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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「13日の金曜日」 不安と恐怖を楽しむ時に〔16〕 

13日の金曜日」 記念すべきシリーズ第1作



【原題】FRIDAY THE 13TH
【公開年】1980年  【制作国】亜米利加  【時間】95分  
【監督】ショーン・S・カニンガム
【原作】
【音楽】ハリー・マンフレディーニ
【脚本】ヴィクター・ミラー
【言語】イングランド語
【出演】ベッツィ・パルマー(ヴォーヒーズ夫人)  エイドリアン・キング(アリス)  ハリー・クロスビー(ビル)  ローリー・バートラム(ブレンダ)  マーク・ネルソン(ネッド)  ケヴィン・ベーコン(ジャック)  ジャニーヌ・テイラー(マーシー)  ロビー・モーガン(アニー)  ピーター・ブローワー(スティーヴ・クリスティ)  レックス・エヴァーハート(トラックの運転手)  ロン・キャロル(ティアニー)  ウォルト・ゴーニイ(クレイジー・ラルフ)  アリ・レーマン(ジェイソン)

【成分】パニック 不気味 恐怖 絶望的 セクシー 森林 1957年~1980年 

【特徴】「13日の金曜日」の記念すべき第1作。本作ではまだホッケーマスクを被った殺人鬼ジェイソンは登場しない。次から次へと容赦なく登場人物が殺されていくので、最後に生き残った主人公も殺されるのではないかとハラハラしてしまうところが醍醐味だ。強烈な殺人場面をつなぎ合わせた実験的B級ホラー映画である。
 若きケビン・ベーコン氏が殺され役で出演。

【効能】ふいに襲い掛かる殺人場面に恐怖快楽が刺激される。

【副作用】森と湖に囲まれたキャンプ地が怖くなる。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
殺人場面だけをつなぎあわせたホラー。

 ホラー映画には吸血鬼モノ・寄生虫モノ・ゾンビ物・エクソシスト物・蝋人形モノなどのジャンル分けができると思うが、「13日の金曜日」は立派にそれだけで1つのジャンルへと成長した。いまやホッケーマスクを被ったジェイソンは、ドラキュラ・フランケンシュタイン・エイリアンなどと並んで不朽の恐怖キャラである。

 しかし、この記念すべき第1作目であるこの映画には殺人鬼ジェイソンは登場しない。ジェイソンは未だキャラとして確立しておらず、典型的な低予算で新機軸を試したミステリアスな意欲的ホラーである。(余談1)
 なにしろ、起承転結の物語構成を無視して殺人場面の連続だからだ。たぶん、制作者は撮りたい殺人場面をまず10パターンていど考え、それを一応は物語の体になるようつなぎあわせ、スタンダードな商業映画の時間枠である90分程度の枠に収まるよう削ぎ落とし、ラストの僅かな時間枠に「起承転結」の「転結」部分をもってきて一気に物語を終わらせ整えた。私はそんな感じに見える。

 今では珍しくないが、この時期はヒロインが闘って生き残るパターンがまだ少なかった。同時期の映画では「エイリアン」、少し前で「悪魔のいけにえ」などがある。かつてのヒロインは可愛らしくて弱くて絶叫する存在でしかなかった。そこへ白馬の王子様然としたヒーローがマッチョ的活躍でヒロインの窮地を救うのだ。闘う美女リプリーを生んだ「エイリアン」でさえ、企画段階では男が主人公で生き残る内容だった。

 1980年前後の映画あたりから、最後まで生き残りそうな頼りになる男性ヒーローがいとも簡単に惨殺されるところが特徴だ。そして登場人物の殆どが殺される。最近ではそんな展開が食傷気味になったのか、主要男性キャラが1人生き残ってヒロインに付き従うバリエーションが増えていったが。
 本作はモロに皆殺されていく。語弊を恐れずにいえば、殺され方もいたってシンプル、しかも迫力満点のシチュエーション(余談2)とカメラワークで描写される。しかも、これでもか、これでもか、と続くのだ。この調子で展開するものだから、最後に生き残ったヒロインも餌食になって「そして誰もいなくなった」状態で終わるのではないかと観客を最後まで不安にさせる。そこがミソなのである。

 この作品も、低予算映画の成功例である。

(余談1)低予算のホラーとポルノは宝の山だ。ここで下積み時代の意欲的な若い監督や俳優が育っている事が多い。例えば、本作ではケビン・ベーコン氏が出演している。まだ20歳前後、毛薄いイメージの俳優なので実年齢より若く見え、高校生でも通じそうだ。当然、この映画では途中で殺される被害者A・被害者Bの扱いである。

 低予算であるだけに、監督や俳優のセンスがモロに出る。潤沢な予算でごまかすことができないから創意工夫が重要な鍵となる。またB級C級のホラーやポルノは、低予算である気楽さからなのか、大胆な描写に挑戦できる。
 潤沢な予算とスポンサーの多さは、スポンサーの意向と興行的成功を強く求められるため制作者は逆に負担になる。またメジャー映画は老若男女にウケる事が要求され、表現上の制約もかかる。ホラーとポルノは比較的そのような縛りが少ない。

(余談2)アメリカのキャンプ場では、しばしば熊による被害が発生している。日本ではあまり考えられないことだが、豊かな大自然の中のキャンプ場で熊に喰い殺され血飛沫や肉片が散らばるといった事があるので、「13日の金曜日」的恐怖は無い事も無い。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔


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13日の金曜日 PART2 [DVD] スティーブ・マイナー 本作の好評を受け作られた続編。殺人鬼ジェイソンが登場する。
13日の金曜日 PART3 [DVD] スティーブ・マイナー
13日の金曜日 Part.4 完結篇 [DVD] ジョセフ・ジト
13日の金曜日 PART6 [DVD] トム・マクローリン
13日の金曜日 PART7 [DVD] ジョン・カール・ビュークラー
13日の金曜日 PART8 [DVD] ロブ・ヘデン
13日の金曜日 ジェイソンの命日 [DVD] アダム・マーカス
ジェイソン X 13日金曜日 [DVD] ジェームズ・アイザック

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青春を賭けるって気分イイゼ! (1983年) 瀬戸圭祐 絶版、古書流通。著名なサイクリストが学生時代にロッキー山脈を走ったときの体験談、熊に襲われたキャンプの話などがある。他にヒンズークシを走った長閑な話も貴重だ。タリバン勢力で非常に危険な地域が、この頃はまだ平和だった。




 
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