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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「四日間の奇蹟」 カップルで泣きたい時に〔22〕 

四日間の奇蹟
 
 

【公開年】2005年  【制作国】日本国  【時間】118分  【監督】佐々部清
【原作】浅倉卓弥
【音楽】加羽沢美濃
【脚本】 佐々部清
【出演】吉岡秀隆(如月敬輔)  石田ゆり子(岩村真理子)  尾高杏奈(楠本千織)  西田敏行(倉野順次)  松坂慶子(倉野和枝)  中越典子(長谷川未来)  鳥羽潤(萩原誠)  西村和彦(後藤則幸)  小林綾子(後藤小夜子)  平田満(長谷川隆)  石橋蓮司(藤本正造)
          
【成分】ファンタジー 不思議 パニック 切ない かわいい
        
【特徴】尾高杏奈氏の演技が光る。一種の幽体離脱をテーマにした現代ファンタジー。
 
【効能】家族や友人との絆を再確認させるきっかけになる。
 
【副作用】不自然なシチュエーションに説得力が感じられず白ける。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
突飛なシチュエーションだが・・。

 突飛で不自然なシチュエーションに驚いた。

 まず、吉岡秀隆氏扮するピアニスト如月と尾高杏奈氏扮するサヴァン症の少女千織の出会い、些か劇的が過ぎる。ヨーロッパでのピアノコンサートに暴漢かテロリストが乱入して事件に巻き込まれ、ピアニストは指の筋や神経を切る重傷をを負い、少女は父母を失った。
 些かバタ臭いシチュエーションだ。私はむしろ交通事故に巻き込まれたほうがナチュラルだと思う。例えば千織を乗せた乗用車と大型トラックが衝突し、たまたまコンサートを終えて通りかかった如月が事故を目撃し助けようとして大怪我をするほうが有りえそうな絵だと思うが。

 ピアニストは天涯孤独となった千織を引取り、彼女に音楽の才能があることを見出し、ピアノ演奏を仕込んで各地の福祉施設へ慰問コンサートを行なうことで人生の生き甲斐を新たにたてる。ある施設に慰問したとき、石田ゆり子氏扮する高校時代の後輩真理子と再会する。千織が施設の運動広場で遊んでいると落雷があり、落雷で崩壊する鉄塔から千織をかばった真理子が重体になる。
 あんな大きな雷が鳴っているときに、雷が大好きな鉄塔の脇で千織が遊ぶのを落雷の直前まで放置している大人たちの神経が信じられない。非常識にもほどがある絵だ。しかも真理子は福祉施設の職員だ。むしろ鉄塔によじ登っている千織に気付いて真理子が駆け寄り、手を滑らせて落下する千織の下敷きになったほうが、まだありそうな話だ。

 つまり、何が言いたいのかというと、作風全体は淡々と静かに風がそよぐ風景が連続しているだけに、派手なシチュエーションはかえって物語を台無しにしてしまう危険がある。日常よくあるシチュエーションで3人を結びつけるべきだった。3人の結び付け方が非常に強引な印象を持ってしまい、それが作品への感情移入を妨げてしまった。

 それ以外は申し分ない。尾高杏奈氏の演技は良かったし、石田ゆり子氏の回想場面にある結婚式の風景やストレスに押しつぶされそうな新婚生活の描写も説得力があった。
 人物の相関関係も他は特に問題なかった。意識が千織と真理子が入れ替わった時に、真理子の同僚が疑念を抱くのも、ファンタジーにリアリティーを与える効果がある。

 物語とは虚構の世界だ。虚構を煎じ詰めていえば「嘘」である。多くの人は現実に有りえそうなネタや実際にあったことを節々に用いることでバレない「嘘」を構成している。あるいは基本設定はまっかな嘘でも、突拍子の無い「嘘」ならかえってバレないし「嘘」を支える設定がこなれていたら完璧だ。(余談1)
 千織と真理子の意識が入れ替わるのは、たぶん現実にはありえない現象、つまりファンタジーだ。しかしそれを成り立たせるために無理なシチュエーションを重ねすぎては「嘘」丸出しになる。

 俳優たちが良い演技をしているのに、勿体無い作品だった。

(余談1)むかし、英国軍人を偽って暴利を貪った結婚詐欺師がいた。ニュースで顔がでたが、たしかに鼻筋の通った顔立ちではあるが日本人にしか見えない。にも関わらず被害者が信じたのは、英王室の縁者という突拍子の無さが「嘘で堂々と言えるはずが無い」と逆に作用した。
 最初は少佐を名乗った。これが少尉では年齢に似合わないし、少将とか大将では偉すぎて嘘っぽい。犯人は最も適切な階級を選んだ。一旦は捕まり、出所してから再び同じ手口で結婚詐欺をし、今度は大佐を名乗った。年齢にあわせたのだろう。

 同様の手口に皇族を偽った詐欺師もいた。有栖川という断絶した宮家を騙ったのが巧い。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
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四日間の奇蹟 オリジナルサウンドトラック
 
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四日間の奇蹟 (宝島社文庫) 浅倉卓弥
『四日間の奇蹟』ピアノ名曲集 「時の踊り」(CD付き) 浅倉卓弥
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