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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ビートルズがやって来る/ヤァ!ヤァ!ヤァ!」 感動からエナジーを得よう〔6〕

ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!
若くて爽やかな笑顔のビートルズ
明るいアイドル映画の傑作。

 

 
【原題】A Hard Day's Night
【公開年】1963年  【制作国】英吉利  【時間】90分  
【監督】リチャード・レスター
【音楽】ジョージ・マーティン ザ・ビートルズ
【脚本】アラン・オーウェン
【言語】イング”ランド語
【出演】ジョン・レノン(本人)  ポール・マッカートニー(本人)  ジョージ・ハリソン(本人)  リンゴ・スター(本人)  ウィルフレッド・ブランベル(ポールの祖父)  アンナ・クエイル(-)  ノーマン・ロシントン(ノーム)  ジョン・ジャンキン(シェイク)  ヴィクター・スピネッティ(TVディレクター)
          
【成分】笑える 楽しい パニック かわいい かっこいい コミカル 60年代前半 白黒 
      
【特徴】マッシュルームカットにトラディショナルな背広姿が良く似合う初期のビートルズのイメージをよく表した映画。コンサートやファンに追いまくられ多忙だったビートルズの日常を楽しく快活なコメディにした。
 ヘリポートなのか、広々とした原っぱの真ん中に四角くコンクリートで舗装された所があり、ビートルズの4人がそこでハシャギ回る場面に青春を感じる。
 列車の貨物車両で「恋する二人」を演奏する場面、ジョージの妻となる前のパティ・ボイドが女子高生の制服を着て出演している。

 邦題をつけたのは後に「シベ超」シリーズの名監督になる水野晴郎氏。「ふざけた名前を付けてしまった」とトーク番組で述懐しているのを見た事がある。
 晴雨堂は原題をカタカナ邦題にするだけの陳腐なモノよりは余程マシだと思っている。当時のビートルズ現象をよく反映した邦題だ。したがって、近年は邦題を「ハード・デイズ・ナイト」に改める動きがあるが、晴雨堂は頑なに水野晴郎版を支持する。
 
【効能】全体に賑やかなので寂しさがまぎれる。元気なビートルズとマジでビートルズに歓喜しているエキストラの少女たちからエナジーをもらえる。
 
【副作用】意味不明のドタバタギャグの連続で退屈する。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
予算節減で白黒映画になったのが残念。

 イギリス本国で大成功を収めたビートルズが、いよいよアメリカへの本格的な進出を狙って制作した映画がこれだ。ビートルズ初主演の映画でもある。ビートルズの中でも主役格はリンゴで、後の写真家リンゴや俳優リンゴの片鱗を窺わせる場面が出てくる。(余談1)

 当時のビートルズは全員20歳代前半、ジョージに至ってはまだ21である。ハッキリと太いモミアゲを伸ばしているのはリーダー格のジョンだけ。他は頬もツルツルの青年たちだ。残念なのは、アメリカでの不発(余談2)を警戒してか予算を節約して白黒映画にしてしまったことと、大スターになったため食生活が贅沢になりジョージを除く他の3人は些か太り気味だ。
 将来、コンピューター処理が高度になってカラーに修正してほしいものだ。初期のビートルズの映像は殆ど白黒で、カラーがあっても画質が悪い。初期の若いビートルズのカラーを観てみたい。

 さて、作品評価だが、ファンに追い掛け回されながらコンサート会場やスタジオをはしごするビートルズの「日常」が物語、一種のプロモーション映画としては面白いし、個人的にビートルズがいるだけで感動する。ビートルズを追い掛け回す大勢の少女のエキストラも、たぶん演技ではなく本気で感極まっているのだろう、映画とは思えぬ迫力。白黒でも鼻の頭を真っ赤にして放心する少女の顔がよく解る。
 ただ、話のテンポが良いのだが、イギリス独特のギャグらしく字幕では全く面白さが理解できない。たぶん、当時のリバプールの人たちが笑うであろう場面はなんとなく雰囲気で解るが意味不明だ。作中では笑顔で若さを撒き散らしている明るいビートルズだが、後のジョンの話によれば生活は乱れていて、「サテリコン」状態になりつつあったそうだ。(余談3)

 映画と平行して制作されたアルバム「A HARD DAY'S NIGHT」収録の曲も多数BGMで映画で使われている。(サントラ盤でもあるから当然か)表題となった歌「A Hard Day's Night」の他、「Can't Buy Me Love」「恋する二人」などが印象深く流れる。(余談4)
 「映画」を楽しむ人はあまり面白くないかもしれない。ビートルズファンのための映画だ。

(余談1)リンゴは写真撮影が好きで、当時のビートルズに付きっ切りで撮影していたデゾ=ホフマン氏によるとリンゴには才能があって4人の中では写真の腕をメキメキ上達させていたそうだ。
 後にビートルズが企画・制作・監督・脚本・主演・音楽を務めたTV映画「マジカルミステリーツァー」ではダニエル・ラカンバー氏とともに撮影を担当する。

 作中でポールの祖父に唆されて仕事をエスケープしたリンゴが一人トボトボと徘徊しドン臭い失敗をする数々の場面、名演技だった。後のリンゴのコメントによると撮影の前日に飲み過ぎて二日酔いになっていたそうだ。

(余談2)アメリカでは良い意味でも悪い意味でも、「外国人」に活躍できる場は平等に提供するが全て「新人」扱いである。母国では大スターでもアメリカではペーペーなのだ。アメリカ上陸前からスター扱いだったのはビートルズぐらいだろう。昔のピンクレディー然り、最近の宇多田ヒカル然り、最初から大スターとしてアメリカに渡ったらアメリカ人は受け入れない。少年ナイフやパフィーは地道に活動から一定の成功を得た。
 ところが大リーグでイチローが大活躍してからというもの、風向きが変わって母国での活躍も評価するようになってきた。ゴジラ松井に新人賞を与えるか否かで、「ゴジラは日本で既にベテランの大物選手だから、新人賞を与えるのは如何なものか」という論調が巻き起こった。我が国の大スターをペーペー扱いというのも腹たつが、都合が悪くなると自国の尊大な「誇りある習慣」も変更して新人賞を取らせない行為にもムカついた。

(余談3)フェリーニ監督の代表作。簡単にいうとローマ帝国の変態乱痴気騒ぎを描写。

(余談4)作中で移動中の貨物車両の中で「恋する二人」を演奏する場面がある。その中で彼らの中に混じって座っている女子校生は後にジョージの妻になるパティだ。けっこうアップで映っているし台詞もある。初々しくて可愛い。将来、ジョージとエリック=クラプトンとの間で愛憎愛欲にもまれていく事を思うと切ない。
 




 作品Trailerの下記に紹介する動画は、本作中でどこまでも追いかけてくるファンの裏をかくため、ビートルズの面々は貨物車両に乗り込む一場面である。ここでPVとしても紹介される有名な「恋する二人」の演奏シーンへと移る。
 隠密の貨物列車行ではあったが、ここでも女子高生数人に見つかってしまう。その中に端役として出演した後のジョージの妻となるパティがいる。「恋する二人」演奏中に、いつの間にか彼女一人だけが貨物室に入り込んでポールの祖父役の俳優の隣に座っている。まるで後にビートルズの身内になってしまう事を暗示しているみたいだ。
 素直に可愛い女の子だと思う。この顔立ちは日本のAKB関係のアイドルにもいそうなキャラだ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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