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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「卍(まんじ)」 萌えたい時に〔17〕

(まんじ)」 
岸田今日子若尾文子の魅力全開

 


【公開年】1964年  【制作国】日本国  【時間】90分  【監督】増村保造
【原作】谷崎潤一郎
【音楽】山内正
【脚本】新藤兼人
【言語】日本語
【出演】若尾文子(徳光光子)  岸田今日子(姉内園子)  川津祐介(綿貫栄次郎)  船越英二(姉内孝太郎)  山茶花究(校長)  村田扶実子(梅子)  南雲鏡子(清子)  響令子(春子)  三津田健(先生)
    
【成分】笑える ゴージャス 知的 セクシー コミカル 耽美 レズビアン
       
【特徴】谷崎潤一郎の官能小説を映画化。この「」は本作以降も何度かリメイクされ、樋口可南子氏らの83年版・坂上華織氏らの98年版・不二子氏らの2006年版がある人気作品だ。
 名士の夫人が若い女性と同性愛の関係となり、夫や間男を巻き込んで愛憎劇を繰り広げる。後のリメイク作に比べると時代的制約もあるのかセックス描写は極めて地味だが、それが逆に若尾文子氏と岸田今日子氏との品格ある耽美を醸し出している。
  
【効能】ゴージャスなレズ場面に萌え。若尾文子の美しさと強かな魅力に女性も憧れる。
 
【副作用】ラストが納得できず釈然としない。パッケージの妖しさに対して内容が地味なのにがっかりする。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
」第一回映画化
 
 学生時代、同性愛の女友達と猥談を楽しんでいた時に彼女は「」をけなしていた。といっても本作の「」ではない。当時は樋口可南子・高瀬春奈版の「」が封切られ、スレンダー女優の樋口可南子氏とグラマーな高瀬春奈氏のレズシーンが大評判になっていた。(余談1)彼女がけなしていたのは樋口可南子氏の「」だ。「レズビアンを理解していない」という事らしい。そして原作者谷崎潤一郎に対して「女性の心理が解っていない。男性目線の興味本位な作品」とこきおろした。

 谷崎潤一郎が興味本位の男性目線云々であるかどうかは別にして、樋口可南子版「」は女同士のセックス描写を前面に強調したつくりになっている。もちろん、物語全体からみればセックスの場面は少ないと思うが、たしかにレズをテーマにしたアダルトビデオを観る男性目線かもしれない。
 その傾向はリメイク3作目の坂上香織版にも引き継がれ、2006年の不二子・秋桜子版に至っては拍子抜けしたAVのようだ。

 さて、この映画化第1作目の本家「卍」は、映画として非常に面白いデキになっている。物語構成・出演俳優、綺麗に調和がとれインパクト抜群の完成度の高さだ。後の3作は人気女優のレズビアン場面を市場に出す事に神経を使い過ぎているきらいがある。
 その点この「卍」は、時代の制約もあるだろうが露出度は殆ど無く、プラトニックな作調で物語が進んでいるのに好感を持つ。人気女優のエロチックな場面を期待して観に行った映画ファン達のテンションを下げないためか、脚本もよく練られていて退屈しない。

 俳優の起用法も的を得ている。まず一見すると清楚で端正で美白美女の若尾文子氏が周囲を破滅へと引きずり込む魔性の女光子を演じ、光子の魅力にとり憑かれる若い人妻園子を一見すると個性的で魔性の女っぽい岸田今日子氏が演じた。私の偏見と固定観念からいうと、純情可憐な人妻役若尾文子氏の身体を女吸血鬼カーミラの如く貪る岸田今日子氏、といったシチュエーションを想像していたのだが、逆だったのが面白かった。たしかに私の発想では平凡過ぎる。(余談2)
 この2人にしがみ付く男性達の情けない事、冷静知的なイメージの川津祐介氏が色ぼけしたボンボンの間男を演じ、園子の夫をとぼけた感じの船越英二氏が演じた。この男性たちは完全に狂言回しである。男前の男優が糞真面目にギャグをやっているのだから。

 ラストは圧巻である。光子と園子とその夫の3人は三角関係を繰り広げるのだが、スキャンダルが露呈したため心中を計る。私から見れば自殺するほどの問題とは思えず、それなりに財産を築いてきた方々なのだから、どこか山奥か孤島に隠棲して3人でセックスライフを謳歌したら良いと思うのに、あっさりと人生を諦める。
 船越英二氏は若尾文子氏を観音様にみたて、自分と岸田今日子氏はその下僕して黄泉の国へ旅立つというのだ。各々のキャラに相応しい例え。たしかに岸田今日子氏では観音様は似合わない。

 しかし、私は「鬼の棲む館」(余談3)のように廃寺に潜伏して、三角関係を存続させるラストが面白いと思う。さらに悪乗りして、若尾文子氏を教祖に、岸田今日子氏を巫女、船越英二氏が事務局長として、村を支配するカルト教団。ここまで考えると谷崎文学を冒涜してしまうか。
 私が言いたいのは、キャスティングが絶妙だったので物語以上に様々な展開を妄想して楽しめた付加価値が高い、という事である。

(余談1)「卍」はこれまでに4回映画化されている。ところが2009年2月現在、樋口可南子氏らの83年版と坂上香織氏らの98年版がYahoo!映画サイトのデータに載っていない。
 いずれも主演の女優がキュートなアイドル的ポジションからセクシー系へとシフトする時期に「卍」出演に踏み切っている。

(余談2)語弊を恐れずにいうと、岸田今日子氏と若尾文子氏が手をつないで歩く様は美しい。仮に船越英二氏と川津祐介氏が手をつないで歩く様があったら、これも絵としては面白いか。
 四つ巴のフリーセックス、実現したら問題作になるのは間違いない。

(余談3)勝新主演の時代劇。妖艶な美女と貞淑な妻との不思議な三角関係を描いた物語。

晴雨堂スタンダード評価
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卍 まんじ [DVD] 井口昇監督 不二子・秋桜子版
卍 まんじ [DVD] 横山博人監督 樋口可南子・高瀬春奈版
卍(まんじ) [VHS] 服部光則監督 坂上香織 真弓倫子版

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卍 (新潮文庫) 谷崎潤一郎 原作
 

  

 
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卍 谷崎潤一郎の「卍」の映画。 小説のほうは、大昔に1度読んだような気がするが、 これってエログロですね。 谷崎の世界ってエロなのですね。 官能小説を映画化したみたいな、淫靡でいけない雰囲気が漂ってた。 小説を読んだときは、そんな風には思わなかった..

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