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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「OK牧場の決斗」 ストレス解消活劇〔58〕 

OK牧場の決斗」 アメリカ仁侠映画の金字塔。
 

 
【原題】GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL
【公開年】1957年  【制作国】亜米利加  【時間】122分  
【監督】ジョン・スタージェス
【原作】
【音楽】ディミトリ・ティオムキン
【脚本】レオン・ウーリス
【言語】イングランド語
【出演】バート・ランカスターワイアット・アープ)  カーク・ダグラスドク・ホリデイ)  ロンダ・フレミング(ローラ・デンボー)  ライル・ベトガー(アイク・クラントン)  ジョン・アイアランド(ジョニー・リンゴ)  ジョー・ヴァン・フリート(ケイト・フィッシャー)  リー・ヴァン・クリーフ(エド・ベイリー)  アール・ホリマン(チャーリー・バセット)  デニス・ホッパー(ビリー・クラントン)  ケネス・トビー(-)  デフォレスト・ケリー(モーガン・アープ)  ジャック・イーラム(トム・マクローリー)  ブライアン・ハットン(-)  フランク・フェイレン(-)  マーティン・ミルナー(ジェームズ・アープ)  オリーヴ・ケリー(-)  テッド・デ・コルシア(シャンハイ・ピアース)  
  
【成分】勇敢 かっこいい 銃撃戦 西部劇 1881年 アメリカ・アリゾナ州
  
【特徴】西部開拓史上有名な実際の決闘事件を映画化。バート・ランカスター氏が主役だが、助演で強い個性のカーク・ダグラス氏の印象が非常に強い。「スタートレック」のドクター・マッコイが、ここではまだ若く主人公の弟に扮している。
 ショットバーで、ドグ・ホリディが咳き込みながらショットグラスのバーボンをあおる場面が印象的。
 
【効能】アメリカの任侠道を垣間見れる。兄弟愛と友情に感動。ラストの銃撃戦でスカッとストレス解消。
 
【副作用】もうすぐ20世紀になろうという時代なのに銃の乱射事件、アメリカ文化の凶暴性に恐れおののく。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
カーク・ダグラス
バーボンをあおる姿がカッコ良い。


 カーク・ダグラス氏の代表作になるだろう。共演はバート・ランカスター氏、監督は「荒野の七人」「大脱走」「宇宙からの脱出」で名高いジョン・スタージェス氏。

 カテゴリーとしては西部劇になるのだろうが、私は「清水の次郎長」のような任侠劇に見える。舞台となった時代も次郎長が活躍していた時期とほぼ同じだ。もっとも、西部劇は概ね日本の時代劇・任侠劇に相当するのだが、ランカスター氏扮するワイアット・アープ保安官と歯科医くずれの博打うちドク・ホリデーの義理人情は任侠道に通ずる。(余談1)

 御存知の方も多いと思うが、1881年頃に起こった実際の事件が題材で、登場する人物も実在していた。映画の雰囲気では確かに「決闘」と呼ぶに相応しいかもしれないが、実際は無法者の牛泥棒クラントン一味を武装解除させるためにOK牧場にワイアットら保安官と助っ人のドク・ホリデーが赴いた。
 また、原題「GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL」を見ればわかるように、「GUNFIGHT」は銃撃戦であり、「CORRAL」は厳密にいえば牧場ではなく、馬などを預かったり売ったりする所で畜獣を放牧するような農場ではないのだが、日本人の感覚では区別がつかない。邦題をつけた人は映画の内容を意訳したようだ。良いタイトルだと思う。

 時代劇好きの日本人が古き良き時代の「時代劇」に感動するように、これも西部開拓史の伝説に憧れるアメリカ人にとっては忘れる事ができない歴史的事件であり映画作品である。そのためか本作以降も何度か映画化されている。(余談2)
 内容は完全に男の世界である。女性も登場するがヒロインというよりは完全に脇役だ。一応主人公はランカスター氏のワイアット保安官だが、助演であるはずのカーク・ダグラス氏のドク・ホリデーが強烈な印象を与え、事実上主役は2人である。

 当時の任侠や無法が幅を利かせている社会の中でワイアット保安官が遵法法治の立場との兼ね合いに苦慮している政治家的姿勢、ドク・ホリデーの紳士的身なりの良さに反比例して破滅的な生き方が面白い。銃撃戦よりも「男の世界」に生きる2人の「男同士の会話」が魅力的だろう。これで西部劇が好きになった者も少なからずいるはずだ。(余談3)

(余談1)次郎長はワイアット達とは二回り以上歳上である。だから、次郎長モノ映画を観るとき、付き従う若い衆たちを見て「あいつらがワイアットたちと同世代なんだな」と考えたら面白いかもしれない。
 「OK牧場の決闘」が行われた時期には、次郎長は既にヤクザの世界から実業家へと転進している。船会社を設立したり英語塾を開設したのは有名。もし、アメリカ史に名高いOK牧場の決闘のことを知っていたら面白いが。

 ドク・ホリデーの「ドク」はドクターの意味だ。映画のイメージから些かかけ離れているが、歯科大を出ているインテリで元々は歯科医師をやっていた。肺結核を患い余命は数ヶ月と宣告されてから道を踏み外し、博打と酒に溺れ、OK牧場の決闘の数年後に病死する。30代の半ばくらいだった。

 ワイアット・アープは事件後もクラントンの縁者からの報復に悩まされ、OK牧場での一件は無罪となったが、その後の騒動では逮捕状が出てしまい、ドク・ホリデーとともに町から逃亡する。デフォレスト・ケリー氏扮する弟モーガンは後日クラントン縁者の闇討ちにあい死亡。

 ワイアットは意外に長生きで、1920年代にロサンゼルスで一生を終える。80歳くらいだった。映画監督とも親交があったようで、晩年は西部開拓史の生き証人として西部劇の監修などに協力したようだ。邦画でいえば、次郎長一家の生き証人や新選組の元隊士が映画制作に協力するようなものか。
 そういう意味で、1920年代から30年代にかけての西部劇・時代劇は、実際にその時代の空気を知る人間が協力していることがあるので貴重だ。

(余談2)「スタートレック」のエピソードで、ミスター・スポックが誇らしげに「私は地球の歴史に精通している」と言って、地球のアメリカ人カーク船長やドクター・マッコイでも詳細は知らないOK牧場の事件を細かく講釈するシーンがある。ならず者と保安官との銃撃戦に過ぎないのにバルカン人の耳にも轟く大事件になるとは?!

(余談3)ドク・ホリデーがカウンターで咳き込みながらショットグラスでバーボンをあおる場面が印象的で、これで私はウヰスキーに興味を持ってしまった。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 



 
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コメントとトラックバックありがとうございました。
この映画は、仰る通り、外観は西部劇でも、その内面は日本の任侠劇と解釈も出来ますね。偶然いま録画して置いた清水の次郎長シリーズを観ています。
この映画はドク・ホリデーが素敵の一語です。
[ 2009/09/03 18:05 ] [ 編集 ]
たしかに、西部劇はアメリカの任侠ものかもしれませんね。
とくに本作のドクは、義理人情でワイアットに味方したような感じでした。
[ 2009/09/04 06:49 ] [ 編集 ]
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『炎の人ゴッホ』でゴッホに扮したカーク・ダグラスは力演でした。彼は『探偵物語』始め、多くの映画で熱演していますが、この『OK牧場の決斗』のドク・ホリデイも正にはまり役。 ドクはワイアット・アープ保安官に受けた借りを返しに、離れた地で保安官をしているアー?...
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