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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「バイキング」 ストレス解消活劇〔59〕

バイキング」 
バイキング料理の語源になった映画。

 


【原題】THE VIKINGS
【公開年】1957年  【制作国】亜米利加  【時間】114分  
【監督】リチャード・フライシャー
【制作】カーク・ダグラス
【原作】エディソン・マーシャル
【音楽】マリオ・ナシンベーネ
【脚本】カルダー・ウィリンガム
【出演】カーク・ダグラス(アイナー)  アーネスト・ボーグナイン(ラグナー王)  ジャネット・リー(モーガナ姫)  トニー・カーティス(エリック)  アレクサンダー・ノックス(-)  ジェームズ・ドナルド(-)  
  
【成分】スペクタクル 勇敢 かっこいい 男臭い 合戦 時代劇 9世紀 北欧
  
【特徴】現在は「スパルタカス」「突撃」などの名作に隠れて目立たないが、制作者でもあるカーク・ダグラス氏こだわりの歴史スペクタクルである。当時のバイキングの生活を再現している努力が素晴らしい。ラストの攻城戦は美しい亀甲方陣で進撃する歩兵たちは見事。
 因みに、バイキング料理というのはこの映画が元になっている。バイキングが実際に食した料理という意味ではなく、この映画が封切られた当時、日本の料理人たちが考案した。
 
【効能】歴史スペクタクルで心も野性的になる。映画を観ながらバイキング料理を食べると、いつもより食べ過ぎる。
 
【副作用】男臭過ぎて不潔感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ヒロイン争奪合戦の男臭い映画

 若い頃のカーク・ダグラス氏は野性的で男臭い役が多い。8世紀か9世紀の北欧が舞台なので、男優たちは一様に髭面で風呂にも入っていなさそうな扮装をしている中でただ1人髭を綺麗に剃っているのがカーク・ダグラス氏なのだが、その彼が最も男の体臭を発散させていそうな感じだ。当時のヨーロッパを席巻したバイキングの若き首領に扮していて、城攻めの場面はスタントマン無しで城壁をよじ登り跳ね橋を倒す演技をこなす。(余談1)

 監督は映画職人と評しても良いリチャード・フライシャー氏、こないだレビューした「海底二万哩」や以前レビューした「ゲバラ!」「トラ・トラ・トラ!」など印象深い作品や大作を手がけ、晩年はシュワちゃんの「コナン2」「レッド・ソニア」などの娯楽に徹した活劇も手がける。後から聞いた話では、実際にスカンジナビア半島のフィヨルドでロケーションを行い、当時のバイキングの生活を再現したらしい。
 共演者は後に「スパルタカス」でも一緒になるトニー・カーチス氏、「スパルタカス」ではカーク・ダグラス氏とは戦友であり息子のような役柄だが、ここでは異母弟のライバルを演じる。いずれもワイルドなダグラス氏に対比して理知的なキャラだ。ヒロインはジャネット・リー氏。

 さて作品内容だが、子供の頃に観たきりなので忘れている部分が多い。おまけに子供の目には欧米人の髭面はみな同じ人間に見えて、誰が誰を演じているのか判り辛く、髭の無いダグラス氏だけが目立っていた。人物相関が子供の私には複雑で、記憶違いかもしれないが主人公の父親がイングランドのある姫を手ごめにして誕生したのがトニー・カーチス氏演じる人物らしい。紆余曲折を経て奴隷の身になっているが、イングランドの王位を継承する資格があるらしく、さらにダグラス氏の異母弟になるのでバイキングの首領になる資格も有する、これがラストの伏線になる。

 私が今でも印象に残っているのは、やはりラストの攻城シーンである。様々な経緯でヒロインがイングランドの城に軟禁され、様々な経緯でダグラス氏とカーチス氏の2人が同盟して共にヒロインを救い出すべく城攻めを行う。
 城からは無数の矢が飛ぶ。ダグラス氏率いるバイキングたちは方陣を組み、大きな楯を亀甲のように掲げて矢を防ぐ。その統制のとれた動きが美しい。兵達が城の弓兵たちを引き付けている間にダグラス氏はスタント無しで城壁をよじ登るのである。

 敵を討ち倒しヒロインの部屋に入るダグラス氏、ヒロインはトニー・カーチス氏のほうを愛していて、ダグラス氏のものになるくらいならと窓から身投げをしようとする。ダグラス氏は全く動じる事無く「若い身空で死ねるのかね」と。なんとヒロインも死ぬのを諦めてしまうのである。日本の時代劇に慣れていた私は、そのヒロインの行動が意外に見え、欧米人は実利的なんだなぁ、と感心したものだ。
 
(余談1)5世紀末に北部ヨーロッパから相次いでゲルマン民族がローマ帝国に押し寄せ西ローマ帝国が滅亡した事は高校の教科書などで習ったと思う。いわゆる「ゲルマン民族の大移動」と呼ばれる歴史的事件だが、そのゲルマン人たちが旧ローマ帝国西部に幾つか王国をつくり、現在のイギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペイン諸国の原型を形成しつつある8世紀から11世紀頃に、さらに北の方からノルマン人を中心に大挙南下してきた。これをもっぱらバイキングと呼ぶ。歴史家の中には「第二の民族大移動」と呼んでいる。
 海運に長けた民族で、話がこじれると海賊に豹変したといわれている。造船・航海術など実用的な技術に優れ、アジアから北米まで行動範囲が及んでいた。

 日本では70年代に小学生時代をおくった世代を中心にアニメ「小さなバイキング・ビッケ」で馴染みがある。
 
 因みにバイキング料理というのがあるが、実は「日本料理」だ。この映画が日本で封切られた1958年頃、村上信夫氏ら帝国ホテルの料理人が考案し命名したスタイルである。作中でカーク・ダグラス氏が豪華な料理の数々を手掴みで片っ端から食い散らかす場面があるが、それにヒントを得て命名した。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作



 
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コメント

ビッケ!

おはようございます。
そうそう、「小さなバイキング ビッケ」はクリスマスプレゼントか何かで親に買ってもらって、よく覚えています。
テレビアニメにもなりましたね。
バイキング料理との関係もあった映画なのですね~。

ダグラス

若い頃はカーク・ダグラスの強烈な個性に惹かれました。
1955年に京都朝日会館で観た「ユリシーズ」で、葡萄を足で踏む彼の姿は今でも眼に散らつきます。

私は「スパルタカス」が好きです。

> 若い頃はカーク・ダグラスの強烈な個性に惹かれました。
> 1955年に京都朝日会館で観た「ユリシーズ」で、葡萄を足で踏む彼の姿は今でも眼に散らつきます。
 
 私もその場面は好きです。それから「突撃」ではアンダーシャツもワイシャツも着ずにそのまま軍服を着たりする場面とか。
 私が最も印象に残っているのは、「スパルタカス」でクラサスとルカルスとポンペイウスの3軍に挟撃されたときの死相を帯びた表情を遠目で写す場面や、捕虜になった時に仲間が全員「俺がスパルタカスだ」と叫ぶ時に「見たかクラサス」と言わんばかりにクラサス将軍を睨み付け涙する表情ですね。

Re: ビッケ!

ボー氏へ
 
「ビッケ」は私もよく見ていました。DVD化してほしいですね。最初こそ手下たちはビッケに反感を持っていたものの、ほどなく軍師にみたいになって、事実上父親よりも頼られる存在になっていくのが愉快でした。
 
 バイキング料理は帝国ホテルのコックたちが本作からイメージして編み出したものらしいです。

> おはようございます。
> そうそう、「小さなバイキング ビッケ」はクリスマスプレゼントか何かで親に買ってもらって、よく覚えています。
> テレビアニメにもなりましたね。
> バイキング料理との関係もあった映画なのですね~。

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「バイキング」

昔、テレビの映画劇場で見た。2時間近い映画の場合、カットされた部分があるので、これは一度ノーカットで見てみたかった。

ヴァイキング

 久方ぶりの海賊大活劇。その昔、北欧の海賊が英国を襲った史実に基づく。デミル映画のように娯楽性が偉大で話題に上がる。でも私は大して面白くも無く、興奮も感じなかった。  飽きる所迄は行かなかったけど、血湧き肉躍るかと期待していた考えは潰された。見所は、海?...

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