「蟲師」
湿潤な日本の原風景にこだわった作品。 
蟲師-ブルーレイ・エディション- [Blu-ray]
蟲師 大友克洋完全監修 蟲箱 [DVD]
蟲師 (通常版) [DVD]
【公開年】2006年
【制作国】日本国
【時間】131分
【監督】大友克洋【原作】漆原友紀 【音楽】配島邦明
【脚色】大友克洋 村井さだゆき
【言語】日本語
【出演】オダギリジョー(ギンコ) 江角マキコ(ぬい) 大森南朋(虹郎)
蒼井優(淡幽) りりィ(庄屋夫人) 李麗仙(たま) クノ真季子(真火の母) 守山玲愛(真火) 稲田英幸(ヨキ)
【成分】ファンタジー 不思議 不気味 知的 切ない 湿潤 20世紀初頭 日本
【特徴】百年前の湿潤な日本の原風景を神秘的に再現する事を第一のテーマのようだ。緑濃き森林と湿っぽい日本家屋の雰囲気を壊さないようVFX映像を入れているところが巧い。
【効能】森林浴効果がある。民俗学に興味がわく。
【副作用】退屈に感じるかもしれない。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
森林浴映画 私はこの映画の雰囲気は好きである。熱帯のジャングルの派手な緑とはまた趣の違う豊かな緑の山林や田畑、湿気漂う苔むした幹に岩、薄暗い茶色の日本家屋、百年前の日本の風景にこだわった映像だが、私の郷里は今でもそんな風景だ。ゆえにこの作品の映像は好きだ。その雰囲気を壊さない程度の控え目なCGも好感が持てる。
子供の頃、田舎で周辺の山々を探険した事があるが、大友監督も同様の体験をしたのだろうか? 子供の頃の体験から日本の原風景描写に執着したのだろうか?
他の作品レビューで何度も述べてきたが、原作と映画は別作品と割り切らねばならない。表現法が異なるし、物語のサイズも違う。この場合、長編漫画を小さく2時間前後にまとめなければならない。どんなに巧く撮っても原作ファンやアニメファンからの批難を浴びる。
さらに、これは大友監督のセンスなのだろうか? それとも必要に迫られたがゆえの奇を衒った構成なのだろうか? 私は嫌いではないが、残念ながら違和感を感じる鑑賞者が多いと思う。万人が納得する構成の基本は、「起承転結」なのである。物語の筋も太い本線に細い伏線がさり気なくまとわりつく程度のほうが納得しやすい。敢えてその基本を逸脱する必要があったのだろうか?
多くの鑑賞者が納得する物語は、主人公の出自は謎にしてラストにフラッシュバックさせて絡める方法だ。シャーロックホームズの映画でイチイチ出生や少年時代の説明などしたらシャーロキンアンは激怒するだろう。どうせ2時間強の実写映画に原作やアニメのストーリーを全て盛り込むことなどできないのだ。
オダギリジョー氏と
蒼井優氏はナイスキャスティングである。(余談1)
(余談1)
蒼井優氏の淡幽をみて思った。長い黒髪に袴姿。術を使う所作。もしこのイメージで野村萬斎氏が立烏帽子に狩衣姿で陰陽道のウンチクを話していたら、絵になっていたろうに。
野村萬斎氏主演「陰陽帥」はやたら画面が明るくてCGだらけで、「蟲帥」のような苔むした深い緑も薄暗い日本家屋も登場しない。陰陽道の薀蓄もなく、後半は飛んだり跳ねたりのアクションばかりだ。
大友克洋氏に「蟲帥」を撮る感覚で「陰陽帥」を撮ってもらいたかった。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作 晴雨堂関連作品案内蟲師 大友克洋完全監修 蟲箱 [DVD]
TVアニメ「蟲師」オープニングテーマ「The Sore Feet Song」
蟲師 二十六譚 DVD Complete BOX アニメ 長濱博史
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森林浴映画 私はこの映画の雰囲気は好きである。熱帯のジャングルの派手な緑とはまた趣の違う豊かな緑の山林や田畑、湿気漂う苔むした幹に岩、薄暗い茶色の日本家屋、百年前の日本の風景にこだわった映像だが、私の郷里は今でもそんな風景だ。ゆえにこの作品の映像は好きだ。その雰囲気を壊さない程度の控え目なCGも好感が持てる。
子供の頃、田舎で周辺の山々を探険した事があるが、大友監督も同様の体験をしたのだろうか? 子供の頃の体験から日本の原風景描写に執着したのだろうか?
他の作品レビューで何度も述べてきたが、原作と映画は別作品と割り切らねばならない。表現法が異なるし、物語のサイズも違う。この場合、長編漫画を小さく2時間前後にまとめなければならない。どんなに巧く撮っても原作ファンやアニメファンからの批難を浴びる。
さらに、これは大友監督のセンスなのだろうか? それとも必要に迫られたがゆえの奇を衒った構成なのだろうか? 私は嫌いではないが、残念ながら違和感を感じる鑑賞者が多いと思う。万人が納得する構成の基本は、「起承転結」なのである。物語の筋も太い本線に細い伏線がさり気なくまとわりつく程度のほうが納得しやすい。敢えてその基本を逸脱する必要があったのだろうか?
多くの鑑賞者が納得する物語は、主人公の出自は謎にしてラストにフラッシュバックさせて絡める方法だ。シャーロックホームズの映画でイチイチ出生や少年時代の説明などしたらシャーロキンアンは激怒するだろう。どうせ2時間強の実写映画に原作やアニメのストーリーを全て盛り込むことなどできないのだ。
オダギリジョー氏と
蒼井優氏はナイスキャスティングである。(余談1)
(余談1)
蒼井優氏の淡幽をみて思った。長い黒髪に袴姿。術を使う所作。もしこのイメージで野村萬斎氏が立烏帽子に狩衣姿で陰陽道のウンチクを話していたら、絵になっていたろうに。
野村萬斎氏主演「陰陽帥」はやたら画面が明るくてCGだらけで、「蟲帥」のような苔むした深い緑も薄暗い日本家屋も登場しない。陰陽道の薀蓄もなく、後半は飛んだり跳ねたりのアクションばかりだ。
大友克洋氏に「蟲帥」を撮る感覚で「陰陽帥」を撮ってもらいたかった。
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