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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「紅い服の少女」 青春回帰〔40〕 

紅い服の少女」 爽やかな中国の青春ドラマ。

「赤い服の少女」 当時のチラシから。

【原題】紅衣小女
【公開年】1984年  【制作国】中華人民共和国  【時間】98分  
【監督】陸小雅
【原作】
【音楽】
【脚本】陸小雅
【言語】中国語
【出演】鄒倚天(安然)  羅燕(-)  ワン・ピン[中国](-)  李岚(-)  朱旭(安然の父)
    
【成分】切ない 知的 学園 青春 1980年代前半 中国
         
【特徴】内容は、昔の「中学生日記」にありそうなエピソードだ。中国の高校を舞台に、利発で個性的な16歳の少女がクラスメイトの批判や教師の圧力にめげず、模範生選挙に挑戦する。
 主人公の少女が、日本の芸能界の感覚では可愛らしくなく、普通の気の強そうな女の子が演じているところがリアル。なんと彼女がボニーMの「怪僧ラスプーチン」を聞きながら腰を振って踊っている場面がある。(私の感覚では美少女の部類に入る)
 「大地の子」で主人公の義父を演じた名優朱旭氏が主人公の父親役を演じている。なんとこれが映画デビュー作、当時54歳。主人公を叱り付ける母親や姉と違って、家族の中で唯一理解を示す役柄だったように記憶している。
  
【効能】爛れた愛と暴力の日本製青春ドラマに食傷気味の人には、心の毒素が抜けて清々しい気分になる。
 
【副作用】主人公が可愛くないのでムカつく。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
おお、ボニーM聞いて踊ってるやん!
 
 「こころの湯」で銭湯の親父を演じた朱旭氏の映画デビュー作である。デビューといっても既にベテランの舞台俳優で、歳も50を過ぎていたと思う。「こころの湯」では頭が禿げているが、この作品ではまだ額が広くなりつつあるかな、といった段階だ。

 この映画が制作された80年代前半の中国は、文革時代の価値観から脱却して経済開放政策を本腰で推し進めようとしていた時期だ。主人公は高級中学一年(高校一年)の利発で気の強い女の子、朱旭氏はその父親役である。経済開放政策の象徴であるワイシャツにネクタイ姿で登場し、社会主義的に旧来の男尊女卑観念を改め男女平等に努めようとする理想の父親像を演じているのが特徴である。日本の俳優でいえば川津祐介的キャラだ。(余談1)

 学生の頃、NHKで放送されていたのを観た。かなり昔に観たきりなので内容はかなり忘れている。ビデオでも録画したが、倉庫の奥にしまってあるので取り出せない。
 ヒロインは泰葉氏をかなり地味にしたような少女、世間一般の感覚では美人とは言い難いが、今でも女優をやっていたら垢抜けして綺麗になっているのではないかと思う。

優等生の姉との一場面

 頭が良くて我が強いヒロインは、クラスでもよく目立つ女の子。嫌われたり好かれたりがハッキリしている。姉は良妻賢母型の美女。担任は姉と同い歳くらいの若い女教師で、文革から続く保守的な立場、どちらかといえば開放的なヒロインを嫌っている。

 ヒロインは幼い頃から疑問があると「どうして」と頻繁に聞くため、大人たちから煙たがれる。成長しても彼女の性格は変わらず、学校内でクラスメイトや教師と頻繁に対立、家庭内では母親や姉と衝突する。
 クラスの男友達とサイクリングに出かけた事が学校で問題になったり、親友が落第して学校を去ったり、様々な節目を経てラストは「優良学生」を選ぶ選挙へとすすむ。ヒロインはあと僅かの票差で落選しかけるが、何故か担任はヒロインの好意的長所を指摘してクラスメイトたちに再考を促した結果、当選してしまう。
 釈然としないヒロインは、帰宅後なにげなく姉が編集している文藝誌をみると、担任教師が書いた時代錯誤の下手糞な詩が載っていた。ヒロインは泣き叫んで姉をなじり、翌日の登校で直接職員室へ行き担任と対決する。

 少し前のNHK「中学生日記」に出てきそうな真面目で素朴なほろ苦い青春ドラマだ。日本ならいわゆる美少女をあてるところ、ごく普通の容姿の女の子を主役にしたのが好感をもつ。しかし、今の中国だと日本と同じように美少女を主役にするだろうな。

(余談1)中国の学校も日本と同じ633制だ。ただ、中学は初級中学、高校は高級中学と呼ばれていた。

 この映画が制作された当時はまだ人民服が主流だった。背広姿はまだ少ない。私は83年の夏に中国上海を旅行したが、男女とも白の開襟シャツに紺系のズボンが多かった。頭には人民帽を被っていた。髪型は男性は刈上げ、女性はオカッパか三つあみが大半。小中学生はシャツに紅いスカーフをまいていた。
 人民解放軍は緑色の人民服に紅い襟章をつけただけのシンプルなもの。真夏なのに長袖で襟元もしっかりとめていたのが印象に残っている。兵士たちはみな私と同世代の若者だった。
 この「人民中国」スタイルも、80年代後半からは都市部を中心に急速に廃れる。軍隊も階級制導入とともに軍服も一新された。88年にバイト先の工場で一緒になった中国人によると「もう人民帽子も人民服も着てる人はいないよ」、当時使っていた中国語のテキストを見せると「これは古い。今は『同志』なんて呼びかけ方しない」と言われた。

 「紅い服・・」でビックリした場面がある。ヒロインの少女は勉強部屋でポップスを聞きながら踊る。それだけでも以前の中国映画には無かった軽い光景なのだが、なんとそのポップスはボニーMの「怪僧ラスプーチン」だ。当時の地味なオカッパ頭の少女が「怪僧ラスプーチン」を聞きながら踊っているというのが、凄い。

 ボニーMは70年代に青春時代をおくった方なら憶えている人が多いだろう。アフリカ系のグループで、女性3人男性1人のグループだったと思う。活躍時期は70年代後半、当時流行ったダンスミュージックを扱っていた。
 女性3人がメインボーカルを担当し、男性は歌いながら女性の周囲をせわしく踊るのが特徴。「怪僧ラスプーチン」と「バビロン」が大ヒットした。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


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[ 2009/11/18 21:35 ] 映画・・青春回帰 | TB(0) | CM(0)
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