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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「トレマーズ」 寂しさをまぎらわす時に〔14〕 

トレマーズ」 
完成度の高いモンスターパニック。

 


【原題】TREMORS
【公開年】1989年  【制作国】亜米利加  【時間】96分  【監督】ロン・アンダーウッド
【原作】 S・S・ウィルソン ブレント・マドック ロン・アンダーウッド
【音楽】アーネスト・トルースト
【脚本】S・S・ウィルソン ブレント・マドック
【出演】ケヴィン・ベーコン(ヴァル/ヴァレンタイン・マッキー)  フレッド・ウォード(アール・バセット)  フィン・カーター(ロンダ・ルベック)  マイケル・グロス(バート・ガマー)  レバ・マッケンタイア(ヘザー・ガマー)  ボビー・ジャコビー(メルヴィン・プラグ)  ヴィクター・ウォン(ウォルター・チャン)  ビビ・ベッシュ(メーガン)  アリアナ・リチャーズ(ミンディ・スターングッド)  シャーロット・スチュワート(ナンシー・スターングッド)  トニー・ジェナロ(ミゲル)  リチャード・マーカス(ネストール)  
             
【成分】笑える 楽しい 不思議 パニック 不気味 恐怖 勇敢 絶望的 かっこいい コミカル 怪獣 ホラー  
        
【特徴】陸のジョーズと呼ばれる低予算の傑作。アメリカのド田舎の集落を舞台に、地下に巣食う謎の生物との格闘を描く。
 振動で地上の動物を察知し捕食する蛭のような地下生物、堅い岩山以外は全て危険、地平線が見えるような広々とした平原の集落なのに、家屋の屋上や屋根上に追い詰められ閉鎖された空間を演出しているところが巧い。登場人物はけっこう多いが個性的で覚えやすい、悲壮感ただよう「ジョーズ」と違い陽気で明るい雰囲気で物語が進行する点も魅力だ。アメリカの田舎の良さが出ている。
 
【効能】恐怖だけと明るくて楽天的で賑やか。寂しさが吹っ飛ぶ。
 
【副作用】怪獣の造型がやや稚拙、ヒロインが美人でないのでガッカリしてしまう。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
陸のジョーズ

 私は低予算映画が大好きである。限られた予算でどこまで充実した内容にできるか、制作者や俳優たちの腕の見せ所だ。
 野球に例えれば判り易い。メジャー映画は東京の某プロ野球チームのようにホームランの乱発で勝つようなものだ。低予算映画は盗塁・スクイズ・ヒットエンドラン・隠し球・敬遠球打ち、野球ルールで認められた数々の戦術を繰り広げて試合を運ぶ。スカも多いが嵌れば面白い。

 「トレマーズ」は1989年の映画だ。私にとっては「フットルース」や「ライトスタッフ」の余韻がまだ残っていた頃なので、「おお、フットルースの兄ちゃんが出とるやん。マーキュリーの宇宙飛行士が渋いオッちゃんになっとるやん」といった具合に感激した。(余談1)

 この映画の良いところを挙げよう。
 やはり、登場人物が憶えやすい。よくこれだけ特徴ある人物を設定できたものだと思うほど各々が印象深い。僅か90分余の作品に17人もの人物が登場し、いずれも個性的だ。ある程度キャラがだぶりそうな人物は、不謹慎な言い方になるが各々印象深い経緯で怪物の犠牲になる。

 次に、「陸のジョーズ」と賞賛されるほどの映画らしいが、「ジョーズ」のような不気味さ暗さは少なく、大半を明るいカントリーミュージック調BGMと楽天的で飄々とした明るい若者バル(ケビン・ベーコン氏)と中年アール(フレッド・ウォード氏)の対等な掛け合い漫才の様な会話が、作風のテンポを良くしている。

 3つ目は、舞台となる村がアメリカの田舎らしくて良い。どうやら田舎町の郊外にある集落のようだ。中国系のひょうきんなオヤジが経営する雑貨屋兼居酒屋を中心に家が数戸ある程度。あとは車でないと往来できないほど離れたところに数軒散らばっている。そのため各戸は無線機を設置してやり取りしているのがアメリカっぽい。
 10年も経てば限界集落(余談2)になりそうな規模なのだが大丈夫なのだろうか。実際にゴーストタウンと化した集落はけっこうあるのではと想像してしまう舞台だ。

 4つ目は、個人的な趣味だがヒロインが日焼けして化粧気が無く特に美人でないところが活発なアウトドア派の研究生らしくていい。よく動物モノや化石発掘モノのドキュメントで登場する女性学者や女学生を彷彿させる素朴さである。偏見かもしれないが、もし金髪碧眼美肌の都会的ヒロインだったら一気に説得力が無くなるだろう。

 5つ目は、これも個人的な趣味だが銃オタクの夫婦に味がある。後にシリーズ化されてシリーズ全体の主役となるマイケル・グロス氏扮する銃オタク・サバイバルオタクぶりに「共感」する部分が多い。その妻役のレバ・マッケンタイア氏は古き良き時代のポニーテール姿のアメリカン少女をそのまま30代のオバサンにしたような姿で銃を乱射したり口髭ダンディーな夫を叱ったりなだめたりする様が素敵だ。
 DVDで観るとき、ケビンから危険を報せる無線が入るや2人はお互いに緊張した面もちで見合わせ、妻が夫に銃を渡し2人は戦闘意欲満々で銃撃体勢に入る場面を何度も繰り返し観てしまう。(余談3)

 6つ目は、怪物の設定と恐怖のシチュエーションだ。風を遮る物が無い広々としたアメリカの大平原にある長閑な集落が一転して閉鎖された空間になるアイディアはなかなか浮かびそうで浮かばない面白い構図だ。

 これらを低予算だとかB級と呼ばれる規模で制作する、アメリカ映画産業の層の厚さを実感する完成度の高い作品だ。
 残念なことに、シリーズ化されたのは良いが俳優のギャラが高くなっていった順番なのか出演者が去っていき、銃オタク役のマイケル・グロス氏一人だけが残ってしまった。私はレバ・マッケンタイア氏との夫婦役でシリーズ全体に出演し活躍してほしかったのに。

(余談1)「フットルース」はケビン・ベーコン氏を一躍スターにした作品。ダンスが好きな主人公の高校生を演じた。ベーコン氏は髭が薄いのか若く見える。
 「ライトスタッフ」でフレッド・ウォード氏はアメリカの有人宇宙飛行の二番手ガス・グリソム宇宙飛行士を熱演する。グリソム氏は悲劇の飛行士で、後にアポロ1号の船内訓練中に火災が発生し死亡する。映画「アポロ13」の冒頭で紹介されるエピソードだ。

(余談2)過疎化が進み人口の半数以上が高齢者になっている集落。自治体を維持するギリギリの状態で、これ以上過疎化と高齢化が進むと後を継ぐ住民がいないため、近い将来ゴーストタウン化することが確実となる。

(余談3)2人がくつろいでいる時、夫のマイケルは無線片手にバドワイザーを呑み、妻のレバがペプシコーラーを飲みながら薬莢を研磨機にかけ、壁には猟銃から自動小銃・拳銃を壁一面に飾られ、作業机には各種工具類が並べられている風景が、普段の夫婦生活が滲み出て面白い。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
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☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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