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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」 ストレス解消活劇 

隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」 
長澤まさみ氏の眼力光る

 


【公開年】2008年  【制作国】日本国  【時間】118分  【監督】樋口真嗣
【音楽】佐藤直紀
【脚本】中島かずき
【言語】日本語
【出演】松本潤(武蔵)  長澤まさみ(雪姫)  椎名桔平(鷹山刑部)  宮川大輔(新八)  甲本雅裕(佐川出兵衛)  古田新太(人買い)  生瀬勝久(バクチ打ち)  ピエール瀧(軍資金堀の侍)  黒瀬真奈美(みつ)  坂野友香(六郎太の妹さよ)  KREVA(刑部付きの侍)  上川隆也(宿場襲撃隊・隊長)  國村隼(長倉和泉)  高嶋政宏(本庄久之進)  阿部寛(真壁六郎太)  
             
【成分】スペクタクル パニック 不気味 勇敢 知的 切ない かっこいい コミカル 時代劇 戦国時代 16世紀 日本 
        
【特徴】黒澤明監督「隠し砦の三悪人」のリメイクというよりは、ジョージ・ルーカス監督「スター・ウォーズ」のリメイクといった方が良い雰囲気に仕上がっている。
 前作では上原美佐氏が素人の魅力でヒロイン雪姫を演じていたが、今回は演技力に定評のあるプロの長澤まさみ氏が雪姫を力強く演じている。
  
【効能】時代劇とは思えない冒険活劇にストレス解消。
 
【副作用】黒澤作品への冒涜、重度のストレスを感じ気分が悪くなる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
スター・ウォーズ」のリメイク。

 内容をふた言でいうならば、黒澤監督の「隠し砦の三悪人」をジョージ・ルーカス監督がSFに改編して「スター・ウォーズ」にし、今回の映画はその「スター・ウォーズ」を再び日本時代劇に作り変えたもので、「隠し砦の三悪人」のリメイクには全く見えなかった。(余談1)
 松本潤氏はさしずめルーク・スカイウォーカーの優男ぶりとハン・ソロの男気と世間慣れを合わせたようなキャラで、椎名桔平氏が演じる山名方の侍大将はダース・ベイダー、阿部寛氏の六郎太はオビワンだ。そして長澤まさみ氏の雪姫はやや弱さのあるレーア姫だろう。

 森田芳光監督の「椿三十郎」に続いて今回の「隠し砦・・」のリメイクだが、「椿・・」は下手に弄らず脚本そのままで成功したリメイクで、樋口監督は既に弄って成功した「スター・ウォーズ」を土台にすることで失敗を防いだリメイクと私はみている。監督の存念は知らないが、作中のダース・ベイダー的な椎名桔平氏を観ていたら、私の見立ては的外れではない。
 
 物語の構成はよくぞまとめたと思う。リメイクでなく正味のオリジナルなら佳作と賞賛しただろう。
 ただ、大いに不満が残る。背景描写は前作を踏襲した絵になっておりCGなどで奥行が出ているのだが、白黒映画の前作よりもスケールが狭く感じる。理由は群衆場面が矮小化したことだ。黒澤監督は群衆を雲霞の如く魅せる手練である。ところがこの作品にはそんな場面は無かった。
 次に黒澤映画は当時の庶民の汗や体臭、そして生活臭をリアルに魅せるのだが、樋口監督はアニメ的なデフォルメ描写が目立ちワザとらしい。リアルなようでメイクや演出がばれてしまっている。だから面白く観れる映画なのだが説得力を感じない。

 ただ、唯一前作に無い魅力がある。それは長澤まさみ氏の雪姫だ。前作の上原美佐氏は女優としては素人だが、長澤氏は既に経験を積んだプロの女優だ。特に瞳の演技に注目してもらいたい。上原氏はメイクで眉を吊り上げるなどして鋭さを演出したが、長澤氏はあまりメイクの力には頼らず、眼光鋭い睨み目や眉がやや下がった優しい目などが演じられている。それから演技とは関係ないが、自毛の生え際を活かした付け髪をしているので、広い額が損なわれておらず好感が持てる。
 もう少し雪姫の強さを強調してか弱さは控え目にすれば、もっと印象深いキャラになったと思う。最初は弓の名手として登場したので、六郎太ほどではなくても雑兵たちは蹴散らせる実力を持った設定のはずなのに、後半はしおらしさ弱さが目立った。前作では女性らしさが乏しかったので、今回は悩める女性らしさを強調させたい気持ちは解るが、それでは時代劇によくある純情お殿様お姫様だ。私の趣味を言えば、歳の割には老成したお姫様でいてほしかった。

 黒澤映画のファンの中には、ファンの域を超えた「信奉者」「崇拝者」が少なくない。どんなに巧く撮っても酷評は避けられない。できればもっと開き直って、黒澤監督を大笑いさせるか激怒させるほどのリメイクにしてほしかった。(余談2)

(余談1)そういえば樋口監督は学年でいえば私と全くの同世代、「ヤマト」と「スター・ウォーズ」で中学生時代を過ごした人間だ。

(余談2)私が制作者なら「1999年の夏休み」みたいに、オールスター全員美人女優、真壁六郎太は由美かおる氏が演じる。太平と又七は久本雅美氏と柴田理恵氏が扮し、田所兵衛はかたせ梨乃氏。ウケると思うのだが。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
晴雨堂関連作品案内
隠し砦の三悪人<普及版> [DVD] 黒澤明<普及版> [DVD]
スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望 リミテッド・エディション [DVD] ジョージ・ルーカス
 

 
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TB&コメントありがとうございました。

不安しかなかった『隠し砦の三悪人』のリメイクですが、思ったより普通にリメイクされてましたね。ただ僕は、アレンジが妥当すぎて刺激不足な印象を受けました。
それと樋口真嗣が監督してるんだから得意の特撮をもっと見せて欲しかったんですが、それこそオリジナルの良さをぶち壊す愚行ですかね。
[ 2009/10/31 08:07 ] [ 編集 ]
えめきん氏へ

 樋口真嗣監督は私と世代が近く、少年時代はたぶん同じ特撮映画やアニメで育ったのではないかと思うくらい、その発想とセンスは「理解」できます。
 
 あの黒澤作品をリメイクするのですから、どんなに巧く撮っても酷評は避けられません。彼は安全策を狙ったのでしょう。「隠し砦」のリメイクとうたいながら「スターウォーズ」をリメイクして、黒澤映画には馴染みの無い世代へのウケを狙ったと思います。

> TB&コメントありがとうございました。
>
> 不安しかなかった『隠し砦の三悪人』のリメイクですが、思ったより普通にリメイクされてましたね。ただ僕は、アレンジが妥当すぎて刺激不足な印象を受けました。
> それと樋口真嗣が監督してるんだから得意の特撮をもっと見せて欲しかったんですが、それこそオリジナルの良さをぶち壊す愚行ですかね。
[ 2009/10/31 09:06 ] [ 編集 ]
ありがとうございました。
「スターウォーズ」が中学校ということは、あたしより、少々お若いですね。
高校生のときに、ハンソロにどきゅんとされた口です。
黒沢作品をあえてリメイクするという勇気は買いましたが、逆にどんな神経してるんだろう?とも思ってしまいます。
でも、「椿三十郎」は、どうしてもだめです。森田監督が、どうしても相いれず、斜めに見てしまうのですが、あれは成功したとは思えないです。
[ 2009/11/01 19:59 ] [ 編集 ]
sakurai氏へ

> 「スターウォーズ」が中学校ということは、あたしより、少々お若いですね。
> 高校生のときに、ハンソロにどきゅんとされた口です。
 
 ということは、私の姉と同世代ですね。

> 黒沢作品をあえてリメイクするという勇気は買いましたが、逆にどんな神経してるんだろう?とも思ってしまいます。
> でも、「椿三十郎」は、どうしてもだめです。森田監督が、どうしても相いれず、斜めに見てしまうのですが、あれは成功したとは思えないです。
 
 森田監督も樋口監督も、ビジネスとして割り切っているのでしょう。ジャニーズ俳優をどう配置するか、旬の女優をどのようなキャラにするか、観客の対象年齢をどうするか、いろいろと細かい戦術を組んでいったのだと思います。
 
 森田と樋口の個性がよく出ていましたね。
[ 2009/11/02 12:21 ] [ 編集 ]
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