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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「幸せのちから」 家族と一緒に感動しよう〔17〕 

幸せのちから」 
ウィルの泣き顔が感動を誘う。

 


【原題】THE PURSUIT OF HAPPYNESS
【公開年】2006年  【制作国】亜米利加  【時間】117分  
【監督】ガブリエレ・ムッチーノ
【原作】
【音楽】アンドレア・グエラ
【脚本】スティーヴン・コンラッド
【出演】ウィル・スミスクリス・ガードナー)  ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス(クリストファー)  タンディ・ニュートン(リンダ)  ブライアン・ホウ(トゥイッスル)  ジェームズ・カレン(-)  カート・フラー(ウォルター・リボン)  ダン・カステラネタ(アラン・フレーケシュ)  タカヨ・フィッシャー(チュー夫人)  ケヴィン・ウェスト(-)  ジョージ・K・チェン(-)      
    
【成分】泣ける 切ない かっこいい コミカル 80年代前半 アメリカ
         
【特徴】実際のサクセスストーリーを元に映画化。個人で医療機器を販売する仕事をやっているが、見通しが甘く大量の在庫を抱えて稼ぎが殆どないダメ亭主をウィル・スミスが好演。やがて女房に逃げられ友人に見捨てられ大家から家を追い出されてホームレスになってしまうのだが、そこで一念発起最後の勝負に出て有名証券会社に入社するまでを描く。
 ウィル・スミス氏の泣き演技と実子で子役のジェイデン・クリストファー・サイア・スミス君の演技は必見。
  
【効能】家族のあり方、仕事のあり方を再認識するきっかけになる。就活で悩んでいる人にとっては自己アピールのヒントになる。人生の展望に悲観的な人は一筋の光を見る。
 
【副作用】アメリカンドリームのいかがわしい自慢話に見える。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
所詮ただのアメリカンドリームだが・・。
 
 物語はただのアメリカンドリーム、主人公がいかにどん底の生活をしてきたか、そしていかに這い上がり栄華を極めていったのかをもったいぶって語っているように見えてしまう。しかもこれがフィクションではなく実話というのであれば、実在する企業家の自慢話でしかない。
 そもそも、私はアメリカのサクセスストーリーを胡散臭く思ってしまう癖がついているため、映画館で観るつもりは最初から無かったのだ。アメリカのサクセスストーリーは、アメリカンドリームの宣伝だ。世界中の人々がそれに騙されてアメリカに移住し大半が辛酸をなめる羽目になる、と批判したら言い過ぎだろうか?

 TV番組「金曜ロードショー」で済ませた。日本語吹き替えがそこそこ良かった(余談1)ので、ストレス無く鑑賞できた。
 物語はやはりアメリカンドリームを体験した人のサクセスストーリー(自慢話)だったので、粗筋は全て予測できた。ただ、さすが金をかけたハリウッド映画だけあって、80年代前半のアメリカが再現できている。それから脚本がいい。ホームレスから大金持ちになった実在の人物の物語、というふれこみの映画なのだが、最初からホームレスではなく最初は安アパートで若夫婦と幼子の三人家族が悪戦苦闘している様から丁寧かつ簡潔で構成の技術が高い。

 子供との関係は良好だが、夫婦間は既に険悪のムードで妻は我慢の限界に達しようとしている。商売を始めたばかりの、まだ子供ができる前のラブラブ状態が回想シーンとしてオーソドックスに手堅く挿入、妻役のタンディ・ニュートン氏が次第に別れる決意を固めつつある表情や台詞の変遷が上手い。それに対しウィル・スミス氏扮する主人公の鈍感さも良い。
 何となくヤバイ事になりつつあるのは気付いているが、「俺だって楽してるわけじゃない、頑張っているんだから、もうちょっと猶予を・・」という感じで甘えてしまい、人の情けについ安心して甘えすぎる。そして、相手から見放された時に血相かえて慌ててしまう。ウィル・スミス氏のダメ男ぶりがリアルだ。主人公は妻・友人・家主にも同様に甘えて三行半を突きつけられる。

 ある成功者との出会いから藁にもすがる思いで証券関係の仕事に挑戦する。たぶん、実際は証券の勉強をかなりしたはずだが、映画では人脈をつくる機会を逃さず広げている様を強調して描写していた。前の商売での失敗が生きたのか、それとも前の商売では妻に甘えて無意識に頑張っているフリをしていただけだったのか。私自身も分野は違えど似た様な経験があるので解り易い。足元に火がついた時の頑張り、あるいは清水の舞台から飛び降りた時の開き直り。(余談2)ハリウッドはサクセスストーリーを描くのが巧い。

 脚本の構成以上に素晴らしいと感じたのはウィル・スミス氏の演技だ。以前に人物レビューで指摘したことがあるが、彼の泣き顔は説得力がある。幼い息子と駅の冷たい便所で一夜を過した時のみじめな泣き顔、最後の面接で採用を勝ち取った時の赤く腫らした目、彼の泣き顔がサクセスストーリーの成功者(余談3)の自慢話を感動作へと押し上げる。

(余談1)一番良いのは、使用言語を理解して鑑賞するのが一番である。俳優の演技も台詞の意味も楽しむ事ができる。
 しかしながら、例えば本作の場合はアメリカ英語を理解するのがベストなのだが、私も含め多くの日本人は聞き取りできない。こういう場合、必ず字幕派と吹替派に分かれる。
 字幕の利点は俳優の生の演技を観る事ができるが、字幕の字数が制限されているため台詞の意味がかなり省略されてしまう。吹替は元の台詞はかなり保持されるが、日本語声優の演技が下手だと映画そのものが台無しになる。
 聞くところによると、原版の台詞を100とした場合、台詞の分量は吹替が60から70、字幕になると40くらいになるそうだ。専門用語や宗教・文化の込み入った問題が絡んでいく作品となれば字幕は不利である。また、日本人俳優や声優はパニックや緊迫した雰囲気をステレオタイプで演じてしまう傾向があるので、臨場感が削がれる事も多々ある。

 本作の場合は、世界共通普遍的ホームドラマなので、吹替でも堪えられるし、むしろ吹替のほうが自然に感情移入できる。

(余談2)例えば、人前で話す事は苦手だったのに、いつの間にか1時間程度のスピーチを台本無しで即興でできるようになったり、人の顔と名前を憶えるのが苦手だったのができるようになって、いつしか「顔が広い」と評価されるようになったり。そんな事があったので作中の主人公には感情移入できた。

(余談3)成功者の後日談を知りたいものだ。成功しても家庭不和になっている可能性もある。いや、別に私は人の不幸を願っているわけではないよ。(笑)

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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オリジナル・サウンドトラック「幸せのちから」
  
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幸せのちから クリス・ガードナー
 

 

 
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こんにちは~♪
ウイルの演技は良かったですね~
彼はアクション系の映画によく出ますが、こういうヒューマンドラマでも魅せてくれると思いました。

成功者の後日談ですが、確か奥さんとはそのまま音信不通だったような、、、でもボランティア活動はされていたそうですよ。
[ 2009/11/13 09:30 ] [ 編集 ]
懐かしい映画になってしまったような・・・。
この後、ウィル・スミスの映画は、何本か見たんで、だいぶ前に感じてしまいますね。
彼のイメチェンに挑戦!みたいな感じの売り方で、シリアスもんも行けるぞお。。という感じでしたかね。
十分、演技派でも行けることを証明したと思います。
ただ、話がどうもねえ。
最初のあれは、どう見ても詐欺ですよね。
なもんで、最初から感情移入が少々難しかったです。
[ 2009/11/13 17:53 ] [ 編集 ]
凄い良いお話で、しかもウィル・スミス親子の演技も光っていたのですが、いかんせんルービックキューブのシーンなど史実にないところで主人公を美化しすぎなのが玉に瑕でしたね。

良いお話は変に美化しないのが一番ステキなのに。

それだけがちょっと不満でしたが、でも全体的にはいい映画でした。
[ 2009/11/13 20:36 ] [ 編集 ]
ウィル・スミスが、元々好きな俳優さんなので、それなりに楽しく見れましたが・・・、でもこの映画の役どころ(お父さん)には、あまり共感出来ず・・・。
なんかつい奥さんの立場にもなって見てしまうと、あららら・・・・って部分もあったりしました。
とはいえ実話だなんて凄いですよね~。
[ 2009/11/14 15:16 ] [ 編集 ]
由香氏へ
 
 ウィル・スミスの半泣き顔は素晴らしいですね。プレゼンでは明るくてひょうきん、この落差がまた魅力です。
 
 奥さんは可哀想でした。一緒にいてたら多分主人公は本気ださなかったでしょうし。うまくいきませんね。

> こんにちは~♪
> ウイルの演技は良かったですね~
> 彼はアクション系の映画によく出ますが、こういうヒューマンドラマでも魅せてくれると思いました。
>
> 成功者の後日談ですが、確か奥さんとはそのまま音信不通だったような、、、でもボランティア活動はされていたそうですよ。
[ 2009/11/15 02:27 ] [ 編集 ]
sakurai氏へ
 
 たしかに懐かしい映画ですね。それほど昔ではないのですが、ウィル・スミスの役どころが急激に広がった時期でもありますから。
 
 大昔のコメディアクションは一種時代劇みたいな感すらあります。

> 懐かしい映画になってしまったような・・・。
> この後、ウィル・スミスの映画は、何本か見たんで、だいぶ前に感じてしまいますね。
> 彼のイメチェンに挑戦!みたいな感じの売り方で、シリアスもんも行けるぞお。。という感じでしたかね。
> 十分、演技派でも行けることを証明したと思います。
> ただ、話がどうもねえ。
> 最初のあれは、どう見ても詐欺ですよね。
> なもんで、最初から感情移入が少々難しかったです。
[ 2009/11/15 02:50 ] [ 編集 ]
にゃむばなな氏へ
 
 映画に加工する段でやりたがりますね。
 
 そういう意味で、ソダーバーグ監督の「チェ」はよくぞ脚色の誘惑をこらえたものです。

> 凄い良いお話で、しかもウィル・スミス親子の演技も光っていたのですが、いかんせんルービックキューブのシーンなど史実にないところで主人公を美化しすぎなのが玉に瑕でしたね。
>
> 良いお話は変に美化しないのが一番ステキなのに。
>
> それだけがちょっと不満でしたが、でも全体的にはいい映画でした。
[ 2009/11/15 03:03 ] [ 編集 ]
latifa氏へ
 
 私もそうなんです。奥さんが可哀想で。ウィル・スミスはリアルかつ綺麗に演じているから不快感はありませんが、現実に主人公のようなダメ男は付き合いきれませんよ。周りに甘えてばかりです。
 
 皆から見放されて、唯一息子だけが付いてきてくれて、ようやく本気を出すようになった人ですから、私はやはり堪忍袋の緒が切れます。

> ウィル・スミスが、元々好きな俳優さんなので、それなりに楽しく見れましたが・・・、でもこの映画の役どころ(お父さん)には、あまり共感出来ず・・・。
> なんかつい奥さんの立場にもなって見てしまうと、あららら・・・・って部分もあったりしました。
> とはいえ実話だなんて凄いですよね~。
[ 2009/11/15 03:07 ] [ 編集 ]
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