FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「たそがれ清兵衛」 カップルで癒されたい時に〔3〕 

たそがれ清兵衛
海外にも評価されたリアル江戸時代

  

 
【公開年】2002年  【制作国】日本国  【時間】129分  【監督】山田洋次
【原作】 藤沢周平
【音楽】 冨田勲
【脚本】山田洋次 朝間義隆
【言語】日本語(庄内弁)
【出演】真田広之(井口清兵衛)  宮沢りえ(飯沼朋江)  小林稔侍(久坂長兵衛)  大杉漣(甲田豊太郎)  吹越満(飯沼倫之丞)  伊藤未希(井口萱野)  橋口恵莉奈(井口以登)  田中泯(余吾善右衛門)  岸惠子(晩年の以登)  丹波哲郎(井口藤左衛門)     
 
【成分】悲しい 勇敢 切ない かわいい 幕末 
 
【特徴】19世紀半ばの下級武士の生活風景をリアルに再現。少女時代の宮沢りえ氏はあまり日本髪や和装が似合うタイプではなかったが、本作は見事に良妻賢母の器量良し婦人になっていて、新たなファン層が広がった。
 時代劇嫌いの方にも現代劇感覚で抵抗無く受け入れられる事が多い。
 
【効能】清兵衛と朋江の大人の純愛に心が癒される。
 
【副作用】佳境で血腥い格闘場面があり、癒しだけを求めている方には少し不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
半世紀前までの日本の日常生活を撮った作品
 
 まず、山田洋次監督と真田広之氏・宮沢りえ氏に感謝したい。仮に全く同じ物語・同じ完成度の映画でも、新進の監督や俳優がやったのでは評判にならない。欧米で評判になれば慌てて日本でも取り上げるだろうが、それでも特定の趣味の人以外は好んで見ないから興行的には振るわない、もともとこの作品はそんな内容である。
 
 制作発表の記者会見で宮沢りえ氏が「時代劇というと鬢つけ油や化粧の匂いがするものなのに、この映画は違う」という趣旨の話をされた。この発言に私は期待した。また山田洋次監督なら、よもや東映太秦でも見れる時代劇は撮らないだろうという信頼があった。

 大昔から従来の時代劇に不満があった。まず生活臭がない。画面に登場する生活用具や雑貨は、ただ置いてあるだけで登場人物たちがどのように使い込んでいるかが見えない。着ている物も晴着だ。
 
 当時は現代のような大量消費はできないから庶民はもっぱら継ぎだらけの古着(継ぎの仕方でお洒落を競う世界だった)を着ていた。清兵衛クラスの侍でも羽織袴は古着、裃などの式服は親や親戚から譲ってもらったものである。
 それからあの個性の無いカツラ、女性は一様に富士額の狭いおでこになり、男性は子どもまで太いモミあげを生やす。トム・クルーズ主演の「ラスト・サムライ」を観た方はお気付きだろうが、メイクの仕方が随分違う。さしずめ欧米は油絵の時代劇、日本は浮世絵の時代劇だ。
 
 これから観る人は、この映画で日本の原風景を楽しんでもらいたい。私がまだ小さかった頃、田舎の生活もそれに近いものだった。服は親戚からのお下がりばかり、肘や膝は継ぎはぎ。風呂は薪がもったいないので毎日は入らなかった。夜は電球か蛍光灯1本だから今より薄暗い。
 水道の水も今よりずっと控えめに使っていたから、食器があまり汚れない普通の御飯と味噌汁のときは食べ終わっても洗わず、埃が被らないようにお椀を伏せて、次の食事の時にまた使う。実はつい数十年前まで田舎ではこんな生活だったのだ。
 
 清兵衛が生きた時代はさらに水道も電気も無い。映画は見事にかつての日本の日常生活を再現してくれた。その再現された日本の原風景に、宮沢りえ氏も真田広之氏も違和感なく溶け込んでいた。

 私は映画化する以上はリアリテイはあってしかるべき、と思っている。物語を楽しむだけなら原作の小説を読むだけで良い。映像化なら舞台劇でも良いし、TVスタジオで撮ったドラマでも構わない。しかし莫大な資本と人件費などを投入して映画にする限りは、映画ならではの説得力は求められて当然である。その説得力の重要な要素がリアリティである。異論はあるだろうが「たそがれ青兵衛」はそのリアリティさと文学性とエンタメ性のバランスがとれた秀作と思う。
 
 余談だが、丹波哲郎はどこの作品でなにを演じても「丹波哲郎」だな。それはそれで面白いのだが。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆☆ 秀
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
【受賞】第26回日本アカデミー賞 第45回ブルーリボン賞作品賞、助演女優賞(宮沢りえ) 第76回キネマ旬報ベスト・テン 第57回毎日映画コンクール 第27回報知映画賞最優秀作品賞、最優秀監督賞(山田洋次)、最優秀主演女優賞(宮沢りえ) 第15回日刊スポーツ映画大賞作品賞、監督賞(山田洋次)、主演男優賞(真田広之)、助演女優賞(宮沢りえ
   
晴雨堂関連書籍案内
たそがれ清兵衛 (新潮文庫)
竹光始末 (新潮文庫)
 
晴雨堂提携サイト案内
お気に入りがきっと見つかる!京都きもの市場



 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



はじめまして。高岳堂と申します。
拙ブログにTBいただきありがとうございます。
当方は落語のことをあれこれ書いておりますが、TBしていただいた「たそがれ清兵衛」は桂こごろうが桂千朝師を評した表現です。
小生は観たいと思いながらまだ映画を観ておりませんが、こごろうが言っているイメージは伝わってきていました。千朝師のことは「七人の侍」の宮口精二のイメージを持っていましたから。
これからちょいちょいこちらにもお邪魔したいと思います。よろしくお願いします。
[ 2007/12/09 22:34 ] [ 編集 ]
こんばんは、晴雨堂です。
 わざわざのコメントありがとうございます。私はご覧の通り映画の感想を書きながら訪問者の皆さんに紹介しております。
 「たそがれ清兵衛」は通常の時代劇に無い生活臭があるので、楽しいというよりは懐かしさも感じられるかもしれません。
[ 2007/12/09 23:59 ] [ 編集 ]
はじめまして。
圧倒的に洋画を観るほうが多いのですが、これは観ました。山田洋二×藤沢周平の3部作はどれも気に入ってます。テレビの時代劇のように派手な(見せるための)殺陣がない点、どの主人公も普通の武士で普通に日々を過ごしているところ、などなど、好きなところはたくさんあります。

またおじゃまします。
応援Click
[ 2007/12/10 22:41 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://seiudomichael.blog103.fc2.com/tb.php/92-cbce4bbe

 『ただ、愛する人のために。』  コチラの「たそがれ清兵衛」は、「蝉しぐれ」の藤沢周平の世界を山田洋次監督が描く三部作の1作目で、2003年度のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品です。  原作は、同名の短編小説「たそがれ清兵衛」をはじめ、「竹光始末」、?...
[2009/06/10 21:33] ☆彡映画鑑賞日記☆彡
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
15位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
5位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク