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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「メトロポリス」 カップルで癒されたい時に〔14〕 

メトロポリス」 
20世紀初頭の映画人がつくりあげた
21世紀の光景

 


【原題】METROPOLIS
【公開年】1926年  【制作国】独逸  【時間】104分  【監督】フリッツ・ラング
【脚本】テア・フォン・ハルボウ フリッツ・ラング
【出演】アルフレート・アーベル(-)  ブリギッテ・ヘルム(-)  グスタフ・フレーリッヒ(-)  フリッツ・ラスプ(-)  ルドルフ・クライン=ロッゲ(-)  
             
【成分】笑える スペクタクル パニック 勇敢 知的 切ない セクシー アンドロイド 21世紀 SF 白黒 サイレント
            
【特徴】SF映画・特撮映画の金字塔。女性型アンドロイドのデザインは現代から見ても斬新で色褪せない。後のアンドロイドやロボットのデザインにも強い影響を与えた。また日本では特撮のイメージだけでなく世界観など手塚治虫氏らに与えた影響は計り知れなく、日本のSF漫画の源流の1つだ。

 特撮やアンドロイドのデザインが評判だが、物語のテーマは富裕層と労働者との対立を描いている。オチが些か楽観的で安直な嫌いがあり、当時からそれは批判の的だったが、資本主義と社会主義と封建主義を上手く共存させてきた日本では存外ありえない話ではない。
 
【効能】古めかしいフィルムに映った未来世界に興奮と感動が湧き起こる。日本の漫画・アニメの源流の1つをみる。
 未来へ希望が持てる。ヒロインのダンスに萌え。
 
【副作用】安直な結末に白ける。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
現代SF映画に影響を与えた金字塔

 84年にロックミュージックを付けて再編集されたジョルジオ版作品でレビューしたように、この「メトロポリス」の画像を最初に観たのはクイーンのプロモーションビデオ「ラジオ・ガ・ガ」からだ。それまでは「メトロポリス」という映画タイトルは知識としてはあったが、内容は全く知らなかった。

 「ラジオ・ガ・ガ」で映し出された都市の映像、未来的な高層ビルに透明パイプのような渡り廊下、ビルの谷間を縫うように鷹揚と浮かぶ飛行機。しかも恐ろしく古そうな白黒フィルム。大袈裟に聞こえるかもしれないが、驚愕した。
 クイーンのフレディ・マーキュリー氏が次に発表した主題歌のプロモーションビデオで紹介された女性型アンドロイドのデザイン、悪徳科学者がヒロインを実験台に縛り付けてアンドロイドにヒロインの姿を転写する場面の特撮技術、ヒロインの姿をしたアンドロイドの激しいストリップダンス、蜂起する労働者たちの迫力ある群衆場面。(余談1)
 伝説のSF映画だと聞いていた。しかし無声映画だと思って侮っていた。それは大きな不明だった。この時代にこんな壮大で斬新な映像をつくっていたなんて、しかも明らかに後のSF映画に計り知れない影響を与えている。

 アンドロイドは今見ても新鮮なデザインで、現在のSF映画にも強い影響を与えているのが良く解る。大勢のエキストラはよく訓練されており、特に本編では崩壊する労働者の地下居住区に水が溢れて子供たちが大勢助けを求めて主人公とヒロインのもとに集る場面などは感服を通り越して感涙する。子供たちの悲壮な表情や大量の水、当時のデリケートな機具を考えるとよく撮ったものだ。

 残念な事に、3時間を超える大長編大作だったが、客の回転を良くするためなのか短くカットされたり、内容が労働者と資本家の対決だったためにアメリカが嫌がって大幅に削られたり、さらに第二次大戦の戦火で散逸したりで、現存のフィルムは世界中から掻き集めて100分程度らしい。
 そのため、特に後半部分の話が飛んでしまっている。アンドロイドの制御が利かなくなったり、悪徳化学者が唐突にヒロインを追い掛け回し拉致するのを主人公が屋根上で追いかけ格闘するなど唐突に話が進む。

 手塚治虫氏はツギハギだらけの現在の「メトロポリス」ではなく、原版に近いフィルムを観たはずである。幻の場面について著作にでも残しているだろうか?

(余談1)影響を受けているかどうかは判らないが、アンドロイドは「スターウォーズ」に登場する人間型ロボットC-3POに酷似している。もちろん、C-3POが遥か後の映画なのだから、「メトロポリス」の方が元祖だ。
 実験台にヒロインが縛り付けられ頭に電極ヘッドを被せられる。悪徳化学者が大きなレバーを倒すと一方の電極に設置したアンドロイドが光の輪につつまれヒロインの姿になる。この場面はアニメ「新造人間キャシャーン」で生身の人間である主人公が転写装置に入って身体をアンドロイドにする場面を彷彿させる。
 手塚治虫氏が40年代に発表した作品にも「メトロポリス」がある。これは明らかにこの映画に触発されて描いたものだ。ジョルジオ版のパンフレットにも手塚氏はコメントを残している。

 この映画でヒロイン役のブリギッテ・ヘルム氏は清楚なヒロインと妖艶な悪のアンドロイドの二役を担当する。悪のアンドロイドは「ヨシワラ」にて紳士たちの前で激しいストリップまがいのダンスをするのだが、これが激しい動きと振り付け。90年代の日本でストリップ業界に革命を起した影山理菜嬢もビックリのダンスだ。体操選手のような体型なので、現代でもモデルとして十分通用するスタイルだろう。
 無声映画時代独特のメイクなので判りづらいが、彼女はこのとき20歳になるかならないかの若さだ。彼女の出演作はあまり無いため、私が観た80年代では既に天寿を全うされたのかと思ったら、まだご健在だった。彼女より一回りほど歳上のリリアン・ギッシュ氏が80年代でも現役で女優をやっていたことも驚きだったが。ヘルム氏は96年、ギッシュ氏は93年、それぞれ同時期の90年代に他界された。
 ヘルム氏のはナチスドイツの言論抑圧に反抗し30そこそこで女優を廃業、スイスに逃れたそうだ。頑なに女優時代の自分を封印した。

 因みに監督のフリッツ・ラング監督はユダヤ系だったためドイツを脱出、彼の妻であり脚本のハルボウ氏はナチに傾倒。そのナチの指導者ヒトラーは「メトロポリス」を高く評価。何を評価したかは判らないが、ヒトラーは広告デザインや工業デザインを観る目はあったのは確かだ。藝術家や政治家にはならず広告関係の仕事につくべきだった。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 

 
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