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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

李連杰(ジェット・リー) 「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 (2008)」 

李連杰氏(ジェット・リー) 
ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝


 「ハムナプトラ」で李連杰氏(ジェット・リー)は悪の親玉を演じた訳だが、私には「呪われた皇帝」というよりも「悲劇の皇帝」に見えてしまった。李連杰氏への贔屓目であることは素直に認めよう。

 もともと私は「ハムナプトラ」の主人公たちには良い印象はもっていなかった。「インディー・ジョーンズ」の亜流でしかない山師だ。当然のことながら、私にとっては秦の始皇帝をモデルにしたらしい悪の皇帝に扮する李連杰氏が主役だ。張藝謀監督「HERO」で秦王(後の始皇帝)を狙う刺客役だったのが、本作で一転して冷酷な始皇帝の役をやる。彼の悪役ぶりに興味があった・・。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。

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なんて爽やかな悪行皇帝だ!

 欧米人はやはり李連杰氏の皇帝は極悪非道の悪魔に見えるのだろうか? 私には織田信長を爽やかにした白面の青年皇帝にしか見えないのだ。敵は誰であろうと躊躇なく殺す冷酷な皇帝、だからこそ中国を統一できた。
 皇帝が生きていた二千数百年前とは違い複雑な20世紀社会、いわば皇帝にとっては右も左も判らない「未来世界」、そんな時代に覇を唱えようとする狡猾な中国軍閥に絶対の忠誠を誓わせ完全な忠義の塊のような下僕にさせる、威圧感というよりは存在感といった方が良い。

 蘇った兵馬俑がうんかのごとく皇帝の前に整列する。現代兵器に武装した将軍以下兵士たちも緊張の面もちで敬礼する。そして2千年ぶりに青年の姿で蘇った皇帝は、「世の中は乱れている。これを正さねばならない。自由はことごとく潰す。私が支配するのだ」という趣旨の演説を綺麗な普通話(余談1)でぶちあげ、兵馬俑たちは頷きながら聞く。
 そうなのだ、第二次大戦以降はますます世界は混迷し、悪い意味の自由が跋扈し、世界は自由に殺し合いをしている。こんな若々しい無敵の皇帝と無敵の軍勢があれば、世界は漢字文化圏に統一され、他民族を蹂躙しキリスト色に染めてきた欧米人に逆襲できる、などと思ってしまうのだ。

 けっきょく何が言いたいのかというと、李連杰氏は悪役に向かない。彼の演技が下手というわけではなく、余程の悪辣な事をしなければ悪役に見えず、悪の影を浮かべる渋い悲劇の主役になってしまうのだ。彼がやったことは欧米人も南米・アフリカをはじめ世界各地でやっている。彼の主張は利己的だが、権力者にとっては理にかなっている。
 かつて「ブラックレイン」で松田優作氏が悪の親玉に扮した時も、主役であるはずのマイケル・ダグラス氏は三下(余談2)にしか見えなかった。李連杰氏も松田優作氏もただの俳優ではない。カリスマと讃えるファンが大勢いるのだ。
 ラストの大合戦で彼が馬を駆って突撃する時の顔を見よ、悪の皇帝というより自分の野望を砕かれてたまるか、と言わんばかりの悲壮感ただよう顔ではないか。

 皇帝役は、白面の童顔ではなく、もっと悪役に相応しい悪人顔で、でっぷりと肥え太った感じの俳優か、または李連杰氏にそういうメイクを施すべきだった。でないと私には李連杰氏が主役に見えてしまう。

(余談1)プートンファ。中国の標準語。北京周辺の発音を基準にした言葉である。

(余談2)簡単にいえば、ヤクザ社会の最下級チンピラ。

  
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[ 2009/08/25 20:26 ] 映画・・男優評 | TB(0) | CM(3)
そうですか、ジェット・リーは、悲しき主役に見えるのですね。

やはり、やはり、晴雨堂ミカエルさんのレビューは、参考になります!
ジェットリーファンだからこそ、見てもいい作品なんですね(^_^)
確かに、童顔、あんなにかっこいいのになぜか男性的なセクシーさを感じさせない彼は、悪役に向かないのかもしれまんね。
[ 2009/08/26 16:54 ] [ 編集 ]
晴雨堂さん、はじめまして。突然の紹介で失礼します。


ジェット・リーがアクションを封印して自閉症の息子との情愛を演じる映画「海洋天堂」(原題)が今年中国・香港・台湾などで公開されたのをご存じでしょうか。

ジェット・リーは脚本に感動し、ほぼノーギャラでこの映画への出演を決めたそうです。

この映画の音楽担当は、久石譲さんです。医学監修には日本人も関わっているそうです。


しかし、この映画は娯楽作ではないので興行的に不安があるのか、日本での公開はまだ決まっていません。

そこで、この映画の日本公開を目指して『ジェット・リーの「海洋天堂」を日本で観たい!』という活動を以下URLのサイトで行っていて、ネットで賛同メッセージを募っているそうです。
http://oceanheaven.amaterasuan.com/
もしよろしければ、ご協力お願いいたします。

(注…私はこの日本公開活動の運営者ではありません)


映画「海洋天堂」のストーリーです

水族館に勤める王心誠(ジェット・リー)は、妻を亡くして以来、自閉症の息子の大福を男手ひとつで育ててきました。
大福は海で泳いだり、水中の生物と触れ合うのが好きでした。
大福が22歳になり、心誠は将来の息子の自立について考えていました。
そんな中、心誠が末期がんに侵されていることがわかり…


予告編動画(英語字幕付き)
http://www.youtube.com/watch?v=F6MGxP2_oi8
[ 2010/11/04 16:55 ] [ 編集 ]
まっぴ氏へ
 
 返事が遅れてすみません。平素はコメントの書き込みが殆ど無いサイトですので、つい返信を忘れてしまいます。
 
 情報ありがとうございます。この内容なら、DVD化されたとき日本でも販売になると思いますが、劇場公開なればいいですね。
 
 
[ 2010/11/19 17:44 ] [ 編集 ]
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