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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「海底二万哩」 家族と一緒に感動しよう〔13〕 

海底二万哩」 潜水艦モノの古典的名作
 


【原題】20,000 LEAGUES UNDER THE SEA
【公開年】1954年  【制作国】亜米利加  【時間】127分  
【監督】リチャード・フライシャー
【原作】ジュール・ヴェルヌ
【音楽】ポール・J・スミス
【脚本】アール・フェルトン
【言語】イングランド語
【出演】カーク・ダグラス(ネッド・ランド)  ジェームズ・メイソンネモ船長)  ポール・ルーカス(アロナクス教授)  ピーター・ローレ(コンセイユ助手)  ロバート・J・ウィルク(-)  テッド・デ・コルシア(-)  カールトン・ヤング(ジョン・ハワード)  J・M・ケリガン(-)  パーシー・ヘルトン(-)  テッド・クーパー(-)  フレッド・グレアム(-)  エディー・マー(-)  ハリー・ハーヴェイ(-)  
  
【成分】ゴージャス ロマンチック 不思議 パニック 勇敢 知的 切ない かっこいい 海洋冒険 潜水艦 19世紀 
  
【特徴】ジュール・ヴェルヌの名作の映画化、潜水艦モノの古典的名作である。19世紀前半の、まだ帆船が主流の時代に潜水艦を建造して世界革命を目論むネモ船長たちの理想と野望と挫折を描く。潜水艦ノーチラス号のデザインが19世紀的でグッド。
 ネモ船長役にはロンメル将軍で有名なジェームズ・メイソン氏、若きカーク・ダグラス氏が粗暴で人情味のあるアメリカのオッサンを好演。
 
【効能】小学生の夏休み鑑賞映画に最適。
 
【副作用】原作ファンは激怒。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ディズニーらしい「改悪」映画。

 子供の頃、ワクワクしながら観た記憶がある。私のお気に入り映画の一つなのだが、たぶん原作を先に読んだら「改悪」が気になる映画だろう。(余談1)
 原作ではタイトル通り世界の海を駆ける壮大な冒険SFファンタジーなのだが、映画化にあたって大幅に割愛され過ぎている。原作のネモ船長はもっと謎めいた人物だが、映画では良く言えば信念の人、悪く言えば単純で頑なな狂信的人物に描かれ、原作では生死不明のままラストになり続編で素性が明らかになるので死んでいないのだが、映画では理想が破綻して殺される。

 しかし、ディズニーにとっては幸いか、私にとっては不幸なのか、未だ原作を知らない素直な少年時代に観たので新鮮な感動を抱いてしまった。謎の潜水艦ノーチラス号のクラシックなデザイン、艦内の豪華な内装と19世紀的メカや制御盤、未だ帆船が主流の1800年代半ばに潜水艦ができたらこんな感じか。(余談2)ディズニー映画にとっては記念すべきシネマスコープのカラー作品であり、初の特撮映画になるかもしれない。
 ネモ船長役にはジェイムス・メイソン氏、50年代から60年代に青春時代をおくった映画ファンにとってはロンメル将軍役で有名だ。教授役はポール・ルーカス氏、野卑な船乗りのネッドは若き日のカーク・ダグラス氏。
 物語は御存知の方も多いと思うが、各地で謎の海難事故が発生し、それを教授と助手、銛の名人で船乗りのネッドたちが調査に乗り出すが船が沈没し、謎の潜水艦ノーチラス号に助けられる。ネモ船長は偉大な科学者にして技術者にしてカリスマリーダー、超未来的技術で潜水艦を造り同志たちと世界革命を起こし大国によって搾取されている全世界の貧困層を解放しようとしていたのだ。頻発する海難事故もネモ船長によるテロだった。

 前述したように、映画ではネモ船長を頭は良いが単純で頑なな人物に描かれている。むしろカーク・ダグラス氏のネッドを魅力的な人間に描いているのが特徴だ。ネモ船長のような知性は無いし崇高な思想も理想も大義もない。(余談3)またそういうものに全くの無関心。教授はノーチラス号のテクノロジーに酔い、ネモ船長の政治的信念に抵抗を感じながらも感化されていくが、ネッドの興味は金銀財宝だけ。
 しかしノーチラス号の攻撃で沈没する船を目撃して、自分と同じ船乗りが大勢死んでいく様を前にすると初めてネモ船長に激しい敵意を抱き、妨害工作を展開するようになる。さらに彼にとって敵であるネモ船長たちが巨大イカに襲われている光景を目撃すると反射的に助けに行ったり、ノーチラス号が沈没する時にテクノロジーを未練がましく持ち出そうとして逃げ遅れかける教授に対し、ネッドは金銀財宝に目もくれず教授たちを助け出すのである。

 アメリカ人が喜びそうな正直素朴・ヒューマン・善良・野性的なオッサンを演じていた。子供の頃の私も、ネモ船長より船乗りネッドに親近感を抱いていた。
 そういう意味では、ディズニーの「改悪」は的を得ている。ヴェルヌのファンは激怒するが、事情を知らず平和な世界で暮らす無邪気な子供達にはウケるだろうから。
 
(余談1)たとえば、ユル・ブリンナー氏とデボラ・カー氏共演の「王様と私」のレビューでも述べたが、タイを未だ知らない幼児の頃に観たらコミカルで感動の名作ミュージカルだと手放しで楽しむ事ができたかもしれない。
 しかし、アジア諸国の歴史を積極的に学び、ヨーロッパ人による数世紀にわたって行われてきた世界侵略と植民地支配の歴史を知り、アジア人の自覚をもつ高校生に成長した時になって初めて観たので、作品完成度の高さを評価しつつも複雑な気分になった。
 「海底二万哩」はいわばその逆パターンだ。

(余談2)もし、現代の原潜が舞台となった時代にタイムスリップしたら、やはり同じような感じになるだろう。戦闘を行う場合もミサイルや魚雷を使っては勿体無い。体当たりで十分かもしれない。
 そういう意味で、原作者ジュール=ヴェルヌの先見性を評価するファンもいる。

(余談3)現在位置推定して緯度経度をメモ書きし他船へのメッセージとして海に流す場面がある。これを観た時、「ネッドて馬鹿で下品だと思っていたけど賢いんやな」と子供心に感心した。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】アカデミー賞(美術監督・装置賞 カラー)(1954年)
 
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ジュール・ヴェルヌ原作映画
センター・オブ・ジ・アース [DVD] エリック・ブレヴィグ
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気球船探険 スタジオ・クラシック・シリーズ [DVD] アーウィン・アレン
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海底二万マイル (ポプラポケット文庫 (410-2)) ジュール・ベルヌ




 
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ディズニー
クラシック「海底二万マイル」を見ました。
素晴らしいセットに感激しながら、
ストーリーとしては当時の子供達には難しいのでは?
当時の興行として成功したのだろうか、と
考え、ここに辿り着きました。
色々と参考になりました。
ありがとうございます。
[ 2010/07/17 19:27 ] [ 編集 ]
「最近、クラシックにはまっています。」氏へ
 
 たぶん、カーク・ダグラス扮する船乗りが、子供たちの視点になるのではないかと思います。

> ディズニー
> クラシック「海底二万マイル」を見ました。
> 素晴らしいセットに感激しながら、
> ストーリーとしては当時の子供達には難しいのでは?
> 当時の興行として成功したのだろうか、と
> 考え、ここに辿り着きました。
> 色々と参考になりました。
> ありがとうございます。
[ 2010/07/18 11:31 ] [ 編集 ]
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