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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「犬神家の一族」 突っ込みどころを楽しもう〔15〕

犬神家の一族」 
ブームとなった1976年作のリメイク

 


【公開年】2006年  【制作国】日本国  【時間】135分  【監督】市川崑
【原作】横溝正史
【音楽】谷川賢作
【脚本】市川崑 日高真也 長田紀生
【言語】日本語
【出演】石坂浩二金田一耕助)  松嶋菜々子(野々宮珠世)  尾上菊之助[5代目](犬神佐清)  富司純子(犬神松子)  松坂慶子(犬神竹子)  萬田久子(犬神梅子)  葛山信吾(犬神佐武)  池内万作(犬神佐智)  螢雪次朗(犬神幸吉)  永澤俊矢(猿蔵)  石倉三郎(藤崎鑑識課員)  尾藤イサオ(仙波刑事)  嶋田豪(若林久男)  三條美紀(お園)  松本美奈子(青沼菊乃)  林家木久蔵(柏屋の九平)  三谷幸喜(那須ホテルの主人)  深田恭子(はる)  奥菜恵(犬神小夜子)  岸部一徳(犬神寅之助)  大滝秀治(大山神官)  草笛光子(琴の師匠)  中村玉緒(柏屋の女房)  加藤武(等々力署長)  中村敦夫(古館弁護士)  仲代達矢(犬神佐兵衛)
   
【成分】ゴージャス 不気味 探偵モノ ミステリー 1940年代後半
     
【特徴】70年代後半、くたびれた帽子に色褪せた茶色の袴姿、まるで貧乏書生姿のような金田一探偵像を定着させた名作から30年後に撮られたリメイク。何故か人物設定や物語構成は前作とほとんど変わらず、画面が明るくなった分だけ前作の黴臭い良さが無くなっている。金田一役は前作と同じ石坂浩二氏。
 しかし、前作の若い風来坊金田一よりも本作の年齢不詳の老金田一探偵の方が孤高の神秘性がある。
  
【効能】カストリ風のゴージャスな気分に気分にさせる。
 
【副作用】時代考証無茶苦茶、作品の突っ込みどころを探す方が面白い。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
やはり、リメイクの理由が解らない。

 この映画は映画館では観なかった。レンタルDVDを観る気も無かった。最初から地上波のTV放送で観る心積もりだった。したがって2008年12月のTV放送が初顔合わせである。
 もちろん前作は観ているし、「犬神家の一族」自体はTVドラマの古谷一行版金田一耕助が当時お気に入りだった。(余談1)映画館で観る気がしなかったのは、一つは「ビルマの竪琴」リメイクでがっかりした体験があったからだ。市川ファンの方々には申し訳ないが、白黒映画の「ビルマ・・」をリメイクでは単にカラーにしただけだった。(余談2)今回も予告編からして特にリメイクの意義が見当たらなかったのでパスしたのだ。

 12月28日のTV放送時、同じ時間帯に他局では織田裕二版「椿三十郎」が放送されていたが、連れ合いが時代劇に興味が無い事や「犬神家・・」リメイクが未見だった事からチャンネル争いをすることなく鑑賞した。
 原作の設定では金田一の年齢は「犬神家」事件当時30代前半、この映画ではどうみても老年の金田一、どうかな?と疑問を持ったが最初から老人の金田一と見れば逆に若々しく見える。特に金田一探偵は放浪癖があり、事件が解決すると地面にはっていた根が無くなったかのように風の如く去っていく飄々としたタイプだ。若者の金田一なら平凡な風来坊でしかないのだが、老境の金田一であると根無し草人生を送り続けた重みを感じる。嗚呼、この老人は残りの人生も風来坊であり続けるのか、と金田一の孤高の生き様に胸をうたれるのである。
 ヒロインの松嶋菜々子氏はいたって無難に演じていたと思うし、ときおり金田一の助手のような働きをする深田恭子氏は可愛い。富司純子氏の顔や首筋の皺が表情に味わいをもたせていた。殆ど写真だけの出演である仲代達矢氏は素晴らしい存在感だと思うと同時に、賃金を労働量で割ったら石坂浩二氏に比べて特なビジネスだなと失礼ながら思った。等々力署長も前作と変わらぬ若さで出演され嬉しい。(前作の署長は名前が違う)

 以上、良い点(一概に良い点でもないのだが)を列挙したのだが、 やはりリメイクの意味が理解できない。もし私が監督なら、例えば有名な「助清」の遺体が逆さになって湖面に出ている場面を原作どおり氷のはった湖面にする。遺体も人形丸出しではなくリアルな造型にする。さらにお色気場面ももう少しだけ踏み込む。
 市川監督の遺作に対して誠に失礼なのだが、「土曜ワイド劇場」などのサスペンス2時間ドラマにしか見えない。古谷一行版「犬神・・」のほうがインパクトがある。

 市川監督にとっては重要な動機があったかもしれない。プロデューサーやスポンサーの意向もあったかもしれない。しかし私には訳が解らない。TV放送で鑑賞を済ませて良かったとしか思えない。

(余談1)70年代後半、角川映画と市川崑監督は横溝正史作品の映画化を盛んにやっており、世間で金田一耕介ブームが起きていた。TVでは古谷一行氏を金田一探偵に立ててドラマも連作された。古谷氏の金田一探偵はあたり役といわれている。

 しかし最初こそ金田一耕助シリーズ独特のおどろおどろしさにワクワクしていたが、観過ぎると次第に腹がたってくるようになった。というのも、金田一探偵というのは一通り重要関係者が殺された後で「あなたが犯人ですね」とくる。「獄門島」でも戦友の妹3人の命を守るために島を訪れたはずなのに結局三姉妹は皆殺しになった。(たしか古谷一行版では3人とも殺されたと記憶している。間違っていたらご免なさい)

 金田一探偵は殺人を阻止した事は極めて少なかった。それだけでなく、殺人犯を生け捕りにできずむざむざ自殺を許してしまう痛恨の大失態も犯している。「犬神家」事件はその典型例だろう。私が遺族の立場であれば、凶悪犯罪が完遂されてから謎解きされても手遅れだし、犯人に謝罪をさせ罪を償わせるべく残酷な生き地獄を一生涯おくらせてやりたいのに黄泉の国へ逃げられてはどうしようもない。まったく使えない無能探偵である。金田一に損害賠償請求しようにも資産らしい資産はない。踏んだり蹴ったりである。そんな探偵を「名探偵」と呼ばれることに腹がたった。
 
 といった感じで、些か金田一耕助というキャラに向ってマジで怒るようになった。ただ、ファッションは好きだった。フェルト帽に袴姿、冬はその上から黒羅紗のマント。稲垣吾郎版金田一などはまさに憧れのスタイルであるが、黒羅紗のマントはなかなか売っていない。数十年前までは男子高校生のトレードマークだったのに。

(余談2)前作「ビルマの竪琴」から数十年の間に、戦争の認識やアジア諸国と日本との関係も変化しているにも関わらず、ビルマの描写は変わっていない。市川監督いわく「ビルマの赤い土を描きたかった」らしい。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 
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犬神家の一族 (角川文庫―金田一耕助ファイル) 横溝正史
金田一です。 石坂浩二 
 
 


 
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コメント

こんにちは♪

TBありがとうございました。
まったくもってリメイクの意味がわかりませんでした。
そんなことなら新作を一本撮ってもらったほうがよかったな~と。

Re: こんにちは♪

ミチ氏へ

> TBありがとうございました。
> まったくもってリメイクの意味がわかりませんでした。
> そんなことなら新作を一本撮ってもらったほうがよかったな~と。

 金田一耕助の老人版「犬神家の一族」を撮りたかったんでしょうかね? 

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