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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ネバーランド」 カップルで考えよう〔1〕 

ネバーランド」 ピーターパン誕生秘話
 


【原題】FINDING NEVERLAND
【公開年】2004年  【制作国】英吉利 亜米利加  【時間】100分  【監督】マーク・フォースター
【原作】
【音楽】ヤン・A・P・カチュマレク
【脚本】デヴィッド・マギー
【出演】ジョニー・デップジェームズ・マシュー・バリ)  ケイト・ウィンスレット(シルヴィア・ルウェリン・デイヴィズ)  ジュリー・クリスティ(デュ・モーリエ夫人)  ラダ・ミッチェル(メアリー・アンセル・バリ)  ダスティン・ホフマン(チャールズ・フローマン)  フレディ・ハイモア(ピーター・ルウェリン・デイヴィズ)  ニック・ラウド(ジョージ・ルウェリン・デイヴィズ)  ジョー・プロスペロ(ジャック・ルウェリン・デイヴィズ)  ルーク・スピル(マイケル・ルウェリン・デイヴィズ)  イアン・ハート(アーサー・コナン・ドイル卿)  ケリー・マクドナルド(ピーター・パン)      
    
【成分】ファンタジー ゴージャス 知的 切ない かわいい コミカル 19世紀末~20世紀初頭 イギリス 
         
【特徴】ピーターパンの作者ジェームズ・マシュー・バリの実際のエピソードを元にピーターパン誕生の秘話を描く。ビクトリア朝の香りが漂うイギリスの風景が美しい。
 ジョニー・デップ氏が大人になりきれていない大人を好演、老成した演技をする子役との緊張感ある会話が見もの。
  
【効能】子育ての難しさを体感。
 
【副作用】ありふれたラブロマンスに見えて、ジョニー・デップ的アクがなくて不満。主人公の思慮の浅さに不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
子役の演技が光る「少女漫画」。

 ビクトリア朝(余談1)の香り未だ漂う時代の物語。主人公はジョニー・デップ氏扮する著名な劇作家、若々しい知的な中年紳士、妻と家政婦の3人暮らし。いつもハードカバーのノートブックを片手にトラディショナルな背広姿で明るいケンジントン公園を散歩しながら優雅に創作活動。妻との関係は悪くはないが倦怠気味。そんな時、いつもの公園でうら若き未亡人とその幼き息子たち5人と知り合う。

 5人の男の子たちは活発聡明で素直な子供、しかし多感で危うい心の動き、やや世間慣れしていて時おり主人公の心をえぐるようなひと言を突き刺す。魅力的な未亡人には友情から恋愛へと心が変化、主人公の「善意」と「友情」は社交界で醜聞となり、冷えかかっていた妻とは急速に破局する。
 70年代後半から80年代前半の少女漫画にありそうなシチュエーションだ。多くの女の子が憧れるトラディショナルなヨーロッパの雰囲気、多くの女の子が求めそうな揺れ動く子供心の描写や大人の危うい恋、少女漫画の格好な題材になりそうだ。少なくとも単純な少年漫画や下ネタと暴力の青年漫画には見られない優しいラブロマンスとファンタジーである。(余談2)

 物語はピーターパンの原作者として知られているスコットランド出身の作家ジェームス=バリー卿が体験した実際の出来事をファンタジックに構成している。子供を連れたデイヴィス夫人とケンジントン公園で知り合い「ピーターパン」の着想を得るのは有名な史実だ。(余談3)夫人や子供たちを山荘に招いたり、後に子供たちを養子に迎えたのも事実だ。その史実を巧く改編しラブロマンスとファンタジーに組み立てている。
 一番の功労者はやはり子役たちだろう。後に「チャーリーとチョコレート工場」でも共演するフレディ=ハイモア氏の演技は特に説得力がある。脚本家も下手に子供を必要以上に愚かで無邪気な描き方をしていないところに好感をもつ。

 もし自分が、幼いピーターから「僕はピーターパンじゃないよ。本当のピーターパンはこのオジサンだ」と指さされたら、冷や汗をかき、幼いピーターの顔がダミアンに見え、頭に666の文字があるのでは、と思ってしまうだろう。(笑・半分冗談)

(余談1)ビクトリア朝は1830年代から20世紀初頭まで続いたイギリスの繁栄期。ビクトリア女王は長命であるうえに若くして即位したので在位は長い。この時期のイギリスは産業革命と植民地拡大で国力は著しく増大した。
 であるから、ビクトリア朝の風俗は前期と後期とでは異なる。シャーロック・ホームズが活躍する19世紀末から20世紀初頭をイメージする人が多い。この20世紀初頭の「ネバーランド」はまさにホームズの時代でもある。

(余談2)最初、萩尾素都氏が描きそうな物語かなと思ったが、内田善美氏だな。

(余談3)幼い頃の私はディズニーアニメをよく観ていたので、長らく「ピーターパン」は現代アメリカのファンタジーとばかり思い込んでいた。つまり自分と同時代のアメリカの子供たちが幻想の世界で冒険する話だと勘違いしていたのだ。20歳を過ぎた頃、原作者がスコットランド出身でSirの称号を持っている事や、子供たちの風俗は20世紀初頭の古い時代のモノと知り、ホームズ時代のイギリス中流家庭の豊かさに驚いた。

 ピーターパンのモデルは、長男ジョージか三男だったかマイケルのような気がする。少なくともピーターではなかったように思う。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
【受賞】アカデミー賞(作曲賞)(2005年)
 
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[ 2009/11/10 20:59 ] [ 編集 ]
にゃむばなな氏へ
 
 ピーターパンを演じた女優、私は好感を持っています。あんな感じでしたね。

> この映画の一番いいところは自宅で披露された「ピーターパン」の舞台を見ている子供をはじめとする観客がどれだけ楽しんでいるかをきちんと描いているところでしょう。
>
> あのシーンを見たとき、子供心に「ピーターパン」を楽しんだ頃の自分を思い出しましたよ。
[ 2009/11/12 01:59 ] [ 編集 ]
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