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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「蒼き狼 地果て海尽きるまで」 突っ込みどころを楽しもう 1  

蒼き狼 地果て海尽きるまで
角川映画が放つ久々の超大作!?

 

 
【公開年】2006年  【制作国】日・蒙  【時間】136分  【監督】澤井信一郎  
【原作】森村誠一   
【出演】反町隆史テムジンチンギス・ハーン)  菊川怜(ボルテ)  若村麻由美(ホエルン)  松山ケンイチ(ジュチ)  松方弘樹(トオリル・カン)  平山祐介(ジャムカ)
 
【成分】スペクタクル 勇敢 時代劇 蒙古
 
【特徴】日本の若手俳優である反町隆史氏がモンゴルの英雄に扮する意欲作。久々のスペクタクル角川映画、広大なモンゴルの平原に地平線のかなたまで集まったエキストラの迫力は凄い。ハリウッド制作のジンギスカン物に比べたら、まだ良心的な作品である。
 
【効能】モンゴルとの合作とはいえ、スケールの大きい久しぶりの邦画超大作に気分も雄大になる。
 
【副作用】チンギス・ハーンの波乱に富んだ半生を僅か2時間強の映画に押し込めているので大味感、舞台はモンゴルなのに演じている俳優たちは日本人丸出しで違和感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
邦画の悪い癖が出たかな。
 
 この映画には覚悟していた通りの憤懣があるが、今まで観たジンギスカン物の中ではマシである。
 
 以前、ジョン・ウエーン氏主演「征服者」とオマー・シャリフ氏の「ジンギス・カン」、モンゴル制作の「チンギスハーン」を観た。言うまでもなくハリウッド映画に出てくるアジアは誤解と偏見に満ちたひどいものが殆どである。「征服者」や「ジンギス・カン」も例外ではない。ただ作品としてはまとまっているので、指輪物語のような架空世界のアジアテイストのヒロイックファンタジーなら及第点だろう。
 
 ジンギスカンの故郷であるはずのモンゴルでは、かつてジンギスカンの軍勢に侵略され支配されたロシアが現在の「友好国」であるため、気兼ねして抑えた表現しかできない。さらに日本公開版はフィルムを半分ほどカットしたものだそうで、その結果なのか「チンギスハーン」の内容は単に悩める権力者の一生を描いただけで、大軍を率いる英雄像を期待して観た人は退屈でがっかりするだろう。それでもジンギスカンを主人公にして字幕をロシア式キリール文字から蒙古伝統のパスパ文字にしたのは快挙だ。
 
 その点、日本は無邪気にジンギスカンを見ることができる立場である。蒙古の襲来は受けたが併合された経験が無いので、高麗や中国・イスラム諸国・ヨーロッパ諸国に比べれば怨念の伝承は殆ど無く、それどころか源義経が大陸へと逃れてジンギスカンになったとする伝説まで創りあげた。
 
 この映画で賢明なのは、角川春樹氏がプロデューサー役を担当し監督をプロに任せた事だろう。以前観た角川氏の監督作品「天と地と」は残念な出来だった。せっかくの大草原ロケと大人数エキストラを使いながら、ハリウッドのスペクタクル映画と比較するとどうしても見劣りし、効果的に使えていないと思うからだ。
 
 ただ、なぜ監督を角川映画出身者を使うのだろうか? もっと群衆シーンや大合戦シーンに慣れた映画人を招聘しても良かったのではないか。「復活の日」では実現しなかったとはいえ海外から監督を起用しようと動くなど、角川氏は柔軟な姿勢で臨んでいたはずだ。
 ハリウッドの新進監督にチャンスを与えたら面白いかもしれなかった。今回もせっかくの現地ロケと現地エキストラが活かせていない。もしこれが黒澤監督だったら・・と思うと誠に残念だ。迫力ならエキストラが桁違いに少ないメル・ギブソン監督「ブレイブハート」のほうがある。
 
 それから、ハリウッドと比較したくはないのだが、「征服者」「ジンギス・カン」は私の目には駄作珍作だが作品としてのまとまりはあったし、俳優陣の演技も勤勉だった。「蒼き狼・・・」は構成や台詞や演技に詰めの甘さがある。せっかくお金かけて大作を創るのに、なんでやねん!て感じだ。ジンギスカンの出生から始めるのであれば上映時間は4時間ほしい、2時間程度の作品にするのであればエピソードを限定すべきだった。
 
 反町隆史氏は真面目に大役を必死に演じているように見えたが、トーク番組出演でのコメントでは、モンゴル料理は食べずに日本料理店ばかりで食事をしていたという。主役が体調を崩す訳にはいかない、というのが理由だそうだが、たしかにプロ俳優の心構えとして好意的に評価はできる。が、12世紀の草原で生きる遊牧民の体臭が感じられない。演じる日本人俳優は垢抜け過ぎてモンゴルに溶け込んでいない。その中ではジンギスカンの母親を演じた若村真由美氏は舞台にハマっていた。
 
 最後に、ジンギスカン映画にとって、日本は政治的しがらみはなく資本も潤沢に集められ、モンゴル研究家も多く映画づくりの技術もセンスも一流といってもよい。だからこそ、この映画にはがっかりだ。頻繁には制作できない壮大な素材だけに無念だ。
 もちろん、今まで観たジンギスカン物の中では良いデキだと思っている。
 
【追記】後にロシアのセルゲイ・ボドロフ監督、浅野忠信氏主演の「モンゴル」が公開。こちらの方が凄い。
  
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆ 駄作

 
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