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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「東方紅」 感動からエナジーを得よう〔9〕 

東方紅」 
古き良き人民中国の革命ミュージカル

 
東方紅

【英題】THE EAST IS RED
【公開年】1965年  【制作国】中華人民共和国  【時間】150分  
【監督】王苹 李恩傑
【制作】周恩来
【原作】李有源
【音楽】
【脚本】
【言語】中国語
【出演】  
  
【成分】泣ける ファンタジー スペクタクル 切ない かっこいい 中国革命 ミュージカル
  
【特徴】中華人民共和国成立15周年を記念して上演されたミュージカルの記録映画。中国共産党と中国革命と毛沢東を讃える壮大な歌劇となっている。
 
【効能】迫力ある革命ミュージカルでパワーが得られる。精神的スタミナが付く。
 
【副作用】「社会主義国」に敵意をもっている人にはおぞましい光景。
 
【読者の皆様へ】「音楽」「脚本」など不明の点がありますので、情報をお持ちの方、ご一報くださると助かります。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
毛沢東礼賛の歌劇

 60年代・70年代を学生運動や労組運動に青春を費やした方々にとっては懐かしい歌劇かもしれない。また左翼にシンパシーを感じていないけど中国マニア(余談1)にとっても貴重な珍作だろう。この作品がYahoo!映画サイトのデータに掲載されているとは思わなかった。

 本作は文化大革命が吹き荒れる直前の1965年10月、北京人民公会堂で上演されたスペクタクルに中国の苦難な近代史とこれから始まる輝かしい未来を高らかに謳う社会主義ミュージカルをカラー映像に残したものである。(余談2)
 人民公会堂は一応国会にあたる全国人民代表大会(余談3)が開催される施設でしばしばニュースでも紹介される。そこには1万人が収容できる大劇場があり、本作はその大劇場で満員御礼の観客席を前にして上演された。

 舞台下には礼服用の人民服(余談4)を着たオーケストラが演奏、胡弓の一団とバイオリンの一団が向かい合わせに座っていて、50歳前後の少し額が広くなった痩せた指揮者がタクトを持たず大仰な振りで指揮をする。
 幕が開くと黄色い扇を持った美女たちが独特の笑顔で舞う。舞台袖には男女の大合唱団、共産党と毛沢東を讃える「東方紅」を大迫力で歌う。(余談5)

 ラストがまた素晴らしい。「歌唱祖国」の後、続けて「国際歌」(インターナショナル)を歌うのだが、観客に背を向け楽団を指揮していた指揮者が突然踵を返して観客に訴えるようにさらに大きく腕を振り上げリズムをとる。観客もそれに応え1万人は総立ちで会場が割れんばかりの大合唱となる。第九コンサートもビックリの大迫力だ。(余談6)まさに社会主義的エンターテイメント!

 たぶん、大多数の方々は北朝鮮のマスゲームみたいと思うかもしれないが、今や良い意味悪い意味でも資本主義大国となった中国が、かつては社会主義的青春を謳歌していた時期があったのだと感慨深い。私が中国を旅行した83年当時はまだこの頃の雰囲気が残っていた。

(余談1)例えば、第二次大戦のドイツ国防軍制服マニアだからといってヒトラー崇拝者とは限らない、「ベン・ハー」を観て感動したからといって熱心なカトリックになるとは限らない、それと同じで社会主義や毛沢東思想に共鳴するというよりは人民服などの当時のファッションや時代の雰囲気が好きなマニアもいる。私もどちらかといえばその筋だ。人民帽に人民服、女性はおさげの黒髪に紅いスカーフ、これが好きなんや。

(余談2)文化大革命は資本主義的な文化を改め社会主義的な新しい文化を創造する運動だったはずだが、実際は国民全体を巻き込んだ醜い権力闘争だった。
 毛沢東の無茶な経済政策(大躍進)の失敗によって鄧小平たちが台頭(というよりは失策のフォローなのだが)、それを毛沢東と彼を担ぐ江青ら側近が全国の民衆を扇動して主導権奪取を展開していたのが実態。これによって実務派は失脚迫害され知識人や少数民族は弾圧され、国内経済が混乱し多くの餓死者がでたらしい。
 発端は1965年11月の新聞記事からというのが有力説、本作はその1ヶ月ほど前の10月1日収録されたそうだから、まさに直前。「東方紅」の大合唱をバックに笑顔で舞う美女達を見ると切ない。因みに10月1日は中国の国慶節(建国記念日)である。

(余談3)日本では「全人代」と略す。「一応」といったのは、立法府で最高議決機関ではあるが日本のような国民による直接選挙で選ばれている訳ではないからだ。

(余談4)人民服は2種類ある。薄での生地でつくった作業服用の人民服と、背広や学生服と同じ仕立ての人民服である。

(余談5)歌詞は陳腐(崇拝者の方々、失礼)「哪里有了共産党,呼児咳呀,哪里人民得解放!(どこでも共産党がいれば人民は解放される)」、だが曲が感動的なので記憶に残る。この歌は一時期国歌に準ずる扱いだったようだ。
 私は小学生の頃に短波の北京放送をよく聴いていたので、この歌は懐かしい。

(余談6)「歌唱祖国」は国慶節の軍事パレードなどで行進曲として使われる。最近では北京オリンピックで口パク少女が「歌った」歌としても有名。

 「国際歌」は共産主義諸国にとっては第二国歌ともいうべき歌。また全世界の労組活動家にとっても共通の運動歌である。
 映画ではウォーレン=ビューティ氏の「レッズ」のロシア革命取材で流れる。山田洋次監督「幸せの黄色いハンカチ」で傷心の武田鉄矢氏が北海道に渡った時の港町でデモをやっている人々が歌っている。
 私もかつてよく歌っていた時期があった。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 

 
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