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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ゴジラ」 家族と一緒に考えよう〔18〕 

ゴジラ」 日本特撮映画の金字塔
 


【英題】GODZILLA:THE KING OF MONSTERS
【公開年】1954年  【制作国】日本国  【時間】97分  
【監督】本多猪四郎 円谷英二
【原作】香山滋
【音楽】伊福部昭
【脚本】村田武雄 本多猪四郎
【出演】志村喬(古生物学者山根恭平)  河内桃子(山根恵美子)  宝田明(南海サルベージ技師尾形秀人)  平田昭彦(芹沢大助博士)  堺左千夫(毎朝新聞記者萩原)  村上冬樹(田辺博士)  山本廉(政治(新吉の兄))  鈴木豊明(新吉)  馬野都留子(新吉の母)  岡部正(田辺博士助手)  小川虎之助(船舶会社社長)  手塚勝己(毎朝新聞デスク)  中島春雄(変電所技師)  林幹(国会委員長)  恩田清二郎(大山代議士)  菅井きん(大沢婦人代議士)  榊田敬二(大戸島村長)  高堂國典(爺さま(漁夫))  東静子(ダンサー)  鴨田清(ダンサーの連れの男)  笈川武夫(-)  川合玉江(-)  今泉廉(-)  橘正晃(-)  帯一郎(-)  堤康久(-)  鈴川二郎(-)  池谷三郎(-)

【成分】泣ける 悲しい スペクタクル パニック 不気味 恐怖 勇敢 知的 絶望的 切ない かっこいい 怪獣 特撮 反戦反核 反権力 白黒

【特徴】日本特撮映画史上燦然と輝く金字塔である。ゴジラの名声は欧米にも轟き、ハリウッドがリメイクを制作するほどだ。

 しかし元々の原板はアメリカが歓迎するような映画ではない。何故なら、この第1作目はアメリカ軍によるビキニ環礁での水爆実験で第五福竜丸の被爆が全国規模の反核運動へ発展した事が背景になっているからだ。第五福竜丸の被爆が1954年3月、本作は5月頃から制作が始められ公開は同年11月である。

 本作は大ヒットとなり、シリーズ化された。シリーズが進むにつれてゴジラは悪役から子供のヒーローとなり、飽きられると原点回帰の悪役で仕切りなおす事を繰り返しながら現在もなお続いている。

【効能】反戦反核の意識が高まる。反体制志向の市民にとって隆飲下がる場面の連続。

【副作用】科学考証にこだわる人は不快感。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
日本を代表するダークヒーロー、
反戦反核の申し子。
 

 「続・三丁目の夕日」冒頭の場面。何やら地震のような震動、アンティークなナショナルのラジオから古めかしいアナウンスで巨大生物来襲を伝えるニュース、鈴木オートのトモエさんが大きな風呂敷に荷物を詰めて背中に背負い、2階に居る六ちゃんや一平君を呼ぶ。外に出ると三丁目の住人たちが逃げ惑い、何やら超巨大なトカゲのような尻尾が家を薙ぎ倒していく。鈴木オートの社長が家族を助けるためオート三輪を跳ばす。東京タワーが謎の怪光線で倒れる。やっと家族と社員の六ちゃんと再会する社長が目にした光景は、鈴木オート社屋の無残な姿と吼えながら東京を荒らしまわる巨大な恐竜のような怪獣ゴジラである。(余談1)

 「ゴジラ」1作目をリアルなカラー映像で見たら、こんな感じになるだろうか。実は私はゴジラ1作目を観たのは大学生になってからだった。たぶん子供の時にも観たかもしれないが、憶えているのは60年代のカラー作品ばかりである。この頃になるとゴジラは恐怖の怪獣ではなく、時には人間に味方する善玉キャラになりつつあった。私より五つ歳下の連れ合いにいたっては善玉の愛敬のある怪獣というイメージしか残っていない。連れ合いと「続・三丁目の夕日」を観た時、「ゴジラて悪役やったん?」と驚くほどだった。

 「ゴジラ」はシリーズ化されて半世紀以上にわたり制作され続けた。その間にゴジラの性格も何度か変化した。最初は恐怖の存在として描かれ、連作されるにしたがって子供達のヒーローになり世間から飽きられ始めると休止、数年から10年ほど休んだ後に再び原点回帰でリメイクされ連作、次第に子供ウケ内容になり飽きられると休止、といったパターンを3回繰り返している。今後もそのパターンで「ゴジラ」シリーズは日本が滅びオタク文化が世界から消滅するまで続けられるだろう。
 
 この第1作目はいうまでもなく正統ゴジラである。アメリカ軍によるビキニ環礁での水爆実験で第五福竜丸の被爆が全国規模の反核運動へ発展した事が背景になっている。ゴジラは核実験によって目覚めさせられた古代生物で、人間の都合によって天才科学者(余談2)が製作した最終兵器で倒され、天才科学者もまた自分の兵器が戦争に転用される事を恐れ自らの命と引き換えに海の底深く封印する。だからゴジラは単なる怪獣パニック娯楽大作ではなく反核反戦がテーマとなって横たわっていた。ゴジラが可哀想と感じた観客も私を含めて少なくなかった。
 また、防衛隊の兵器がことごとくゴジラに跳ね返され国会議事堂が破壊されるなどは、私は特に反体制学生ではなかったが溜飲を下げた。当時の観客や試写を観たスタッフなどは総立ちの大喝采と拍手だったに違いない。(余談3)

 ゴジラは、核兵器に楽観的なアメリカでは創れない。被爆国日本だからこそ製作できたキャラクターである。そして世界中に受け入れられる普遍的テーマをもった邦画である。

(余談1)ファンの方なら常識かもしれないが、ゴジラの名の由来は、たしか当時東宝の社員にゴツイ男性がいて、ゴリラのような容姿と鯨肉が好物ということでゴリラとクジラを合わせてゴジラというあだ名で呼ばれていた。これが怪獣の名に採用された。

(余談2)主人公には若くて精悍だった頃の宝田明氏、天才科学者には若き平田昭彦氏が扮した。後に2時間ドラマなどで女たらしのスケベな役をするようになるが、この頃は爽やかだった。平田昭彦氏については異論があるかもしれないが、少し髪が豊かで前髪が長いところが現代的に見えた。

(余談3)ゴジラに破壊される建物には国会議事堂のほかにも実在の建物が登場する。当初は「けしからん」とクレームをつける会社があったようだが、一連のゴジラ映画が日本を代表する文化となっていくにつれて、映画で登場して潰される事が強烈な宣伝効果を生む事に気付き、今ではむしろ「次回作は是非我が自社ビルを叩き潰してください」と陳情するようになった。

 またある作品では自衛隊がことごとく無残にやられるので「これでは我々は税金ドロボーだ。活躍の魅せ場を入れてくれ」とのクレームもあったようである。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
晴雨堂関連書籍案内
ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義 佐藤健志
 



 
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