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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「禅 ZEN」 家族と一緒に感動しよう〔16〕 

ZEN」 僧形の中村勘太郎がカッコいい。


 
【公開年】2008年  【制作国】日本国  【時間】127分  【監督】高橋伴明
【原作】大谷哲夫
【音楽】宇崎竜童 中西長谷雄
【脚本】高橋伴明
【言語】日本語 中国語
【出演】中村勘太郎[2代目](道元)  内田有紀(おりん)  藤原竜也(北条時頼)  鄭龍進(寂円・源公暁)  高良健吾(俊了)  安居剣一郎(義介)  村上淳(懐奘)  勝村政信(波多野義重)  鄭天庸(如浄)  西村雅彦(浙翁)  菅田俊(公仁)  哀川翔(松蔵)  笹野高史(老僧)  高橋惠子(伊子)
    
【成分】ファンタジー 知的 切ない かっこいい 時代劇 仏教 一部中国語 13世紀 
     
【特徴】曹洞宗を開いた道元禅師の生涯を描く宗教ロマン。中村勘太郎氏が美しい所作の道元を好演する。中国留学時の場面では綺麗な発音の中国語も披露。
 ラストの藤原竜也氏との問答は、あまりべたな台詞にならず迫力がある。
  
【効能】道元の生き方に、邦画時代劇によくある場面と判っていながら涙してしまう。日本仏教の原点を見る。
 
【副作用】べたな邦画時代劇にしか見えない。退屈する。台詞に説得力を感じない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
神秘性で物語をゴリ押しか・・。
 
 家は天台宗だが、多くの日本人がそうであるように私は仏教というものはよく知らない。キリスト教は聖書、イスラムはコーランだが、仏教では無数に経典がある。しかも現代日本語で書かれた物よりも漢文の経典がありがたがられる。しかも仏の教えを説くための書物というよりは呪文のようなものとして使われるから、意味が解って読んでいる人など圧倒的少数だ。仮に共産主義者が厄除けにマルクスの資本諭や共産党宣言を朗読したら、といえばその滑稽さは理解できよう。

 単純に歴史的事実関係を並べれば、釈迦の教えが果たして正確に現代に伝わっているかどうか保証できない。釈迦入滅後数世紀は読経による口述伝承だったし、やっと文章化されてもサンスクリット語やパーリー語は釈迦にとっては「外国語」らしい。さらにインド人が中国語に翻訳した経典を日本人がそのままありがたがり、現代語訳にはあまり関心が無い事から、相当に釈迦の教えは誤解・歪曲されて日本人に伝わっていると判断する方が自然だろう。

 ただ、釈迦は「神様を信じるな」「執着は捨てろ」というのは本当に言っていたらしい。だから欧米の一部宗教家たちは仏教を宗教とは認めていない。作中で道元が説く「あるがまま」「自分の中に仏がいる」というのは釈迦の教えに近いかもしれない。
 釈迦も道元もかなりのリアリストだと思う。現実社会に夢はもっていても幻想は持たない人間だったのではないか。前述したように日本では仏教がかなり誤解されているとみた方が良い。神秘的とか神懸り的とか幽玄なイメージを仏教に対して抱く人間があまりにも多いと思うが、釈迦や道元は神秘性のカケラも無い現実主義・実用主義に基づく発想の人間ではないか。
 それが作中の道元の台詞にもある「悟を開こうと思うな」「生きてこそ浄土がある、でないと浄土の意味が無い」からにも現れている。けっして「神に近付ける」「超人になる」「天国へいける」などとは言っていない。

 それだけに、神秘現象を連想させるような映像描写がなされたのは誠に残念。そのほうが観客には判りやすいだろうが同時に誤解されやすい。せっかく中国留学の場面では中国語台詞を多用してリアリティを出しているのに、神秘性で誤魔化された。
 もっとも、仏教書を読みかじった事があるが難しくて、鑑賞者が何となく解ったような気分にさせるには無難な表現かもしれない。やむを得ないか。

 映画の雰囲気は嫌いではない。モノトーンのファッションは昔から好きだ。とってつけたようなキャラを演じた内田有紀氏も予想したほど悪くはない。(余談1)この内容が落とし所か。リアル仏教、リアル道元をもし描写したら、興行は成り立たないかもしれない。

(余談1)内田有紀氏はけっこうエロい。坊主姿になるのだが、これがまたエロいと思ったのは私以外にもいるはずだ。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
晴雨堂関連作品案内
NHK 永平寺 [VHS] NHK特集
永平寺 「104歳の禅師」・「修行の四季」 [DVD] 宮崎禅師
 
晴雨堂関連書籍案内
永平の風―道元の生涯 大谷哲夫
よくわかる仏事の本 曹洞宗 大谷哲夫
永平寺の精進料理 七六〇年受け継がれた健康の智慧を家庭でいただく 高梨尚之
食う寝る坐る永平寺修行記 (新潮文庫) 野々村馨
ファンシィダンス (1) (小学館文庫) 岡野玲子
ファンシィダンス (2) (小学館文庫) 岡野玲子
ファンシィダンス (3) (小学館文庫) 岡野玲子
ファンシィダンス (4) (小学館文庫) 岡野玲子
ファンシィダンス (5) (小学館文庫) 岡野玲子
 



 
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たまたま道元禅師のまんがを読んでいたときに、この映画が公開されて、夫と「DVDになったら見ようよ(!?)」と、言っていたものでした。
どうしてあれだけ自分に厳しくできるのか、けっこう考えさせられました…。
勘太郎さんの演技は、期待できそうです(^_^)
[ 2009/10/15 00:52 ] [ 編集 ]
MAHHYA 氏へ
 
 私は大いに不満なのですが、しかしそれでも涙ぐんでしまいます。
 
 なんて言ったらよいのか、例えば歌詞だけを読めば、手垢のついた紋切り型のクサイ文言ばかりが並んでいて、恥ずかしくなるくらいなのに、それを年末の寒い夜中にでも小田和正あたりがアコースティックギターでしみじみと弾き語りをすると、何故か感動の歌に豹変するような錯覚、そんな感じですね。
 
 勘太郎の所作が綺麗です。 


 因みにむかし永平寺を観光したことがあるのですが、応対する雲水たちはかなりの上から目線で偉そうでした。7月に行ったので、雲水は汗臭い。あの人たちは4と9のつく日しか風呂に入らないのですから。
 大阪や京都の営業マン的坊主と違って、ホントに修行しかしない人たちです。好意的にいうと客に媚びない。

> たまたま道元禅師のまんがを読んでいたときに、この映画が公開されて、夫と「DVDになったら見ようよ(!?)」と、言っていたものでした。
> どうしてあれだけ自分に厳しくできるのか、けっこう考えさせられました…。
> 勘太郎さんの演技は、期待できそうです(^_^)
[ 2009/10/15 01:47 ] [ 編集 ]
こんにちは。

なるほど、あの幻想(幻覚)シーンは、
映画の流れからすると、
すこし違和感がありました。
別の映画を観ているような…。

でも、それを抜きにしても
この映画にはやられました。

たまたま、この正月に永平寺に参拝したこともあり、
観ているうちに、心がほぐれていきました。

>応対する雲水たちはかなりの上から目線で偉そうでした。
>大阪や京都の営業マン的坊主と違って、ホントに修行しかしない人たちです。好意的にいうと客に媚びない。

なるほど、そういう感じでしたね。
参拝客に対する言葉も命令口調というか、
どこか突き放した感じがありました。
[ 2009/10/17 10:10 ] [ 編集 ]
えい氏へ

> たまたま、この正月に永平寺に参拝したこともあり、
> 観ているうちに、心がほぐれていきました。

> 参拝客に対する言葉も命令口調というか、
> どこか突き放した感じがありました。
 
 観光客への注意事項を説明するときでも、「我々修行僧を撮影しないでください」とかなりきつい語調で指示していました。
 あくまで、ここは修行の場であって観光地ではない、嫌なら来なくても構わない、そんな態度でした。けっこう私はこの媚びない姿勢は好きですね。
 近頃の坊さんは檀家を維持するために営業マンのように腰低く走り回っていますから、かえって新鮮です。
[ 2009/10/17 15:07 ] [ 編集 ]
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