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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「宇宙からのメッセージ」 おバカになって愉快になろう〔22〕 

宇宙からのメッセージ」 
懐かしい顔触れで描くスペースファンタジー

 


【英題】MESSAGE FROM SPACE
【公開年】1978年  【制作国】日本国  【時間】105分  【監督】深作欣二
【原作】
【音楽】森岡賢一郎
【脚本】松田寛夫
【出演】ビック・モロー(ゼネラル・ガルダ)  フィリップ・カズノフ(アロン・ソーラー)  ペギー・リー・ブレナン(メイア・ロング)  真田広之(シロー・ホンゴー)  岡部正純(ジャック)  志穂美悦子(エメラリーダ)  千葉真一(ハンス王子)  成田三樹夫(ガバナス皇帝ロクセイア12世)  天本英世(大公母ダーク)  佐藤允(ウロッコ)  織本順吉(長老キド ジルーシアの族長)  丹波哲郎(地球連邦大統領アーネスト・ノグチ)  三谷昇(カメササ)  サンダー杉山(ビッグサム)  中田博久(補佐官)  林彰太郎(宇宙戦艦船長)  小林稔侍(フォックス巡査)  ウィリアム・ロス(星間連絡船船長)      
    
【成分】笑える ファンタジー 勇敢 コミカル SF 特撮
         
【特徴】いま観ると「スターウォーズ」の便乗B級映画のように見えるが、実は日本特撮界総力をあげて上陸する「スターウォーズ」を迎え撃とうとした大作だった。聞くところによれば、制作にかけた予算は「スターウォーズ」1作目よりも本作のほうが多いそうである。
 里見八犬伝をSF宇宙戦争に作り変えた冒険活劇。出演者には時代劇で御馴染みの顔触れが揃っている。70年代に少年時代をおくった人々には懐かしい作品だ。
 テーマ曲が壮大。
  
【効能】懐かしい顔触れに涙する。少年時代のワクワク感が取り戻せる。
 
【副作用】スターウォーズ」のパロディと誤解して白けてしまう。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
深作監督の怪作SF。
 
 三池監督「ヤッターマン」は、制作費を湯水の如く使ってあの水準だったので傑作とは思えなかった(余談1)が、三池監督の毒の部分が伸び伸びと発揮できていて、それでもってヤッターマンの世界観はそのまま忠実に描写されていて、心情的には5星だ。

 「ヤッターマン」を観て思い出すのは、ヤクザ映画で名高い深作欣二監督が放つSF大作「宇宙からのメッセージ」である。三池監督もヤクザ映画を手掛けてきた。キレのある暴力描写に定評があり、「仁義なき戦い」で躍進した深作監督と共通点がある。
 公開当時、私は中学一年生だったと思う。日本中が「スターウォーズ」人気に気をとられている中で、「国粋主義」少年であった私はこの映画に期待していた。CMやチラシはけっしてハリウッドに負けていない。壮大なSF映画であると確信していたのだ。

 残念ながら、ハリウッド映画「スターウォーズ」の不細工なパロディといわれても仕方の無いデキだった。ジェダイの騎士を里見八犬伝の勇士に書き換えた程度のもの。香港や韓国が邦画人気作のアイディアや骨格を拝借するのと同じである。(余談2)
 もっとも、「スターウォーズ」とて黒澤監督の「隠し砦の三悪人」から着想を得たものだし、本作も企画は「スターウォーズ」からの拝借だが、映画そのものはオリジナルである。しかも制作費は「スターウォーズ」よりもかけているし、「スターウォーズ」人気にあやかって類似作品を制作して銭儲けをする企画ではなく、むしろ日本の映画界と特撮技術が総力を結集して来襲する「スターウォーズ」を迎え討つ意味合いがあった。
 実際、特撮については海外でも評価が高く、逆に「スターウォーズ」の続編がこれを模倣したのではないかとさえ思っている。
 
 とはいえ、BC級的場末映画、突込みどころも満載だ。例えば宇宙遊泳の場面、真空の宇宙空間なのにまるでスクーバダイビングの感覚だ。宇宙船イカロス号の船長カネダが見たら赤面するだろう。(余談3)
 地球が美しいから侵略するパターンも、この時代では既に手垢がついた定番ネタ、ギャグなら良いのだが、一応お笑い映画ではなくスペース・ヒロイック・ファンタジーだから、「スターウォーズ」と競うのであれば捻りがほしかった。

 もちろん、出演者は私のような映画ファンにとっては珍味中の珍味である。吉本新喜劇を観ていると、観客が期待する場面で各俳優に割り振られたテーマ曲とともに出演者が登場し、観客が期待するギャグを連発して、大して面白くはないのに笑ってしまう。そんな現象に近い。

 悪の帝王登場、おぉ!烏丸少将の成田三樹夫やん!
 王子登場、宇宙へいってもこの人は柳生十兵衛。
 地球連邦大統領、刑事やっても諜報員やっても旗本やっても、なにやらしてもこの人は「丹波哲郎」で通しよる。
 ビック・モロー、「コンバット!」の軍曹から本作の将軍になって、少し身体が重くなったんちゃうか。

 といった具合で楽しめる。良い意味でも悪い意味でも深作ワールド炸裂だ。しかし物語的では不満多々である。制作費が巨額であった事と、子供から大人まで楽しむ「スターウォーズ」に張り合うため、深作監督の毒気を大幅に封じられてしまったのだろうか?
 そういう意味で、三池監督の「ヤッターマン」は映画の完成度や社会的な問題点は別にして心からストレス無く堪能できる。

(余談1)しかし私にとって最大級のお気に入り作品である。DVDがでたらイの一番に購入するであろう。既に深田ドロンジョ様のクリアファイルは購入済、ポスターも近々買いに行く。

(余談2)よく韓国映画を観て「日本のパクリだ」という批判をしばしば見かけるが、日本も他人の事をいえた義理ではないのだ。

(余談3)本作で一応主役を演じた真田広之氏は、後にイギリスのSF映画「サンシャイン 2057」でキャプテン・カネダに扮する。若い頃は軽さのある運動バカ的な俳優だったが、この頃になるとイギリス演劇界も認める演技派俳優だ。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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1977年の夏にアメリカで大ヒットした『スター・ウォーズ』でしたが、日本公開は翌年の夏まで持ち越しに。 じゃその前に便乗作品で一儲けしてやろう、と考えた東宝が同年暮に公開したのが『惑星大戦争』であり、翌年のゴールデンウィークに向けて東映が作ったのが『宇宙か...
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[2010/03/08 02:47] 猫姫じゃ
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