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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「女囚さそり 701号怨み節」 孤独を楽しむ時に〔42〕 

女囚さそり 701号怨み節」 孤高の女戦士。
 


【公開年】1973年  【制作国】日本国  【時間】89分  【監督】長谷部安春
【原作】篠原とおる
【音楽】鏑木創
【脚本】神波史男 松田寛夫 長谷部安春
【言語】日本語
【出演】梶芽衣子(松島ナミ)  田村正和(工藤安男)  細川俊之(児玉武志警部)  金井由美(児玉絹代)  土方弘(広瀬刑事)  大下哲矢(高井刑事)  渡辺やよい(みどり)  初井言栄(工藤トメ)  楠田薫(中曾根所長)  中原早苗(稲垣明子)  森秋子(大門看守長)  根岸明美(南村看守)  安藤純子(真崎看守)  土山登士幸(刑事A)  佐藤晟也(刑事B)  大泉公孝(刑事C)  滝波錦司(刑事D)  久邇あき子(看守A)  吉田りえ(看守B)  巳聖子(看守C)  尾崎ひろみ(看守D)  瀬木けい子(看守E)  根岸真理(看守F)  名達ますみ(女囚A)  小甲登志枝(女囚B)  竹村清女(女囚C)  山本緑(女囚D)  田沢裕子(女囚E)  章文栄(女囚F)  岸ひろみ(花嫁)    
    
【成分】悲しい パニック 恐怖 勇敢 切ない かっこいい 女戦士 日本
       
【特徴】孤高の女性ヒーローさそりの死闘を描くシリーズ。当時20代半ばの梶芽衣子氏はシャープな雌豹的魅力が前面に出て素晴らしい、彼女のハマリ役といえる。
 さそりに復讐心を燃やす刑事に細川俊之、殆ど髪型も容姿も声も変わっていない。ところが、さそりに協力する学生運動崩れの青年に扮している田村正和氏は、現在の独特のキャラと発声は表面化しておらず極普通の演技をしている。
  
【効能】梶芽衣子氏の黒豹的カッコ良さに男女とも萌え。
 
【副作用】警察のバイオレンスに気分が悪くなる女性が出る。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
憧れの女性ヒーロー。
 
 小学生時代、憧れの女性ヒーローは土田早苗氏扮する「水滸伝」の扈三娘と梶芽衣子氏扮する「大江戸捜査網」の隠密同心小波(余談1)だった。土田早苗氏は快活で明るくて強い頼もしい親しみのあるお姉さんというイメージで、梶芽衣子氏はどこか暗い陰のある老成した近寄りがたい美女という感じだった。

 どちらがより憧れがあるかといえば、少年時代は大人の危ない魅力に惹かれる事が多かったので梶芽衣子氏である。土田早苗氏は学校の若い先生のような感じで親しく話ができそうだが、梶芽衣子氏では話しかけることすらできない。もし彼女が私の名前と顔を憶えていて気さくに挨拶でもしてくれたら、生涯の思い出になるだろう。

 さて、そんな梶芽衣子氏の当たり役ともいえるのが女囚さそりである。これはシリーズ化され4作ほど制作されただろうか。中でもこの作品は、細川俊之氏扮する冷酷切れ者の児玉警部率いる警官隊との執拗な戦いや、元学生運動出身のアンチ権力の若者工藤に田村正和氏(余談2)との絡みがあって面白い。

 本来なら、児玉警部は行き過ぎとはいえ職務熱心であり、事故とはいえ妻を“さそり”に殺されたわけだから、細川俊之氏は悲劇のヒーローでもあるのだが、それを全く感じさせない警察のヤクザぶりが面白い。1人の華奢な若い女性である“さそり”に対し、いかつい男たちが寄ってたかって情け容赦せず攻撃を加える。
 “さそり”の支援者で恋人の工藤には激しい拷問の数々、最後には母親まで連れてきて脅迫する。この母親役に初井言栄氏が扮する。世間様大事の古き良き母親の泣き顔がムカつくぐらい迫力がある。田村正和氏のくしゃくしゃな泣き顔も味がある。
 刑務所もナチス収容所みたいな空気、一人だけ生真面目な女性看守長が“さそり”への違法な待遇について異議を唱えると、児玉警部配下の刑事たちが一室に連れ込んで手ごめにする。

 辛くも、児玉警部を返り討ちにした“さそり”は、警察の拷問に屈した工藤を許さず、ナイフを手に黒い帽子に黒いレインコート姿で現れる。“さそり”を支援していた頃は如何にも学生運動くずれの若者といった感じだったが、ラストでは職場のストリップ劇場で踊り子さんと一緒になったのか、すっかり所帯じみた雰囲気になっているのが巧い。
 自分を殺しにやってきた“さそり”の姿を見つけたとき、一瞬驚くが笑みを浮かべて「待っていた」と両手を広げ殺されるのを待つ姿が哀しい。
 一時は人間らしさを取り戻しかけた彼女は再び孤高の冷酷無表情となり雑踏へ消えていく。梶芽衣子氏はそんな役がよく似合う。

 梶芽衣子版「女囚さそり」シリーズの中で本作は私にとってはツボにはまった。後に「女囚さそり」シリーズは岡本夏生氏・夏樹陽子氏・小松千春氏らが扮するが、梶芽衣子氏以上の冷たさの底にある熱い情熱を感じる事ができない。
 
(余談1)彼女は黒装束も似合うが紫の着物がこれまたよく似合う人だった。紫装束での殺陣は美しい。
 初期の頃は隠密同心の1人というよりは、ボスの内藤勘解由に従う側近で、隠密同心の飛車角である十文字小弥太と井坂十蔵の2人との連絡将校のようなポジションだった。このミステリアスで鋭い懐剣のようなキャラが魅力だった。
 初期の隠密同心では女性剣士は紅一点だったが、後半は大勢の女性剣士が登場する。「水滸伝」の土田早苗氏も後に隠密同心稲妻お竜役で長期間出演するのだが、扈三娘と同じく快活で明るいイメージがある。
 今は熟女キャラかたせ梨乃氏も隠密同心流れ星おりん役で女優デビュー、当時は20歳前後だったろうか。健康的な美脚と豊満な胸の谷間を強調したコスチュームで話題を集めた。個人的にはエロさは感じず、仕事とはいえ無理してるなぁ、高齢化する隠密同心で若さをひけらかしているなぁ、という印象だった。
 その他、志保美悦子氏・夏樹陽子氏・岡江久美子氏が隠密同心に扮したが、殆ど印象に残っていない。
 やはり、女性隠密同心は梶芽衣子氏において他なし。

 ところで隠密支配内藤勘解由とはどんなポジションの人だったのかをいうと、記憶に間違いなければ旗本寄合席、4千石以上の無役の旗本の格を表す。(だから隠密に向いているのか)
 戦国時代頃から武士は勝手に官位を自分の名前に盛り込むようになるが、これほどの大身旗本になると大名と同じく正式に朝廷から官位を叙勲されている。勘解由は従五位相当。大岡越前や赤穂藩主浅野内匠頭クラスかな。

(余談2)現在の田村正和しか知らない人が見たら、普通の台詞回しなので驚くかもしれない。彼がキザっぽく台詞を発声するようになったのは、いつ頃からだろうか? 土曜ワイド劇場で没落するエリート役を演じるようになった30代後半からだろうか?
 細川俊之氏は今とあまりイメージが変わらない。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
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[2009/11/04 07:52] カフェビショップ
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