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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「いちご白書」 青春回帰〔34〕 

いちご白書」 同時代人の手による映画
 


【原題】THE STRAWBERRY STATEMENT
【公開年】1970年  【制作国】米  【時間】103分  【監督】スチュアート・ハグマン
【原作】ジェームズ・サイモン・クーネン
【音楽】イアン・フリーベアーン=スミス
【脚本】イスラエル・ホロヴィッツ
【出演】ブルース・デイヴィソン(サイモン)  キム・ダービー(リンダ)  ボブ・バラバン(組織者エリオット)  ジェームズ・クーネン(学生議長)  バッド・コート(舵手エリオット)  ジーニー・バーリン(-)  ダニー・ゴールドマン(チャーリー)  マーレイ・マクレオド(ジョージ)  マイケル・マーゴッタ(-)  ブッカー・ブラッドショー(-)  クリスティーナ・ホランド(-)  バート・レムゼン(-)  ジェームズ・ココ(-)  エドラ・ゲイル(-)  
  
【成分】悲しい パニック 知的 切ない 学園紛争 1960年代末 アメリカ
  
【特徴】日本と同じく学園紛争吹き荒れるアメリカの60年代末が舞台。実際に起こった事件をベースに物語を構成。
 主人公は平凡なノンポリの学生だったが、学生運動に参加する1人の少女を見て人生が一変してしまう。
 
 たぶん、60年代後半から70年代前半にかけて青春時代をおくった人たちに共通する蒼い世界だろう。学校を占拠する学生たちを一定期間放置してから、然る後に徹底弾圧を行う国家権力の手際も興味深い。
 
【効能】青春時代の熱い気持ちがよみがえる。権力の手口を知る参考書になる。
 
【副作用】勉強する事が本分のくせに運動に無駄なエネルギーを使う主人公たちに不快感。主人公たちは単なる反抗期児童に見えて白ける。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
学園紛争が現在進行形だった頃・・。 

 ご存知のように、ユーミンが作詞作曲しバンバンが歌った名曲「『いちご白書』をもう一度」の「いちご白書」がこの映画である。

 歌詞には既に過去の話となってしまった学生時代の回想が綴られている。主人公は熱心な学生運動家ではなく、おそらくノンポリの大学生(余談1)で、自由な雰囲気の学生時代を彼女と謳歌し、流行っていた長髪髭面のスタイルでトレンドでもあった学生運動に申し訳ていど参加していた日々や、やがて学校や運動からも卒業して髪の毛を短くし普通のサラリーマンへ。
 ニュアンスとしては彼女の方がやや運動に熱心だったのだろうか。歌の主人公は学生運動から足を洗った時に「もう若くない」と言い訳している。曲調から察して、彼女とは別れてしまい普通の会社員になった主人公はつい数年前までは青春時代だった事を未練がましく思い出している、といった感じか。

 この「『いちご白書』をもう一度」が流行ったのは70年代の半ば、社会主義への憧憬を抱く若者は未だ多数いたが、学生運動自体は既に全国規模の勢力ではなくなり、名門大学の学生寮を中心に散発的に展開されている状態となっている。(余談2)
 「本家」である「いちご白書」が公開されたのは70年、題材となったのは実際に68年頃の大学で起こった事件である。映画「アクロス・ザ・ユニバース」はテイモア監督の思春期時代、「GSワンダーランド」の本田監督にとっては先輩から聞いたり書物や映像資料で知った60年代末を表現したものだが、この「いちご白書」が制作された当時は過去ではなく現在進行形の「いま」である。

 物語を一言でいうと、些か無気力のノンポリ学生が憧れの女性をキッカケに運動に深入りしていく様を描いている。運動のきっかけ自体は実に他愛ないものだ。最初から難しい事を振りかざす人はいないと思う。主義主張は後から付いて来る人が圧倒的多数だろう。そんな他愛ない存在を当局はろくに話し合いもせずに放置し、学生側が核心を突き始めると一転して強権発動して一気に鎮圧する。
 放置してきた期間を「忍耐の話し合い」とアリバイにすり替えているのだが、権力側は「話し合い」をやったつもりであると本気で信じているのだろう。だからこそ、権力から攻撃の口実を与えぬよう非暴力運動を展開している学生たちを根こそぎ叩き潰し検挙できるのだ。(余談3)主人公も彼女も機動隊によってもみくちゃにされる。
 映画の制作者たちはこの雰囲気を間近に見てきたのだろう。説得力のある映像だった。

 世の中というものをマトモに見てしまい、ストレートに「国民の権利」を使いきろうとすると、命はいくつあっても足らない。そう判っていても、どうしてもやらざるを得ない出来事に稀ではあるがぶつかる。若い時代だけの話ではない。

(余談1)特に政治的思想や信条、支持勢力をもたない学生。

(余談2)歌の題材になった「いちご白書」は、圧倒的な国家権力によって完膚無きにまで叩き潰される若者個人を描くアメリカン・ニューシネマの典型的な作品である。
 ところが「『いちご白書』をもう一度」が流行った頃あたりから、アメリカでは個人のサクセスストーリーが映画の主流を占めはじめる。スタローン氏の「ロッキー」である。

(余談3)ラストで学生たちがうつ伏せになってストをしているとき、ジョン・レノンの「Give Peace a Chance」もどきのメロディーが延々聞こえていたような気がする。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】カンヌ国際映画祭(審査員賞)(1970年)
 

 
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[ 2009/09/08 14:54 ] 映画・・青春回帰 | TB(0) | CM(0)
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