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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「突入せよ!「あさま山荘」事件」 社会を冷笑したい時に〔29〕 

突入せよ!「あさま山荘」事件」 
リアルな警察組織描写

 


【公開年】2002年  【制作国】日本国  【時間】133分  【監督】原田眞人
【原作】佐々淳行
【音楽】村松崇継
【脚本】原田眞人
【言語】日本語
【出演】役所広司佐々淳行)  宇崎竜童(宇田川信一)  伊武雅刀(野間長野県警本部長)  串田和美(丸山参事官)  山路和弘(石川警視正)  矢島健一(大久保第九機動隊長)  豊原功補(内田第二機動隊長)  遊人(後田巡査)  遠藤憲一(山野第二機動隊小隊長)  松岡俊介(佐治警視)  池内万作(東野通信技官)  篠井英介(兵頭参事官)  田中哲司(国松広報課長)  光岡湧太郎(菊岡理事官)  榊英雄(小野沢警部補)  井上肇(加々見警部)  李鐘浩(伊東警部補)  眞島秀和(淡路巡査)  野村貴志(別当巡査)  重松収(富沢警備局長)  深水三章(鈴木警備課長)  村田則男(ホトケのトミさん)  木村栄(小林特科車輌隊長)  加藤満(高見警部)  古本恭一(石原警部)  長森雅人(片山第二機動隊副隊長)  工藤俊作(上原第二機動隊中隊長)  山崎清介(山根長野県警警備部長)  螢雪次朗(吉井長野県軽井沢警察署長)  大森博(反後長野県警警備第一課長)  田中要次(柳木長野県警警備第一課長)  山田明郷(萩長野県警機動隊長)  黒沼弘巳(皆川次長)  豊川栄順(尚子)  田嶋基吉(満願)  飯田孝男(千石)  荒川良々(木戸長野県警機動隊員)  石丸謙二郎(長野県警機動隊分隊長)  むかい誠一(警視庁コンバット・チーム)  鈴木英介(警視庁コンバット・チーム)  街田しおん(里見品子)  篠原涼子(小雀真理子)  松尾スズキ(小雀彰夫)  もたいまさこ(中野の母)  高橋和也(ヤク中の男)  武田真治(大河内浩)  鈴木一真(中野雅人)  甲本雅裕(石野巡査)  八嶋智人(亀島アナ)  高川裕也(日比野記者)  大鷹明良(五十嵐記者)  真実一路(赤木警備部長)  小林勝彦(初老の刑事部長)  安藤岳史(百田栄作)  風見章子(内田の老母)  椎名桔平(白竜組社長)  天海祐希(佐々幸子)  藤田まこと(後藤田正晴警察庁長官)
          
【成分】笑える パニック 学生運動 赤軍派 70年代初頭 
      
【特徴】日本犯罪史にとっても、学生運動史にとっても、報道史にとっても、画期的事件である「あさま山荘」を本格映画化。実際に現場警察部隊を指揮した佐々淳行氏の原作をもとにし、その佐々を主演の役所広司氏が扮する。
 学生運動の過激派連合赤軍の武装した残党が「あさま山荘」に人質をとって篭城する。警察は機動隊を動員して攻囲するも膠着状態が続く。警察側はお偉方が多勢いて指揮系統が複雑、現場指揮官は上や下や横に気を遣ってストレスがたまる様がよく描写されている。指揮官というよりは根回しに追われる警察官僚といった感じが面白い。
 
【効能】中間管理職の苦しみを代弁、上司から無茶な命令を受け、部下から心無い批難を受けている人にとって精神的支援になる。
 
【副作用】連合赤軍側の描写が殆ど無く、警察組織の悲哀が延々なので欲求不満。警察の悲哀だけを描くなら「踊る大捜査線」だけで十分。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
体制権力側から見た喜劇。

 「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」は赤軍派内部の悲劇に焦点をあてた低予算大作であるのに対し、この「突入せよ!『あさま山荘』事件」は山荘を攻囲する警察内部の「喜劇」に焦点をあてた潤沢予算大作である。

 原作者は警察官僚出身で当時の現場指揮官の一人、佐々淳行氏だ。作中では役所広司氏が扮している。佐々氏や映画制作者の目線は「あさま山荘」ではなく警察内部の指揮系統のゴタゴタに向けられているといっても過言ではない。だから作品には赤軍派の若者たちの人物描写はあまり無く、代わりに県警や本庁のお偉方がこれでもかと大勢でてくる。役所氏扮する佐々は現場部隊全体を統括すべき立場なのに、各々の指揮官や責任者への根回し・手配・交渉に追われて部下に号令するどころではなさそうだ。(余談1)

 思ったのだが、別に「あさま山荘」をテーマにしなくても、もっと他の凶悪事件でも良かったのではないか。「踊る大捜査線」シリーズを充実させれば十分に描けるテーマであり内容だった。
 「あさま山荘」と聞いて、当時の事件を知る諸兄や関心を持っている若者の多くは、やはり赤軍派の若者たちは一体どんな人間だったのだろう?ということではないのか。何を悩み何を思い込み、なぜ仲間を殺し破滅的な篭城戦をやってしまったのか? あの若者たちの人物描写がほしかった。

 警察がゴダゴタしていることは周知の事実であり一般常識である。「踊る・・」のような娯楽エンタメなら観るが、「あさま山荘」を使ってまで観たいとは思わない。133分の上映時間も長すぎる、2時間以内にまとめるべきだった。

 それにもう一つ、作中の佐々は「踊る・・」の室井的な身分で、眼前の「あさま山荘」やそれを身体はって包囲している部下に目線を向けたがっているが、大勢のお偉方と折衝せざるをえない立場に描かれている。実際の佐々氏はどうかは解らないが、赤軍派に銃口を向けられている一巡査の身になって考えれば「冗談じゃない」だろう。上がゴタついていながら、職務を全うした巡査たちに敬意を表する。

 最後に赤軍派の若者たちを丁寧に描いた映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」は3時間の長尺ながら「突入せよ!・・」より遥かに必見に値する。

(余談1)当時の警察官僚トップ後藤田氏は無茶な勝利条件を現場に課したが、結果的には大成功だった。赤軍派の若者が警官隊の銃弾で倒れたら、赤軍派関係者だけでなく反権力志向の左翼市民勢力全体から「殉教者」と讃えられ、鎮火傾向にある学生運動が再び全国へと燃え広がる事を懸念しての事だったと思う。蓋を開けたら内部で仲間同士のリンチ虐殺、赤軍派の名を失墜させるだけでなく左翼運動全体への国民の信頼は一気に萎えた。まさに棚から牡丹餅、予想外の効果である。

 因みに後藤田氏の甥っ子氏が徳島から自民党の代議士になっている。配偶者は女優の水野真紀氏。

 この事件は臨場感あふれるTV中継を思わせる映像が評判で、ニュース番組として画期的事件である。さらに機動隊員たちが小腹を満たすために立ったままカップヌードルを食べていたことがインスタントラーメン史上画期的出来事で、ほどなく一般へ急速に普及する。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作


晴雨堂関連作品案内
突入せよ!「あさま山荘」事件 サントラ
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [DVD] 若松孝二

晴雨堂関連書籍案内
連合赤軍「あさま山荘」事件 佐々 淳行
連合赤軍「あさま山荘」事件―実戦「危機管理」 (文春文庫) 佐々 淳行
わが上司 後藤田正晴―決断するペシミスト (文春文庫) 佐々 淳行
若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 「実録・連合赤軍」編集委員会+掛川正幸
死へのイデオロギー―日本赤軍派― (岩波現代文庫―社会) P・スタインホフ
優しさをください―連合赤軍女性兵士の日記 大槻節子
わが思想の革命―ピョンヤン18年の手記 田宮高麿
大地に耳をつければ日本の音がする―日本共産主義運動の教訓 (1984年) 重信房子
赤軍―1969→2001 (KAWADE夢ムック)


 
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