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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「アポロ13」 家族と一緒に感動しよう〔1〕 

「アポロ13」 感動の大団円



【原題】APOLLO 13
【公開年】1995年  【制作国】亜米利加  【時間】140分  
【監督】ロン・ハワード
【原作】ジム・ラベル ジェフリー・クルーガー
【音楽】ジェームズ・ホーナー
【言語】イングランド語 一部ドイツ語        
【出演】トム・ハンクスジム・ラベル船長)  ケヴィン・ベーコン(ジャック・スワイガート飛行士)  ゲイリー・シニーズ(ケン・マッテングリー飛行士)  ビル・パクストン(フレッド・ヘイズ飛行士)  エド・ハリス(ジーン・クランツ首席管制官)  キャスリーン・クインラン(マリリン・ラベル)     

【成分】パニック 恐怖 勇敢 知的 絶望的 かっこいい アポロ計画 70年代 アメリカ

【特徴】実際に起こったアポロ13号の事件をもとに映画化。当時のNASAの雰囲気がよく再現されている。当時の記録フィルムをベースにCGで作り変えた鮮明画像や実際に飛行機の自由落下で生じる無重力状態を利用しての撮影が評判。ラストの大団円は感動的、いつもながらハリウッドはエキストラを使うのが巧い。
 原作者のジム・ラベル氏が宇宙飛行士たちを回収するイオウジマ艦長の役でカメオ出演、ラベル役のトム・ハンクス氏と晴れやかな笑顔で握手する場面は、アポロファンにとって感涙モノである。

【効能】各々の人々が各々の立場でベストを尽くし困難を克服していく姿は感動と未来への希望を与える。小中学生くらいの子供がいる家庭なら効果大。

【副作用】残念ながら日本語吹替は臨場感が無く奇妙な台詞換えがある。英語版が望ましいが、小さなお子さんには難解になる。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
アメリカがまだ輝いていた時代

 「フォレスト・ガンプ」に続いてトム・ハンクス氏とゲイリー・シニーズ氏が共演。もともとラベル船長役はケビン・コスナー氏が第一候補だったとか。たしかにコスナー氏の容姿は実際のラベル船長に似ていたが、作品の雰囲気が必要以上に重くならなかった点で、やはりトム・ハンクス氏で良かったと思う。「ライトスタッフ」で宇宙飛行士ジョン・グレン役をやったエド・ハリス氏は、ここではジーン・クランツ管制官役をやった。

 アポロ13の実際の遭難劇を映画化にしたモノで、多少のデフォルメはある(余談1)ものの史実に沿った内容と雰囲気で物語が進む。アポロ計画史上というだけでなく、人類の宇宙開発史上最大の震撼事故であり、感動的な生還劇である。高校生の頃、「2001年宇宙の旅」のTV放映を観て衝撃を受けた私は、いずれ衛星軌道上のステーションでのロケーションによるアポロ13の映画化を予想していたが、その時代はもっと先らしい。

 映画のデキは全く期待通りだった。男臭い煙草の吸い殻まみれの当時のNASAの様子がよく再現されていた。(現在は禁煙で女性職員も多い)発射台エレベーターに乗っているトム・ハンクス氏等の緊張感滲み出る表情は、本当に宇宙飛行士のようで嬉しかった。サターンロケット発射も迫力があり、子どもの頃に観た画質の悪い実際の記録映像がCG処理でシャープかつ鮮明な画像となって蘇っていた。無重力訓練機の中につくったアポロ13船内セットでの撮影も素晴らしく、トム・ハンクス氏らは本物の宇宙飛行士のように無重力の中で演技をしていた。

 ラストの生還シーンで、NASA管制室の職員が一斉に歓声をあげ喜びあう場面が感動的だ。いつも思うのだが、ハリウッドの秀作は群衆劇が優れている。一人一人が作中の世界の人間に成りきっている。周囲の歓声の中で首席管制官ジーン役のエド・ハリス氏だけが無言で顔を真っ赤に座り込む様は、担当責任者の重責を雄弁に物語っていて、良い場面だ。

 私はたぶんジム・ラベル氏の末の子どもと同世代ではないかと思う。映画に登場する末の男の子だ。当時の私にとって、多くの少年たちと同じくアポロ計画は夢と憧れの対象だった。小学生の頃はアポロ計画に関する本を読みあさった。当然、アポロ13の事件も調べた。「ライトスタッフ」を映画館で観た時、アポロ計画が映画化されたら、きっとアポロ13号が舞台になりジーン役はエド・ハリス氏だと確信していた。(「ライトスタッフ」の時は若い頃のジョン=グレン氏に酷似していた)

 物語本体とは直接関係は無いが、この「アポロ13」も日本語吹き替えはヒドい。「Uボート」でも思ったが、声優たちは工場や工事現場で働いた事はないのか? 機械がトラブッた時の騒然とした場面そのものなのに。
 特にケビン・ベーコン氏が扮するスワイガート飛行士が液体酸素攪拌スイッチを入れた時に機械船が大爆発する場面があるのだが、ケビン・ベーコン氏は頭がパニックを起こして真っ白になっている雰囲気をよく演じているのに、声優は反抗的で投げやりな調子で「トラブル発生」と言う。


 それから、ラベル船長がドイツ人技師ベント先生とドイツ語で挨拶する場面が、日本語吹き替えではオチャラケの冗談に差し換えられている。当時のNASAがドイツ人技師に頼っていた背景を覗かせる場面だったのに台無しだ。

 字幕スーパーは俳優の演技が観れるが、語学力が無いと台詞を理解するに字幕だけが頼りになる。原版の台詞を100とすると、日本語吹き替えは60、字幕は40くらいの情報しか伝えられていないという話を聞いた事がある。だから、吹き替えの正確さと声優の演技は重要だ。ヒドイ吹き替えを見ると腹が立つ。

 それと、宇宙空間でのロケット噴射効果音は入れなければならなかったのだろうか? 「2001年宇宙の旅」では宇宙空間の場面では効果音無しだった。私は音無にしてほしかった。

(余談1)映画ではフレッド飛行士とスワイガート飛行士が極限状態でいがみ合い口論になるが、ジム・ラベル船長の手記を読む限りそんなドラマになるエピソードは無い。目前の困難を如何にテキパキと片付けるかに必死で、喧嘩をする時間と労力の余裕は無さそうだった。
 聞くところによると、最も脚色臭い場面にラベル夫人が浴室で結婚指輪を落としてしまい不吉な予兆を感じさせるのがあるが、意外にそれは本当にあったことらしい。

 仮に「スタートレック」のミスター・スポックが「アポロ13」を観たら何と言うだろうか? 「こんな原始的なカプセルで月まで飛行するのは非論理的だ」と言うかもしれない。

【注目点】本作にはロン・ハワード監督らしい伏線が幾つか張られている。
 例えばケンが最初の訓練シーンで燃料の微小な消費量にまでセコくこだわって訓練続行を主張する性格が後の大事故後の生還プログラム作成に役立つとか、補助要員のジャックがジムの自宅パーティで司令船と月着陸船のドッキングをチャラ男ぽく下ネタに例えて女性に説明する場面が後に正規メンバー急遽昇格の展開につながるなどが判りやすい伏線だ。
 が、さりげないがけっこう重要な伏線もある。

 発射直前、飛行士3名が司令船に乗り込むとき、係員が飛行士の右肩に足を置いて踏ん張りながらシートベルトをきつく締める場面がある。ジム・ラベル船長は少し笑みを浮かべ、ジャックは緊張の無表情だが、フレッドだけかなり痛そうな顔になる。これは事故後にフレッドだけが極度に体調を悪化させる伏線だ。
 平時では表面上健康でも過酷な環境下に置かれると病魔が鎌首あげる事は多々ある。曇天や季節の変わり目に古傷が痛み出すのと同じだ。
 因みにフレッドを演じたビル・パクストン氏は平素は強そうに粋がって非常時に直面するとケツをまくるヘタレを演じるのが巧い役者で、今回も朴訥で平凡で優しい善人として登場し、徐々に体調悪化が進むとともにジャックに対する不信感を募らせ爆発させる演技が説得力あって良かった。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作


【受賞】アカデミー賞(音響賞)(1996年)

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アポロ13号 サウンドトラック
ライトスタッフ [DVD] フィリップ・カウフマン監督
アポロ18 [DVD] ゴンザロ・ロペス・ガレーゴ監督

晴雨堂の関連書籍案内
アポロ13 (新潮文庫)
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「ものづくり」と複雑系―アポロ13号はなぜ帰還できたか
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[2009/06/14 13:56] mama
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