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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ブーリン家の姉妹」 

ブーリン家の姉妹」 
「エリザベス」のプロローグ。

 
 

【原題】THE OTHER BOLEYN GIRL
【公開年】2008年  【制作国】英・米  【時間】115分  【監督】ジャスティン・チャドウィック
【原作】フィリッパ・グレゴリー
【音楽】ポール・カンテロン
【脚本】ピーター・モーガン
【出演】ナタリー・ポートマン(アン・ブーリン)  スカーレット・ヨハンソン(メアリー・ブーリン)  エリック・バナ(ヘンリー8世)  デヴィッド・モリッシー(ノーフォーク公爵)  クリスティン・スコット・トーマス(レディ・エリザベス・ブーリン)  マーク・ライランス(トーマス・ブーリン卿)  ジム・スタージェス(ジョージ・ブーリン)  ベネディクト・カンバーバッチ(ウィリアム・ケアリー)  オリヴァー・コールマン(ヘンリー・パーシー)  アナ・トレント(キャサリン・オブ・アラゴン)  エディ・レッドメイン(ウィリアム・スタフォード)  ジュノー・テンプル(ジェーン・パーカー)  トム・コックス[俳優](-)  マイケル・スマイリー(-)  イアン・ミッチェル(-)  アンドリュー・ガーフィールド(-)  ビル・ウォーリス(-)    
  
【成分】悲しい ゴージャス 知的 絶望的 切ない 愛憎劇 宮廷 16世紀 イングランド
   
【特徴】エリザベス1世の母親の物語。続けてケイト・ブランシェット氏「エリザベス」を鑑賞すると作品への思いが深まる。
 16世紀当時の価値観や風俗が比較的正確、現代のイギリス王室の礎が確立した時代でもあるので、歴史ファンにとっても興味深い内容。
 姉妹を演じる2人のヒロインの演技に好感が持てる。ヘンリー8世をイケメンにし過ぎ。
 
【効能】カップルで恋愛と利害のバランスについて考えるのに良き教材。
 
【副作用】歴史ファンにとっては、あからさまな史実歪曲が気になり不快感。歴史に興味ない人にとっては、昼ドラのドロドロ愛憎劇にしか見えない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
ヘンリー8世がイケメン過ぎて興ざめ 
 
 イギリスで最も有名な君主エリザベス女王の母親の物語である。主人公を務めるのは、プーリン家の若き姉妹を演じるナタリー・ポートマン氏とスカーレット・ヨハンソン氏、2人の前に登場するイングランド王役にエリック・バナ氏、この3人を軸に物語が展開する。ナタリー演じる野心家の姉アンが後にエリザベス女王の母となる。脚本は「クイーン」を担当したロンドン出身のピーター・モーガン氏。(余談1)

 私はけっこう権力闘争にまつわる男女のドロドロドラマは好きなので、面白く拝見できた。中国の「西太后」や日本の「大奥」、韓国の「張禧嬪」など古今東西無数にある。権力には必ず付く副産物だ。
 特にローマ教皇からの破門とローマカトリックからの分離独立、イギリス国教会の設立というイングランド史にとって歴史的大事件が舞台の背景となるので、他の男女ドロドロ歴史絵巻よりも派手だ。現在の国家元首エリザベス二世もイギリス国教会の主宰者であるが、その発端が16世紀に繰り広げられた男と女の愛憎劇によるもの、というのが本作の醍醐味なのだ。

 庶民から見れば超特権階級の男女の恋物語ゆえに、男と女が引っ付いたり別れたりする程度には済まない。支配階級ゆえに様々な利害関係も大きく絡んでしまう。世継の問題もさることながら、当時のヨーロッパは離婚を禁ずるローマカトリックが世俗の権力者達の上位権威として君臨していた。(余談2)本来はたかが男女の色恋沙汰に過ぎないのに、宗教紛争・国際問題・大量虐殺をしでかす。

 本作への観かたは様々あるだろうし、解釈や評価も十人十色だろうが、少なくとも言えるのは「利害関係は恐い」それだけだ。

(余談1)歴史に詳しい人ならご存知と思うが、アンは姉ではなく妹である。他にも史実を歪曲した箇所はあり、映画をドラマチックにするための処置である事は理解しているが、どうしても1つだけ気に入らない点があり、私は鑑賞中ずっと不満だった。それはヘンリー八世役の俳優である。エリック・バナ氏が悪いのではない。キャスティングだ。

 中学生の頃だったか、ヘンリー八世の肖像画を美術の教科書か百科事典のグラビアページで観た事がある。レスラーのようなイカつい顔つきで、いかにも精力絶倫といった雰囲気である。史実のヘンリー八世は長身で頑健、武道に優れた人物であるらしいから、複数の肖像画が示すヘンリー八世はリアルだろうと思う。それでもって、学術にも理解があり、仏・西・ラテン語を解し、作曲までこなす。文武両道に優れた王という事になる。
 エリック・バナ氏は二枚目過ぎて線が細い。もちろん、映画をドラマチックにスタイリッシュに演出するための処置であるのは理解している。が、史実のヘンリー八世と容姿が似た俳優を当てても面白かったのではないか。

 イカつくゴツい俳優が知的な色男を演じるからこそ意外性で面白いのである。普通の人ならばマイナスイメージになる事も、そこに知性と権力と富が加わればプラスになる事は現実世界でもよくある。失礼ながら普通の中年男性なら盛りを過ぎたくたびれた男の象徴であるかのように世間から見られるが、これが政治家舛添要一氏になるとマイナスにならない。
 イケメン俳優がヘンリー八世を演じるのは至極あたりまえ過ぎてつまらん!

(余談2)5世紀末に西ローマ帝国が滅亡してからも、実はローマ帝国は形式上存続し続けていた。ローマには元老院が存在し、東ローマ皇帝が全ローマ帝国の元首として旧西ローマ帝国領内に割拠したゲルマン民族の諸王国に「総督」の名義を与えて宗主権を保持していた。これは戦国時代の天皇が戦国大名に官位を与えるような感じに似ている。
 ところが、ローマカトリックと東のキリスト教とで意見対立し完全に分離、7世紀の東ローマ帝国が一時的に国力を減退した事もあり、ローマカトリックが宗主権を握っていた東ローマに代わって権威を掌握する。
 東ローマ帝国が採用していた宗派は後にギリシア正教やロシア正教へと発展する。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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オリジナル・サウンドトラック『ブーリン家の姉妹』 ポール・カンテロン
エリザベス [DVD] シェカール・カプール
エリザベス : ゴールデン・エイジ [DVD] シェカール・カプール
クィーン<スペシャルエディション> [DVD] スティーヴン・フリアーズ
 
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ブーリン家の姉妹〈上〉 (集英社文庫) フィリッパ グレゴリー
ブーリン家の姉妹〈下〉 (集英社文庫) フィリッパ グレゴリー


 
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こちらにもこんばんは。
うーん、そうですか、エリック・バナって、コメディ出身で『ハルク』で初めて主演抜擢されたとあって、単なるイケメン俳優とは、私は全然思わなかったりしましたよ。
[ 2009/09/15 19:26 ] [ 編集 ]
とらねこ氏へ

 エリック・バナ氏の経歴は私もよく存じています。
 
 レビューにも触れておりますが、ヘンリー8世のいかつい肖像を子供の頃から知っていましたから、彼では全くイメージが合わず、違和感が抜けなかったのです。

> こちらにもこんばんは。
> うーん、そうですか、エリック・バナって、コメディ出身で『ハルク』で初めて主演抜擢されたとあって、単なるイケメン俳優とは、私は全然思わなかったりしましたよ。
[ 2009/09/15 19:43 ] [ 編集 ]
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