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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ゲバラ!」 自分に喝を入れたい時に〔2〕

ゲバラ!」 オマー・シャリフ氏のゲバラ
 

 
【原題】CHE!
【公開年】1969年  【制作国】亜米利加  【時間】97分  
【監督】リチャード・フライシャー
【原作】マイケル・ウィルソン  サイ・バートレット
【音楽】ラロ・シフリン
【脚本】サイ・バートレット マイケル・ウィルソン
【言語】イングランド語         
【出演】オマー・シャリフ(チェ・ゲバラ)  ジャック・パランス(フィデル・カストロ)
   
【成分】ストイック 勇敢 かっこいい キューバ革命 ボリビア 60年代
 
【特徴】ゲバラ死後2年経った1969年にアメリカ資本によって制作公開された映画。ゲバラと敵対関係にあるアメリカが制作国であるのが興味深い。ゲバラ役には「アラビアのロレンス」のオマー・シャリフが好演。ゲバラには似ていないがゲバラに見えてしまう表情が良い。
 2009年公開の「チェ」2部作と作り方を比較して観るのも良いだろう。
 
【効能】ゲバラの生涯を判り易く映画化。
 
【副作用】多少ゲバラの英雄ぶりをデフォルメし過ぎで不快感。低予算なので戦闘場面に迫力乏しく戦争映画好きはがっかり。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
アメリカ映画のゲバラ
 
 「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバコ」「うたかたの恋」などハリウッド史上で大作・名作に類する作品に出演し国際的名声を得たアラブの名優がオマー・シャリフ氏である。60年代の映画をよく観てきた方々には懐かしい俳優ではないだろうか。
 
 彼はジンギスカン役もやったことがあるが、あまりに似合わなかった。ジンギスカンはアジア人だからといって非ヨーロッパ系のシャリフ氏をあてるハリウッドのいい加減さに呆れたものである。
 
 が、このゲバラ役はハマっていた。顔が似ている訳ではないのだが、キューバに上陸して行軍しているうちに髭や髪が伸びて、あの有名な髭面長髪に星印ベレー帽を被った顔になった時、ゲバラの雰囲気をよく再現していた。特にカストロに笑いかける表情は、本当にゲバラではないかと思うくらいだった。
 
 この映画はキューバ革命の立役者ゲバラの後半生をドキュメンタリー形式(でもドキュメントではない)で描写している。ゲバラの側近たちがインタビューを受けてゲバラが生きた当時を証言するという演出だ。証言者たちも俳優が演じているのでドキュメントではない。
 
 これも意外によく出来た映画だった。また予算もTVドラマ規模ではないかと思う。作品としてよくまとまっていた。それにしても、アメリカという国は本当に面白い国で、いわゆる敵国の元首に次ぐ地位の人間で、しかも世界中にゲリラ戦を展開して革命を起こそうとした男をヒーローとして映画にする。ブッシュ大統領らアメリカ保守層から見ればゲバラも立派なテロリストになるのだろうが。
 なかなかDVD化されないマニアックな映画とみられていたが、「モーターサイクル・ダイアリーズ」などでゲバラ人気が湧き起こったせいで2007年に発売されるようになった。
 
 監督を務めたリチャード・フライシャー氏は、日本では「ミクロの決死圏」「トラ・トラ・トラ!」で著名で、腕は確かな映画人である。アメリカのメジャー監督にしては敵国人ゲバラを比較的公平に捉え印象深く判り易く描いていた。もっとも、この描き方ではキューバのゲバラ信奉者たちには不快感だろう。

 余談だが、カストロ役をジャック・バランスが演じている。演技全般には特に憤懣はないのだが、この時はもう50歳になっていて、とても若々しいあの頃の青年カストロには見えない。(映画公開時でも実際のカストロ氏はまだ40歳代前半)しかも声がしわがらえて腹に力が入っていない。
 
 実際のカストロ氏は、張りがあって良くとおる声で、滑らかに機関銃のように言葉が出てくる。またスペイン語独特のイントネーションも加わって人に耳を傾けさす説得力がある。たしか法学生時代は弁論大会で優勝したと思うし、この才能は歳をとっても衰えず、数年前の国連総会では拍手喝采だった。悪い表現を使えば口が巧い。政治家は口の巧さが最低限の必須条件である。特にカストロ氏は32歳で政権をとってから現在に至るまでトップの地位にいるほどの政治家である。
 
 しかし、ジャック・バランスはただでさえ英語台詞で臨場感が無くなっているのに、腹に力が入っていない拍子抜けの演説しかできていなかった。気の毒である。適切な例えではないかもしれないが、小泉純一郎氏の役を鈴木清純監督が担当するようなものだ。
 
 原題の「Che!」はゲバラのファーストネームである。もともとはスペイン語のアルゼンチン方言で、日本語で人を呼び止めるときに言う「ちょっと」に相当する。キューバ人からみればゲバラが「チェ」と言い過ぎるのでニックネームになり、やがて正式な名前になってしまった。彼が国立銀行総裁に就任したときは、筆記体で「Che」とサインされている紙幣が通貨になった。
 ゲバラの本当の名前はエルネストである。もし、ゲバラが日本出身者だったら「チョット・ゲバラ」「オイ・ゲバラ」になっていたかもしれない。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫) エルネスト・チェ ゲバラ
ゲバラ日記 (角川文庫) チェ ゲバラ
チェ・ゲバラ伝 三好徹
 

 
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77●ダブルD・アベンジャー

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