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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

人生をふり返ろう 2 「デジャヴ」

デジャヴ」-機械に頼るな!
  

 
【公開年】2006年  【制作国】米  【時間】127分  【監督】 トニー・スコット         
【出演】デンゼル・ワシントン(ATF捜査官ダグ・カーリン)  ポーラ・パットン(クレア・クチヴァー)  ヴァル・キルマー(FBI捜査官プライズワーラ)  ジム・カヴィーゼル(キャロル・オースタッド)  アダム・ゴールドバーグ(Dr.アレクサンダー・デニー)  エリカ・アレクサンダー(シャンティ)  ブルース・グリーンウッド(FBI捜査官ジャック・マクレディ)  エルデン・ヘンソン(ガナース)   
 
【成分】パニック 勇敢 かっこいい 恋愛 タイムスリップ サスペンス SF
 
【特徴】
 
【効能】
 
【副作用】機械に頼ったので興ざめするかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。


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機械に頼るな!
 
 素晴らしい予告編と心理学用語(超心理学か?)のタイトルにつられた人も大勢いるだろう。結論からいうと「巧い映画」だった。飽きさせないテンポと歪みや矛盾のない構成力はさすがである。ただ、釈然としないものを感じる。
 
 この作品はネタバレを書いてしまっては本当に面白く無くなるので、大昔に読んだ漫画を例えにしよう。
 手塚治虫の「ブッダ」でこの映画と同様の感情を持った部分がある。釈迦の一生を描いた漫画なのだが、主人公の出生から青年時代に至るまでは非常に緩慢すぎるほど丁寧に描いていたのに、話が突然急展開する。
 
 話だけでなく、視覚的にも主人公の顔が青年から仏像にあるような老成した顔に激変したのに驚かされたし、実際の釈迦は無神論なのに「ブッダ」では古参弟子タッタを失った時に「神よ!」と嘆く。
 
 一番がっかりさせられたのは、拝火教の信徒たちと論争する時、釈迦は超能力を使って材木に火をつける場面がある。「超能力に頼るなよ!」と同人誌仲間等でけなしあったものだ。私としては、理論でもって相手を論破し得心せしめて欲しかったし、手塚治虫には漫画家としてそれを表現できる実力があると思っていたのに・・。
 
 「デジャヴ」もほぼ同じ不快感がある。期待を持たせるタイトル、丁寧なオープニング、複雑そうなプロットで観客を惹き付ける。ところが後半でガラリと雰囲気が変わったように感じる、少なくとも私は。そして、機械に頼ってしまわれた。
 
 観客が何を求めているのか、何を期待しているのかで変わってくる。心理ドラマが好きな人は前半が良いと思うだろうし、後半は安っぽく感じるだろう。アクションが好きな人は前半は緩慢に感じて眠たくなるだろうし、後半はワクワクするだろう。異なる性格の映画を2つ無理矢理付けた感じがするのは私だけではなさそうだ。もう少し熟れても良かったのではないか? もしかしたらデンゼル=ワシントン氏のギャラで予算が吹っ飛んだのだろうか?
 
 それとも、機械に頼るのはアメリカの文化なのだろうか? SF映画の金字塔には同時期にキューブリック監督「2001年宇宙の旅」と旧ソ連のタルコフスキー監督「ソラリス」がある。どちらも世間では哲学的な名作と評価されているが、「ソラリス」は心理ドラマ中心で特撮場面が殆どなかった(注)のに対し、「2001年」は今観ても素晴らしい特撮場面のオンパレードだった。
 
 ヨーロッパのホラーは日本の心霊モノに近く、画面全体の雰囲気で恐怖やエロチシズムを演出するのに対して、アメリカのホラーは変な機械や武器が登場する事が多い。こないだのキアヌ・リーブス氏主演の「コンスタンチン」ではマシンガンまで登場する。
 
 アメリカ文化だと思って諦めるしかないのか? しかし、時空モノで恋愛を描いた映画で機械が登場しない名作はアメリカにもある。「デジャヴ」の制作者が「これは恋愛をテーマにした作品」と語っていたが、それならば私はクリストファー・リーヴ主演の「ある日どこかで」を薦める。
  
(注)未来世界に抱くセンスの問題かもしれない。たしか日本のTV放送用に編集された90分バージョンでは完全に前半がカットされているが、完全版では主人公の友人が無人自動車に乗って高速道路を走る場面が出てくる。どうみても現代の東京の高速道路にしか見えない。標識や電光表示板にはやはり漢字で見なれた地名の表示が。当時のロシア人にとって70年代の東京は未来のテクノポリスなのだ。
 当時のソ連には特撮技術が発展しなかったのか? あるいは特撮に興味が無かったのか? 映画づくりの技術は「ポチョムキン」に見られるように様々な実験的な試みがなされていたし、アメリカと同じくかなり早い段階からカラー映画を制作するなど相当あったと思うのだが。不思議だ。
 

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