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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「荒野の七人」 ストレス解消活劇〔61〕 

荒野の七人」 リメイクの金字塔
 
 

【原題】THE MAGNIFICENT SEVEN
【公開年】1960年  【制作国】亜米利加  【時間】128分  
【監督】ジョン・スタージェス
【原作】黒澤明 橋本忍 小国英雄
【音楽】エルマー・バーンスタイン
【脚本】ウィリアム・ロバーツ ウォルター・バーンスタイン
【言語】イングランド語
【出演】ユル・ブリンナー(クリス)  スティーヴ・マックィーン(ヴィン)  チャールズ・ブロンソン(オライリー)  ジェームズ・コバーン(ブリット)  ロバート・ヴォーン(リー)  ホルスト・ブッフホルツ(チコ)  ブラッド・デクスター(ハリー)  イーライ・ウォラック(カルヴェラ)  ウラジミール・ソコロフ(老人)  ロゼンダ・モンテロス(ペトラ)  ビング・ラッセル(-)    
  
【成分】スペクタクル ロマンチック 勇敢 知的 切ない かっこいい 19世紀 西部劇 メキシコ
   
【特徴】いわずと知れた黒澤明監督「七人の侍」の西部劇バージョンのリメイク。西部劇史上に残る名作となっている。
 主演のユル・ブリンナー氏が中心となって企画が立ち上げられ、彼が監督をする話もあったが結局「OK牧場の決闘」のジョン・スタージェス監督がメガホンをとり、ユル・ブリンナー氏は主演に専念する。
 
【効能】爽やかで痛快な西部劇にストレスが吹き飛ぶ。カラッとした爽やかな風を感じる。
 
【副作用】黒澤信奉者の中には不快感を持つかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ユル・ブリンナーのクリスがはまり役
 
 大ヒット西部劇であり、後に続編も何度か制作されているが、これが黒澤監督の「七人の侍」のリメイクである事は映画ファンでない人間にも広く知れ渡っている。「七人の侍」はハリウッドに衝撃を与え、ジョージ・ルーカス氏やフランシス・コッポラ氏といった名だたる映画人にとって教本のようなものになった。当時、第一線で活躍していた俳優ユル・ブリンナー氏も「七人の侍」に感銘を受けた一人であり、彼を中心にリメイクの企画が立ち上がり制作されたのが本作だ。

 ユル・ブリンナー氏が監督を務めるという話もあったようだが、結局は「OK牧場の決闘」のジョン・スタージェス氏がメガホンを取る。西部劇の巨匠ジョン=フォード監督の影響を受けた黒澤監督が、今度はハリウッドの映画人に影響を与え、これまた名監督として著名なスタージェス監督がリメイクのメガホンを取る、意義のある交流だ。
 ユル・ブリンナー氏は主人公で七人のリーダー格クリスに扮する。黒い衣装が格好いい。(余談1)

 基本的には「七人の侍」と同じ展開で物語は進むが、作り変えが見事だ。雨と泥にまみれる侍たちに対し、乾いた風と土埃が似合うヤンキーのガンマンたち。単純に舞台を日本の戦国時代から西部劇に置き換えたのではなく、強調するポイントの独自性を発揮している。主題曲からして爽やかな風が障害物にあたることなく駆け抜ける西部の荒野をガンマンたちが談笑しながら馬に跨り疾走する光景に相応しい、映画音楽として名曲である。

 「七人の侍」では侍と農民の相関関係が軸となっている。ここではメキシコ農民とアメリカのガンマンというのが上手い。構成に関わった人たちは侍の立場を理解し、世界におけるアメリカ人の立場に置き換えているのがいじらしい。
 地に足をつけ生活している民衆にとっては「侍」は民衆からの寄生・搾取することで成り立っている存在だ。「アメリカ人」も世界に対して同様に寄生・搾取で成り立っている存在ともいえ、アメリカ経済の参加にあるメキシコの貧農にとってガンマン達は味方ではあっても仲間ではない。身内のようには信頼できない。

 ただ1つ残念な点がある。七人のガンマンとメキシコ農民との経済格差は見た目には隔たっているようには見えない。武器を買う経済力があるし、着ている物も小奇麗だ。汗と体臭がただようリアルな戦国時代の農民を描いた「七人の侍」よりは踏み込みが甘いように感じた。(余談2)
  
 初めて観たのは小学生の頃だったか、当時は黒澤監督作「七人の侍」のリメイクとは知らなかったので素直に「面白い!」と思った。
 私が最も印象に残っている場面は、クリスの旧友ハリーが戦線を離脱するのだが、最後の決戦の時に何を思ったのか舞い戻りクリスに加勢、比較的呆気なく銃弾に倒れクリスが駆け寄る。
 瀕死のハリーは「お前らが何にも無い村のために命かけるはずないよな。何かあるだろう」と笑みを浮かべて言う。
 クリスはとっさに「(本当に何も無い村なのだが)金だ。ここには金の鉱山がある。一緒に掘りに行こうぜ」
 昔に観たきりなので台詞が若干間違っているかもしれないが、このやりとりが切なくて素敵だ。

(余談1)アクション映画のベースは西部劇になるのかな。ジョン・フォード監督「駅馬車」などを観るとエンタメ娯楽作の基本要素が全て揃っている。

 ユル・ブリンナー氏は本作の成功により、続編も同じくクリス役で出演する。この黒づくめガンマン衣装が気に入ったのか、SF映画「ウエストワールド」「未来世界」でも同じ扮装で登場、ターミネーターもびっくりの不気味な殺人アンドロイドを好演する。

 ただ、西部劇のロケ現場は、当時アメリカ軍が盛んに核実験をやっていた場所に近く、放射能の影響が彼の寿命を縮めたのではないかとの説もある。一般にはヘビースモーカーが原因といわれているが、西部劇に出演した多くの俳優やスタッフたちが癌で倒れているとのデータがある。

(余談2)映画通の友人の話によれば、撮影に協力したメキシコ政府が貧困な国というイメージが強くなるのを恐れてか、可能な限りアメリカのガンマンたちとイーブンになる描写を求めたらしい。
 元々はリアルに汚い衣装のメキシコ農民を描写するはずだったが、これもメキシコ側の要求により綺麗な衣装に変更されたそうである。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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[ 2012/09/19 05:29 ] [ 編集 ]
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--------いまごろなんでこの映画なのさ? 「最近のはやりで、よく昔の名画をニュープリントでリバイバル公開してるわけ。 『荒野の七人』はTVばかりで まともに観たことがなかったからちょうどいいかなって....」 --------で、どうだった? かつての記憶と比べて。 「うん...
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