田母神俊雄 近頃の現象[二百一]
広島平和式典「被爆者も2世もいない」
田母神(たもがみ)俊雄・元航空幕僚長は25日、衆院宮崎1区に立候補している無所属前職の応援演説で宮崎市を訪れ、広島原爆の日の6日に広島市で開催された平和記念式典の列席者について「被爆者も2世もいない。左翼ばかりだ」などと述べた。これに対し、広島、長崎の被爆者からは批判の声が上がっている。(毎日新聞)
【雑感】なにか挑発するような発言をするだろうと思ったら、やはり。
被爆者や左翼護憲派市民への嫌がらせや挑発だ。もし嫌がらせ挑発の類ではなく、本当にそう思っているとしたら、田母神俊雄氏個人の資質に少し問題があることになる。
平和記念式典を「左翼の集まり」と決め付ける自体は辛うじて事実誤認ではない。左翼・右翼の基準は当人の社会的ポジションで左右される。極左から見れば朝日新聞だけでな共産党機関紙赤旗でさえも「ブル新」だが、田母神俊雄氏のポジションからでは商業紙朝日だけでなくマスコミや自民党政権すら真っ赤に見えるだろう。田母神俊雄氏のような人間から見れば平和記念式典に集まる人々が左翼にしか見えない。
しかし「被爆者も2世もいない」という具体的発言になってしまうと事実関係に反する。実際に参加した被爆者たちは激怒している。伝聞情報と偏見にまかせた失言だ。
偏見や主観はかなり曲者である。日米開戦時、日本の情報統制は稚拙杜撰でアメリカに全て筒抜けだった。ところが初戦は日本軍が優勢だったのである。潤沢な情報を得ながら日本の機動部隊・空挺部隊・航空兵力があそこまで活躍するとは分析できなかった。なぜそうなったかというと、日本に対する蔑視や偏見が目を曇らせていたからだ。
しかしアメリカの怖いところは、一度負けると徹底して挽回する努力を怠らないことだ。対日本の研究家や情報部員を大幅増員し、日本語会話ができる人員も養成した。アメリカ軍が対日情報スタッフを2千人近く投入していたのに対して、日本軍ではせいぜい数十人程度の規模だった。しかも英語は敵性語として禁止までしている。
日本では情報戦には消極的で、むしろ思い込みにまかせた戦術で戦力を浪費してしまう。蔑視や偏見などの「思い込み」にまかせた戦術でだ。
田母神俊雄氏が「空軍大将」を退役して良かったかもしれない。左翼を貶す論調が非常に強いが、「思い込み」にまかせて失言するようでは、戦時になった時に敵勢力を思い込みに左右されて誤認し、勝てる戦を負け戦にしてしまう危険がある。「日本はとにかく絶対悪だ」「中国・朝鮮・韓国は被害者だ」と信じて疑わず、日本人拉致やチベット問題などのマイナス情報を無視する左翼と資質は変わらない。
「空軍大将」までなったほどの俊英だから、思い込みにまかせての失言ではなく、政治的意図をもって故意に被爆者や左翼護憲派市民の心を傷つけ怒らす目的で発したのだろう。



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コメント
Re: タイトルなし
タニプロ氏、お久しぶりです。
それは、靖国でニアミスという意味ですか? それとも本当にぶつかっていこうとした? ぶつかってこられそうになった?
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