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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ブラック・レイン」 ストレス解消活劇〔53〕 

ブラック・レイン」 松田優作会心の悪役!
 


【原題】BLACK RAIN
【公開年】1989年  【制作国】亜米利加  【時間】125分  
【監督】リドリー・スコット
【音楽】ハンス・ジマー
【脚本】クレイグ・ボロティン ウォーレン・ルイス
【言語】イングランド語 日本語
【出演】松田優作(佐藤浩史)  マイケル・ダグラス(ニック・コンクリン)  高倉健(松本正博警部補)  アンディ・ガルシア(チャーリー・ヴィンセント)  ケイト・キャプショー(ジョイス)  若山富三郎(菅井組長)  内田裕也(梨田)  國村隼(佐藤の子分・吉本)  安岡力也(菅井の子分)  神山繁(大橋)  小野みゆき(みゆき)  島木譲二(菅井の子分)  ガッツ石松(佐藤の子分・片山)  ジョン・スペンサー(オリヴァー)
 
【成分】パニック 勇敢 切ない かっこいい ギャング ヤクザ 刑事
 
【特徴】反戦反核映画の名作「黒い雨」と同じタイトルだが内容は関係ない、これはギャング映画である。ただし、作中で暴力団組長を演じる若山富三郎氏が語る「BLACK RAIN」は名作「黒い雨」にでてくる放射能を含んだ雨を指している。昔ながらの任侠集団がアメリカの影響で単なる悪党になった事を嘆く場面だ。
 一応、現代の大阪が舞台になっているが、リドリー・スコット監督の趣味なのか80年代の日本ではなく戦後復興期の風景なども入り混じっている。
 悪役・松田優作氏が事実上主役のような存在感で、アメリカの視聴者は「日本びいき」と批難したくらいである。松田優作氏が健在だったら、日本人俳優が「スター」としてハリウッドに進出する時期は渡辺謙氏より10数年早まった。本作が松田優作氏の遺作映画となったのは残念である。
 
【効能】松田優作氏は悪役なのに、まるで力道山が白人レスラーを空手チョップで倒す時のような高揚感を感じる。
 
【副作用】松田優作氏が病身に鞭打っての演技と思うと悲しくなる。高倉健氏が従者扱いになっているのが不愉快。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
日米をイーブンで描いた最初のハリウッド映画

 もちろん、その前に日米開戦を描いた「トラ・トラ・トラ!」があるが、あれは日米双方が監督や脚本を出しての合作だった。今回はアメリカ人によるハリウッド映画でありながら、日本を、それも大阪をさほど違和感なく描写した事に意義がある。

 私は最初から完全に松田優作びいきで観ていた。松田優作氏こそ主人公で、アメリカの警察を翻弄するダークヒーローとしての活躍を観るために映画館に入った。(余談1)
 冒頭、マイケル・ダグラス氏扮する刑事が乱暴かつダイナミックなバイクの転がし方を披露して型破りの人物像が描写されるが、「バイクの運転技術なんか、我らの優作の方がもっと凄いぞ。あのだらしないマイケルの弛んだ頬や顎。マイケルとさほど歳が離れていない優作はスキッと若々しくて精悍な顔だぞ」などと思いながら観ていた。

 ダグラス氏扮するニック刑事が作中で日本を代表するスター高倉健氏を従者のように扱っていたのはやはり気になった。いつもならアジアを上から目線で見るハリウッドの悪い癖と怒りをおぼえるだろうが、今回は許そう。何故なら、悪役松田優作氏の存在感がずば抜けていて、主役をくっていたからだ。
 なにしろ、予定ではラストの格闘でダグラス氏に押し倒され地面に刺さっている杭に串刺しになって最期となるのが、背中に刺さろうとする杭の存在に優作氏が気付きニヒルな笑いを浮かべながら降参する場面に変更になったという。リドリー・スコット監督らも松田優作氏の存在感に圧倒されたのだろう。生きて警察に突き出されるので、もしかしたら続編も考えられていたかもしれない。(余談2)
 こんなことを言うべきではないのだが、日本人俳優のハリウッド本格進出は渡辺謙氏より10数年早くなっていたかもしれないのだ。

 撮影時、すでに癌に侵されていたことで、命と引き換えの壮絶な演技と世間では評されたが、優作氏の葬儀に参列した盟友成田三樹夫氏は「命と引き換えなんてとんでもない! 彼は癌なんて治ると思っていたし、次の出演作、次のステップの事を考えていた」という趣旨の発言をされていた。(余談3)
 たしかに、本作撮影後のインタビューで語った松田優作氏の発言をみても、そうかもしれない。

(余談1)和製スプラッタ「死霊の罠」で主役をはった小野みゆき氏が、なんとその翌年の本作に出演している。役名も同じ「みゆき」だ。しかし小野氏に悪いが私にはあまり印象に残っていない。高級クラブのホステスで松田優作氏の情婦役なのだが、どう観てもチョイ役だ。それより同僚ホステスに扮していたケイト・キャプショー氏の逞しい骨格のナイスボディーが新鮮に感じた。
 小野みゆき氏もけっして痩せているだけでない筋肉質の美しいスタイルをしているのだが、欧米人の骨格には負ける。脇のあたりの大胸筋がよく発達している、逆三角形だ。

 今や名優となった國村隼氏も松田優作氏配下の若い衆に扮している。「キル・ビル」では組長に昇格した?
 
(余談2)ラストの格闘では松田優作氏が拳法を使ってマイケル・ダグラス氏を殴る蹴るをしているとき、私は当然のことながら「やれ! アメ公いてこませ!」と声援を心の中で送っていた。

 因みにこの作品は日本とアメリカを現代から観てもほぼイーブンで描いていたが、公開当時のアメリカでは日本びいきとの批判があったそうだ。

(余談3)ただでさえ痩身の成田三樹夫氏は、この時はやせ細って骸骨のようで恐ろしかった。既に末期癌だったらしく、優作氏の後を追うように鬼籍に入られた。
 彼が演じたキャラクターで一番好きなのは「柳生一族の陰謀」に登場する剣豪公家烏丸少将だった。
 

 
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