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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」 ストレス解消活劇〔55〕

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」 
シリーズ新たな展開




【原題】THE MUMMY: TOMB OF THE DRAGON EMPEROR
【公開年】2008年  【制作国】亜米利加  【時間】112分  
【監督】ロブ・コーエン
【音楽】ランディ・エデルマン
【脚本】アルフレッド・ガフ マイルズ・ミラー
【言語】イングランド語 中国語
【出演】ブレンダン・フレイザー(リック・オコーネル)  李連杰(皇帝)  マリア・ベロ(エヴリン・オコーネル)  ジョン・ハナー(ジョナサン)  ラッセル・ウォン(ミン・グオ)  リーアム・カニンガム(マグワイア)  ルーク・フォード(アレックス・オコーネル)  梁洛施(リン)  アンソニー・ウォン(ヤン将軍)  楊紫瓊(ツイ・ユアン)  
  
【成分】笑える 楽しい ファンタジー スペクタクル ゴージャス パニック 勇敢 かっこいい コミカル BC2世紀 1940年代後半 中国
  
【特徴】前作からさらに10年余り経過、主人公とヒロインは豪邸でのんびりとした生活、一人息子は成人して遺跡発掘を担うようになる。そこへ中国の古代遺跡にまつわるミッションが依頼される・・。
 もともと1930年代の映画「ミイラ再生」のリメイクだったのが、シリーズ化され3作目になると本家から外れて独自路線に入る。もはや古代エジプトは関係なくなり、ヒロインもエジプト王女装束が似合う黒髪のレイチェル・ワイズ氏からファンキーなアメリカン中年オバサンにしか見えないマリア・ベロ氏に交代、シリーズはミイラ求めて世界を駆け巡るアドベンチャー・ファミリーと化す。
 香港映画に見劣りしない中国描写をハリウッドが手がけたのは嬉しい。
 
【効能】決して絶望しない冒険家族の果敢で明るい戦いぶりに元気をもらえる。李連杰氏が悪役なので、東アジア系観客はつい悪役を応援してしまう。
 
【副作用】李連杰氏が悪役に見えない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
次回四作目はインカ帝国が舞台かな。

 「ハムナプトラ」シリーズはあまり好きではない。それなりに面白いのだが、ハッキリ言って「インディー・ジョーンズ」の亜流のB級で映画館で観ようと思ったことはなく、今までビデオで済ませてきた。李連杰氏(ジェット・リー)が「主演」するので映画館に足を運んだのだ。

 ハリウッドもかなりアジアへの理解が深まってきたのか、あるいは中国や日本の観客をあてにせざるを得ないのか、冒頭はちょっとした感動を覚えた。(余談1)春秋戦国時代の中国を舞台に天下統一の野望を剥き出しに戦を繰り広げる李連杰皇帝の姿を描写していた。香港の歴史モノと比べても遜色ない映像である。雰囲気はちょうど李連杰氏が主演した張藝謀監督「英雄」によく似ていて、これは嬉しかった。

 「中国」という世界はかなり正確に描写されているが、時代考証はかなり無視している。ちょうど「ラストサムライ」で描かれた日本のようなものだ。(余談2)ただ、「ラストサムライ」と違って、本作は完全なドタバタアクション娯楽作、資本金はそこそこかけていそうだが内容はB級に徹してあり、単純な勧善懲悪ものであるので時代考証云々の野暮は言わない。

 李連杰氏が悪役に見えないのは気になったが、テンポの良いドタバタアクションに加えて中国香港仕込のキビキビとしたアクションもあり楽しく観賞できた。オノ・ヨーコ氏を少し美人にした楊紫瓊氏(ミシェル・ヨー 「サンシャイン2057」の食糧栽培担当者)や吹石一恵氏と仲間由紀恵氏を合わせたような梁洛施氏(イサベラ・リョン)の起用もグッドだろう。東アジア人の感覚では美人に見えない女性をハリウッドはヒロインによく起用するが、今回は中国や日本の市場を睨んだキャスティングのように思える。

 ただ、1点だけ大いに不満がある。ラストの佳境で李連杰氏が軍勢を前に綺麗な中国語で演説するのに対し、楊紫瓊氏扮する呪術師が悪の皇帝に対抗してゾンビ軍団を呼び覚ます呪文が英語だった。不老長寿の水を飲んで歳をとらず2千年間生きてきた設定なので、世界各国の言語を流暢に操れる事も十分ありえる。だから英語が話せても不思議ではない。が、かつて皇帝によって虐殺された人々の屍を蘇らすのだから中国語でなくてはいけない。楊紫瓊氏は中国系マレー人で一応中国語はできる。なぜ英語にしたのか、制作者はいらん事をした。
 また、楊紫瓊氏が李連杰氏と鍔迫り合いして負傷した時、娘役の梁洛施氏が英語で駆け寄るのも不自然。母語は中国語ではなかったのか?

 さて、「ハムナプトラ」シリーズ、エジプトから中国に舞台を移した。古代エジプトの装束が似合いそうな黒髪のレイチェル・ワイズ氏は降板し、代わりにマリア・ベロ氏が務める。どう見ても彼女は神秘的な古代エジプト女性の転生には見えない、普通のファンキーなアメリカンおばさんだ。
 当初のエジプト転生ネタから新たな段階に入ったといえる。4作目ができるとしたら中南米のアステカかインカかなと思っていたら、正味のラストでそれを思わせる台詞が出てきた。

(余談1)エンディングクレジットでは、役職名を漢字で表記していた。しかも中華人民共和国で使用されている簡体字である。これは北京オリンピックでわく中国を意識しているのか?
 因みに、日本でいう昔の字は繁体字という。漢字文化圏では「正字」と呼ぶときもある。簡体字が使われているのは共産党政権下の中国であり、台湾や世界各地の華僑では使用されていない。台湾人の知人は簡体字はさっぱり読めないという。

(余談2)舞台となった第二次大戦直後の中国は、蒋介石の国民党政府と毛沢東の共産党政府との抗争が激化している時代だった。49年には国民党は台湾へ撤退し、毛沢東は天安門広場で「中華人民共和国今天成立了!(中華人民共和国本日成立した)」と宣言する。だから、映画の上海では相変わらずニューヨークと香港を併せたような賑やかな街なみだったが、私はちょっと違うような気がする。
 また、悪の皇帝を蘇らせた軍閥だが、軍服は国民党の中華民国軍のものとはデザインが違う。それに共産党の八路軍ならいざ知らず、副官を務める女性将校などいるはずがない。
 ようするに、中国革命の要素は完全に省略されている訳だ。物語の構成と国際世論を考えたらやむを得ないかな。革命を入れたら話が拡散してまとまりにくいし、八路軍と国民党軍を出したら中国と台湾が怒るかもしれない。あくまで空想の中国を舞台にした政治色ゼロの夢物語に徹している。これは悪い事ではない。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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コメント

ジェット・リー、ミシェル・ヨーが出る、ということで、とっても惹かれたのですが、ジェット・リーが「悪役」だからなあ…、ということで、結局見なかったこの映画。
解説していただいて、本当によかったです!
ジェット・リーファンの私、ついつい、彼の悪役ものは敬遠してしまいがちです。
ハリウッドが中国描写を比較的(?)きちんとしてくれたのは、大進歩ですね。
しかし、ハリウッド特有の大ざっぱさは、相変わらずですか(^_^;)

Re: タイトルなし

MAHHYA氏へ
 
 たしかに悪役ですが、織田信長のような感じで良かったですよ。私にとっては李連杰主演の映画です。

> ジェット・リー、ミシェル・ヨーが出る、ということで、とっても惹かれたのですが、ジェット・リーが「悪役」だからなあ…、ということで、結局見なかったこの映画。
> 解説していただいて、本当によかったです!
> ジェット・リーファンの私、ついつい、彼の悪役ものは敬遠してしまいがちです。
> ハリウッドが中国描写を比較的(?)きちんとしてくれたのは、大進歩ですね。
> しかし、ハリウッド特有の大ざっぱさは、相変わらずですか(^_^;)

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