身なり正しい高潔な若き名士とした。まっすぐ君キャラの李連杰氏と役柄との相性はすこぶる良く、再び彼を大スターへと浮上させる。
 映画館で予告編が上映されたとき、李連杰がパワーアップして帰って来た、と思い嬉しかった。

 時代は19世紀後半、日本でいえば明治時代前半にあたるだろうと思われる。史実の黄飛鴻も当時はまだ20歳代だが既に名医にして拳法の達人で、地元民に武術を教えたり自警団を組織したりと活躍していた。李連杰氏が演じたのはこの頃の黄飛鴻だ。
 李連杰氏もブルース・リー氏らに負けず見事な筋肉美だが、作中で諸肌を脱ぐことはほとんどしない。髪は綺麗に辮髪にし、着衣も殆ど乱れることが無い。白面の涼やかな表情で丈の長い長衫(余談2)をはためかせながら武術アクションをスピーディーかつ正確にこなすのが格好いい。日本の時代劇に例えたら、綺麗に月代を剃った侍髷に羽織袴姿で美しくチャンバラをするような感じか。
 予告編では日本の幕末明治維新を彷彿させるイメージで流れているが、蓋を開けて観ると純粋なカンフーアクションで、日本の幕末モノと違い政治色は薄い。気楽に楽しむべきアクション映画だ。多少の中華的攘夷思想は出てくるが、幕末モノのような内容は期待しないほうがいいだろう。

 李連杰氏の黄飛鴻は西洋文明への反発を隠さないが、頑迷ではなく些か子供っぽい反抗で、西洋かぶれの恋人役(叔母という設定だが)で黒田福美似の關之琳氏(ロザマンド・クワン)との掛け合い漫才的会話が微笑ましい。
 ラストで黄飛鴻はなんと恋人に感化されて三つ揃いの背広姿で現われる。全く似合っていないのが黄飛鴻らしい。李連杰氏はすでに20歳代後半なのだが、まるで高校生が背広を着ているようだった。

(余談1)日本の幕末明治維新と同じような状況と理解すれば良いだろう。ニュアンスは異なるかもしれないが、黄飛鴻は新選組の近藤勇のようなポジションに近く、知名度は抜群の偉人である。
 因みに「キル・ビル」シリーズで主人公をしごくパイ・メイ師匠役の劉家輝(ゴードン・リュー)は黄飛鴻の弟子の長兄の弟子、つまり新選組に例えたら天然理心流の伝承者が映画俳優になったようなものだろう。
 
(余談2)長衫は丈が踝くらいまである長い着物。
 魯迅の短編小説に「孔乙己」がある。落ちぶれてホームレス寸前の知識人が主人公だ。彼は知識人であるプライドを捨てず、発する言葉はいつも小難しい。たぶん一張羅だと思うがドロドロに汚れた長衫をいつも着て、低所得労働者が集う立ち飲み屋にやってくる。
 一般人や低所得労働者は丈の短いカンフー服のようなものを着るが、長衫を着る者はいない。つまり長衫は知識人や中流以上の衣装であることを物語る。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
晴雨堂関連作品案内
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/黄飛鴻 サントラ
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ ~天地風雲~ [DVD] サモ・ハン・キンポー
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うわあ、これも何回も見ましたよ~。
生真面目がマジボケになる、かわいらしさがありましたね。
ジェット・リー「まっすぐ君キャラ」、すばらしく、適格なネーミングです!
[ 2009/07/07 15:58 ] [ 編集 ]
 映画館で観た時、感動しました。パワーアップして帰ってきた、て感じで嬉しかったですね。
 
 李連杰氏のキャラが変わってきたのは、「ドラゴン怒りの鉄拳」のリメイク「精武英雄」からだと思うのですが、如何でしょう。

> うわあ、これも何回も見ましたよ~。
> 生真面目がマジボケになる、かわいらしさがありましたね。
> ジェット・リー「まっすぐ君キャラ」、すばらしく、適格なネーミングです!
[ 2009/07/08 04:22 ] [ 編集 ]
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