FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「HELP!四人はアイドル」 

HELP!四人はアイドル」 
ビートルズ「全盛期」の映画。

 


【原題】HELP!
【公開年】1965年  【制作国】英吉利  【時間】90分  
【監督】リチャード・レスター
【音楽】ケン・ソーン ザ・ビートルズ
【脚本】マルク・ベーム チャールズ・ウッド
【出演】ジョン・レノン(本人)  ポール・マッカートニー(本人)  ジョージ・ハリソン(本人)  リンゴ・スター(本人)  エレノア・ブロン(-)  ヴィクター・スピネッティ(-)  レオ・マッカーン(-)  ロイ・キニア(-)  パトリック・カーギル(-)  アルフィー・バス(-)
          
【成分】笑える 楽しい パニック 勇敢 かっこいい コミカル 60年代 ビートルズ
        
【特徴】ビートルズ主演映画第2弾。監督は前作に引き続きリチャード・レスター氏。
 大コケを心配して敢えて経費の安い白黒映画にした前年と違って、世界的スーパースターとなったのは疑いの無い事実、本作は堂々カラー作品。
 前作はひたすらビートルズマニアと呼ばれるファンから逃げる場面の連続だったが、今回は精神的余裕があるのか当時流行りのジェームズ・ボンド映画風味を添加され、謎の秘密結社に命を狙われるリンゴ・スターを他の3人が守る構図になっている。
 
【効能】ビートルズが好きになる。ビートルズの明るさに救われる。
 
【副作用】単なるアイドル映画を見せられて時間の喪失感を抱く。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
ビートルズ初のカラー作品

 前年(1964年)の勢いにまかせて制作した第二弾がこれだ。前作「A Hard Day's Night」は失敗を警戒して低予算のモノクロだったが、今回は予算を倍にして堂々のビートルズ初カラー映画作品だ。監督は前作に引き続きリチャード・レスター氏。同じく主人公もリンゴが務める。4人はさらに肉付きが良くなってジョージ以外は若干肥満気味、全員髪の毛がさらに長くなって耳がかくれるほどになっている。

 今回は趣向を変えて、前作のようなビートルズの日常を追ったドキュメンタリーの体を装うポップなフィクションではなく、「007」ばりのスパイアクションをパロディーにした物語を下敷きに、邪教カルト集団に狙われビートルズがドタバタ逃げ回るコメディー映画だ。
 この頃のビートルズになると、世界をまたにかけてコンサートツアーをするほどのスーパースターになり、生活リズムは乱れまくり、ジョンが後にインタビューで語ったように「サテリコン」な毎日となっていた。映画はこうした生活の合間に撮られた。(余談1)

 映画の中のビートルズはそのような不健康な生活を微塵も見せず、快活な二枚目半のアイドルとして元気にドタバタギャグをヒット曲に合わせて演じている。(余談2)
 邪教集団の儀式で、生贄にされる予定の美女がビートルズファンだったために、生贄を示す指輪がリンゴの手に渡った。それ以降、リンゴは邪教集団に狙われることになる。リンゴは災いの種である指輪を捨てようとするが指から抜けず、邪教集団以外にも指輪に目をつけたマッドサイエンティストなどが絡んでドタバタ劇が展開する。

 物語はあくまで元気で明るいビートルズを面白く魅せて曲を発表するのが目的なので、文学的だとか映画的にどうかなどと目くじら立てる必要は無い。壮大なプロモーションビデオをスパイ映画のパロディーギャグに構成してまとめた点は、さすが職人リチャード・レスター監督だ。(余談3)

 いま思えば、ビートルズがロックバンドとして全盛期だった頃の映画といえる。というのも、この翌年秋からビートルズはコンサート活動を止め、スタジオに篭って曲をつくるスタイルに変わっていく。容姿も激変し、シックな背広を脱ぎ原色の派手な衣装に髪を伸ばし髭を蓄える。これ以降も名曲を数多く発表するのだが、次第に4人の個性や方向性が分岐しだし、ジョンのバンド、ポールのバンド、ジョージのバンドの連合体のようなものへと変質していくのである。

 「ヘルプ!」以前のビートルズはというと、ドラムスのリンゴがまだ雇われミュージシャンだった。メジャーデビューする直前に、ジェームス・ディーン風のピート・ベスト氏を追い出して代わりにリンゴをドラマーとして雇った。したがって、リンゴだけはメンバーというよりは雇われドラマーという感覚を多少なりとも尾を引いていたのだ。その後のインタビューや述懐から、64年の夏に扁桃腺を腫らして一時ドラムスを交代して、再び復帰した辺りからビートルズの変えがたい「メンバー」である実感を手放しでもてるようになったのではないかと、私は推察している。

 そういった2つの意味で、ロックバンドとして4人のチームワークが最も充実していた時期の映画が「ヘルプ!」だと思っている。

(余談1)「サテリコン」はイタリアのフェリーニ監督の代表作。内容は古代ローマの乱痴気騒ぎを描写したもの。

(余談2)「ヘルプ!」で一番好きな曲は「悲しみはぶっとばせ」、これは最初の場面でビートルズの面々が帰宅してジョンがソファーに仰向けに寝転がりギターを弾きながら歌った曲だ。

 その次に好きな曲はタイトルにもある「ヘルプ!」だ。歌詞カードを読むと逼迫したSOSなのだが、これをアップテンポで快活に歌うのが小気味良い。中高生時代、落ち込んだときはいつもこの曲を聞いていたものだ。
 次に好きなのはポールが歌う「夢の人」。これを好きな彼女の前で歌えたら格好良いだろうななどと思っていた。

 たぶん、アルバム「ヘルプ!」で最も有名なのは「イエスタディー」だろうと思う。これも好きな曲なのだが、歌詞と曲調が身につまされるので些か距離をおきたい。

(余談3)ギャグの幾つかを紹介しよう。
 4人の住まいが下積み時代の頃と同じ粗末な平屋長屋なのに、別々の玄関から入ると中は1つの大きい部屋になっていて最新の設備が整った贅沢なつくりになっている。

 邪教集団からビートルズを守るべく国家機関が護衛にあたるようになる。豪華な装飾の部屋で殆ど軟禁状態になるビートルズが豪華な磁器の茶器でティータイムを楽しむのだが、ポットからは無数のティーバックがでてくる。(ティーバックで茶を飲むのは低所得労働者。豪華な部屋とは不釣合い)

 戦車の護衛の下で広い草原で虚しく演奏するビートルズ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
晴雨堂関連作品案内
ヘルプ! ザ・ビートルズ
 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
130位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
64位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク