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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「死霊の罠」 不安と恐怖を楽しむ時に〔14〕 

死霊の罠」 若き島田紳助小林ひとみが出演
 

 
【公開年】1988年  【制作国】日本国  【時間】100分  
【監督】池田敏春
【音楽】吉良知彦
【脚本】石井隆
【言語】日本語
【出演】小野みゆき(土屋名美)  本間優二(大輔)  小林ひとみ(麗)  島田紳助(原田)  桂木文(雅子)  中川えり子(理江)  清水宏(男)  阿部雅彦(近藤)  須和野裕子(タイム・キーパー) 
  
【成分】パニック 不気味 セクシー スプラッタ ホラー
  
【特徴】現在の日本のスプラッタはやたら明るい画像が多いが、これは陰鬱で猟奇的な雰囲気で話が進む。出演者の顔ぶれで判る様にポルノチックな表現が強めで、ホラーとしての面白みがやや欠ける。
 タイトルからしてサム・ライミ監督の「死霊のはらわた」を意識した作品である事が判るが、サム・ライミの世界だけでなく80年代のホラー映画の良さをパッチワークしたような感じだ。
 日本のスプラッタ映画の先駆として海外のマニアには知られているようである。若い頃の島田紳助氏や小林ひとみ氏が出演している点も貴重映像的価値あり。
 
【効能】闘う小野みゆきに萌え。
 
【副作用】エログロが苦手な人は吐き気をもよおす。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
和製本格スプラッターなのだが・・。

 公開時期(1988年)といい、タイトルといい、明らかにサム=ライミ監督「死霊のはらわた」シリーズに触発されて、日本でも本格スプラッタを、ということで制作された映画のようだ。

 監督は当時若手の映画監督池田敏春氏、主演は資生堂のCMから有名となり、一時は数々の映画やドラマでセクシー系ヒロインを演じ続けた小野みゆき氏。共演には当時のアダルトビデオ業界で旬の女優であった中川えり子氏に小林ひとみ氏、元アイドルでセクシー系にシフトしつつあった桂木文氏、この顔ぶれをみれば話の内容と展開がおおよそ予測できる。(余談1)

 小野みゆき氏扮する人気女性アナウンサーのもとに奇怪なビデオが送られてくる。人を切り刻みながら殺していく残酷描写のビデオだった。特撮をやっている節は無く、どうも本当に殺っている可能性がある。ビデオに写っている建物を特定すると、テレビクルーを引き連れて調査に乗り出す。そこで1人、また1人と無残なやり方で殺されていく。

 ビデオに描写された残酷描写といい、廃工場に乗り込んだスタッフたちが1人1人異なる方法で無残に殺されるなど、堅実にスプラッタのセオリーを守り表現した努力賞モノ作品だと思う。
 だが、本来は人を怖がらせるのがスプラッタのテーマでもあるのだが、どうもエロチシズムに偏り過ぎて折角の血飛沫残酷描写に怖さを感じない。映画制作の技術は大したものだと思のだが、ライミ監督のような徹底した描写が無いのだ。

 内容は「死霊のはらわた」よりもイタリアのダリオ=アルジェント監督「サスペリア」を意識したような描写が目立っていたように感じた。アルジェント監督自身がなにかのインタビューで、残酷描写にエロチシズムがあるような事を語っている。だからなのか、それともスプラッタだけでは客は来ないと思ったのか、セックスやレイプ場面を入れ、それらを小林ひとみ氏らアダルトビデオ出演経験者がを担当する。しかしそれでは予想通りの展開過ぎて面白くない。

 どうせやるなら、イタリアのトンデモ映画のジョー・ダマト監督のようにホラー風味のポルノにして小野みゆき氏も多少のお色気を担当させれば、まだ面白かったかもしれない。小野みゆき氏が絡みを演じる必要はけっして無いが、たとえばラストで猟奇殺人鬼と対決するとき、数々の死闘を繰り返してきたために服が破れ、血と汗で光る上半身裸か半裸の姿を披露しても良かったかもしれない。

 池田敏春監督はアルジェント監督ほど「藝術的」ではないし、ダマト監督ほど開き直った「俗物」でもない。もし同じ内容でアメリカのB級ホラー業界が無名の欧米人俳優を使ったら、まだ様になっていたかもしれないが、この作品では出演者の顔触れで話の展開が予測できてしまう。むしろ、ヒロインは小野みゆき氏一人に絞り、他は無名の新人AV女優に徹底した本格の演技指導を施して撮影しても良かったかもしれない。

 そしてもっと決定的なのは邦画にスプラッタはそぐわない。先程も述べたように同じ内容でアメリカのB級ホラーなら、それなりの作品に見えたと思う。しかし日本人俳優たちが演じたのでは、個人的な感想ではあるが信州蕎麦をオリーブ油で炒めてアラビアータ(簡単にいえば唐辛子トマトソースを絡める)にして食べるようなものだ。折角の蕎麦の風味がとんでしまう。
 日本のホラーはやはり冷たくジメジメして長い髪の毛がまとわりつくような昔ながらの心霊現象モノがよく似合う。その証拠に、後にブレイクした邦画ホラーはスプラッタよりも心霊現象を主軸にした「リング」や「呪怨」などが流行っている。(余談2)

(余談1)島田紳助氏もチョイ役で出ている。まさかこのヤンキーぽい兄ちゃんが大物司会者になるとは。たしかに頭の回転が速くて反射神経の鋭そうな会話ができる人だとは思っていたが、今や「弁護士軍団」「羞恥心」などのユニットを世に出す名プロデューサーにして、政界にも影響力を発揮する御仁となった。

追記・暴力団との関わりで芸能界を突然引退したのは潔いサプライズ、しかし吉本興業は復帰に向けての地均しともいえる動きがあるし、紳助氏自身も復帰への色気があるとも勘繰られても仕方が無い発言をはじめた。引退したのも残念だが、せっかく潔い姿勢を示したのにそれに水を差す行為も残念である。(2012年4月25日)

(余談2)本作公開の直後、埼玉で幼女連続殺人事件がおこる。犯人がホラー映画や漫画アニメのファンということで、これらジャンルが非難の対象となり全国規模の「悪書追放運動」が盛り上がる。
 しかし、私はこの風潮は不当な偏見だと思う。ではシューティングゲームのごとく撃ちまくるハリウッドの戦争映画は凶悪ではないのか? 世界紛争を煽っていないか? 殿様や家老が悪事に手を染めただけで大勢の家臣達が正義の味方によって一方的に皆殺しにされる時代劇は野蛮ではないのか? 通り魔殺人や右翼テロを促進させていないか?

 一時、派遣社員がまるで犯罪者予備軍であるかのようにマスコミは取り沙汰したことがある。猟奇殺人、通り魔殺人の犯人が派遣社員だったことが相次いだためだが、「犯罪発生率」だけを捉えたら、むしろ警官・自衛官を含めた公務員のほうが問題ではないか。少なくとも派遣社員に勝るとも劣らない犯罪発生件数だと思う。なぜ「公務員や政治家は盗人がやる仕事」と非難し忌むべきモノとして軽蔑しないのか?
 そこには権力を持つ者と持たない者の差別を感じるのである。根本は内容云々ではない。

 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 

 
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