FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「白バラは死なず」 家族と一緒に考えよう〔3〕 

白バラは死なず」 
「白バラの祈り」と合わせて観れたら良い。

 
白バラは死なず 
(現在、日本ではDVD化されていない)

【原題】DIE WEISSE ROSE
【公開年】1982年  【制作国】西独逸  【時間】123分  
【監督】ミヒャエル・ヘルホーファン
【音楽】コンスタンタン・ヴェッケル
【脚本】ミヒャエル・ヘルホーファン マリオ・クレープス
【言語】ドイツ語      
【出演】レナ・シュトルツェゾフィー・ショル)  ウルフ・ケスラー(-)  オリヴァー・ジーベルト(-)   
 
【成分】恐怖 絶望的 切ない 大学 ドイツ 第二次大戦

【特徴】ナチス政権下、ささやかながらも体制に抵抗を試みた学生グループたちの物語。
 
【効能】当時の大学の様子を描写。ヒトラーを熱狂的に支持するドイツ人しか知らない人にとっては新しい発見の連続。
 
【副作用】ラストのギロチンに驚く。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ごく普通の田舎の女学生が主人公。

 学生時代に観た。当時、知人が部落解放研究会に関わっていて、学内で展開している反戦反核運動の一環でこの映画の上演会をやっていた。知人の熱心な客引きに根負けして観たような記憶がある。
 
 作品内容は悪く無かったとは思う。ナチス支配下のドイツの大学で密かに反戦運動を展開する数人の大学生たちの物語だった。主にヒロインのゾフィーの視点を中心に描いていた。当時のドイツの大学の様子がよく描かれていたし、女子学生ゾフィーの揺れる心情も細かく丁寧に描かれていた。「白バラ」は反戦学生たちのシンボルである。
 
 当時の私にとって新鮮な発見だったのは、ナチスドイツの時代に細々とではあったが学生運動が存在していたという事。それから、狭い処刑室に合わせてコンパクトで斬新な設計とはいえギロチンが使われていた事。
 主人公ゾフィーは必ずしも「英雄」ではなく、当初は意気揚揚と都会の大学に入学してきた普通の少女だった。学内で密かな平和運動に関わる兄や友人たちに対しては、「リスクの割りに効果は無い、危険すぎる」と、極めて現実的な判断をする娘だった。
 
 そして処刑の直前、刑務官の女性が非常に同情的な表情でゾフィーを処刑台に俯せに寝かして両腕両足をベルトで縛っている場面。ナチスドイツのイメージから刑務官は当然嘲笑を浴びせながら処刑に臨んだと思うのに、この作品に登場する刑務官はゾフィーに同情していた。政治的背景は無く、率直に若い身で処刑されていく少女を哀れんでの事と思うが。
 
 この作品は、主に当時の大学生の生活、学内での地下運動や、工場での奉仕活動で見かけたロシア人少女との出会い、学徒動員で将校として出征している恋人クリストフとの葛藤などが描かれていた。ラストは逮捕の場面から処刑の直前へと簡単に流していたように記憶している。(余談1)
 
 近年、制作された「白バラの祈り」は、新たに発見された尋問記録を基に逮捕されてから処刑までの期間を重点に描いているそうだ。だから、彼女が学内の反戦運動に加わり逮捕されるまでをこの作品で、逮捕されて処刑されるまでを「白バラの祈り」で観ると良い。

 本国ドイツではDVD化されて流通しているらしいが、日本では手に入れるのは難しい。 
  
(余談1)ゾフィーに扮していた俳優は、特に容姿端麗という訳ではなく平均的なドイツ人の風貌だったので好感が持てる。こういった映画では世間でいうところの「美人」を使うので、興行は良いかもしれないが私は説得力を感じなくなるのだ。
 それから、恋人クリストフとの逢瀬のとき下着姿で登場するのだが、ブラを着けた胸のアップがある。スレンダーな腋から比較的豊な腋毛が鮮明に映っていた。これは好感がもてる。私が腋毛趣味という訳ではなく、当時の女性は腋毛を剃る習慣が無かったから時代考証的に好感をもっているのだ。
 腋毛を剃る習慣は、たぶん第二次大戦後アメリカから世界へ広まったのではないかと思う。
 
 「白バラ」の意味は、既成の左右政治勢力とは関係なく、純粋に人間としての良心から戦争に反対する意思表明を意味していると言われている。
 当時、反ナチは社会主義者・ボルシェビキというレッテル貼られる事(日本でいえば「アカ」と呼ばれるようなもの)が多かったので、それを嫌った学生たちはキリスト教文化なら馴染みの「純潔」を意味する白バラシンボルにしたのではないかと推測される。
 
 ナチス政権下のドイツといえばユダヤ人虐殺があげられるが、本作でもチラリと登場する。ゾフィーの兄たちが下士官の資格で軍事教練の一環の奉仕活動をしているとき、大勢の人が山中の森林に連行されていくのを一瞥する場面がある。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作


晴雨堂関連作品案内
白バラの祈り -ゾフィー・ショル、最期の日々- マルク・ローテムント
 
晴雨堂の関連書籍案内
白バラは散らず 改訳版―ドイツの良心ショル兄妹
「白バラ」尋問調書―「白バラの祈り」資料集
「白バラ」―反ナチ抵抗運動の学生たち (CenturyBooks―人と思想)
白バラを生きる―ナチに抗った七人の生涯
 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://seiudomichael.blog103.fc2.com/tb.php/73-6b46888a

 1943年ミュンヘン大学において反政府の内容が書かれたビラをまいたとして秘密警察に連行されたハンスとゾフィーのショル兄妹の逮捕から処刑にいたるまでの5日間を、かつてソ連軍...
[2007/12/31 18:07] flicks review blog II
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
124位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
64位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク