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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「釣りキチ三平」 家族と一緒に癒されよう〔21〕 

釣りキチ三平」 
親子団欒用のアウトドア擬似体験映画

 


【原題】
【公開年】2009年  【制作国】日本国  【時間】118分  【監督】滝田洋二郎
【原作】矢口高雄
【音楽】海田庄吾
【脚本】古沢良太
【言語】日本語 一部イングランド語
【出演】須賀健太(三平三平)  塚本高史(鮎川魚紳)  香椎由宇(三平愛子)  土屋太鳳(高山ゆり)  小宮孝泰(松山)  志村東吾(竹田)  安居剣一郎(梅澤)  平賀雅臣(-)  中西良太(-)  片桐竜次(-)  螢雪次朗(駐在)  萩原聖人(三平平)  渡瀬恒彦(三平一平)
    
【成分】笑える 楽しい ファンタジー ロマンチック 切ない かわいい かっこいい アウトドア 釣り
         
【特徴】漫画家矢口高雄氏の代表作「釣りキチ三平」の実写映画化。原作の初期の部分が物語の土台となっているが、人物設定に些か映画用の変更がある。大きく変わったのは「愛子ねぇちゃん」が三平の実姉になっている事や、原作では日本一周釣行脚をしていた魚紳さんがアメリカ帰りのプロフィッシャーマンとして登場する。
 日本の豊かな渓流でのロケーションや、一平爺さんと魚紳との会話が観客にアウトドアの面白さを伝える。
  
【効能】家族団欒で観るとアウトドア疑似体験ができる。
 
【副作用】ワザとらしいCGで興醒めする。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
CGに違和感
 
 私は原作ファンだ。原作ファンが心しておかなければならないのは、映画化作品は別物だということである。特にマニアが存在するような原作なら、原作に忠実な映画など存在しないと思うべきだし、仮にあったらあったで監督の主体性の無さが不快になる。

 それに、もはや原作漫画を忠実に実写映画化するのは不可能だ。何故なら連載された70年代と21世紀初頭の現在とでは社会情勢は激変した。たとえば鮎川魚紳が初登場した頃はキャンプのゴミは現場で埋めておけば良かったが、今は家に持ち帰るのがエチケットだ。渓流で釣果を競う事すら乱獲の環境破壊になる。

 そもそも原作とて長い連載の間にキャラ設定は変わっている。当初の三平君は美少年で不敵な笑みにはプロの凄みがあったが、次第にオーバーな明るさの鼻ペチャガキになった。
 前髪を多部美華子風に垂らした美少女ゆりっぺも、初期は三平と男と女の関係になってしまう可能性も想定するオマセだったのに、同様に鼻ペチャの思春期前のガキになり、それとともに前髪の一部が角のように飛び出し進化した。
 魚紳もウヰスキーのボトル片手に釣りを楽しむワイルドなアウトローだったのに、本作の魚紳のごとくスマートで青さが残る若者へと変化した。
 だから、実写映画化するにあたって、キャラ設定や人物相関に多少の変更があっても、それは仕方がないし避けては通れない。なにしろ前述のように時代が違うし、漫画の表現と映画の表現は違うし、物語を2時間枠に収めなければならない。

 賛否あるだろうが、私はキャラの変更は無難だと思う。魚紳は原作よりもスマートで軽くなったし、愛子ねぇちゃんを思い切って三平の実姉に変えたのも物語をより劇的に解り易くする上で常道だ。しかも原作では魚紳と愛子は結婚することになるのだから、続編映画を作ることを考えたら、愛子を実姉にしたほうが原作を知らない人にも容易に理解しやすく都合が良い。(余談1)

 原作では釣り技術の薀蓄も沢山でるが、連載漫画ではOKでも2時間枠の映画に釣り技術の描写を入れ過ぎたら逆にマニアック過ぎてブーイングが起きるだろう。30代から40代の父母が小学生の子供を連れて観る映画、というのを考えたら本作の内容が妥当だと思う。
 むしろ「釣りキチ三平」を利用して、私のような中年には忘れかけた渓谷や田園を思い出させ、少年少女にはアウトドアを疑似体験させるのがテーマかもしれない。愛子の視点を通して体験できたら制作者の思惑は成功だ。(余談2)

 ただ、自然讃歌のヒューマンなドラマで勝負するのなら、ラストの夜泣谷の主との勝負はCGで原作の漫画表現を無理に実写化しなくても別の物語を用意してもよかったのではないか。ういて見えて他人事ながら恥ずかしかった。(余談3)

(余談1)香椎由宇氏、角度によっては青池保子氏の漫画「エロイカ」に登場するエーベルバッハ少佐に似ている。彼女ならドイツ連邦軍陸軍少佐の制服が似合うだろう。
 東京ぐらしが長い愛子が次第に田舎で暮らしてきた事を思い出し、東北弁が蘇る流れはなかなか良かった。ただ、私なら佳境で尻もちをついた時点で言語が東北弁に切り替わるようにする。

(余談2)魚紳が一平爺さんの家に泊めてもらい意気投合し遅くまで酒を飲む場面や、夜泣谷キャンプで塩焼を食べたり骨酒を飲む場面は好きだ。私も若い頃は同様の体験があるので懐かしい。

(余談3)映画は原作単行本1巻から5巻までをまとめている。私は無理に原作を映画化せずとも、原作キャラを使った原作に無いオリジナルストーリーでも良かったのではないかと思う。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 

 
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カムイ外伝もかなり酷かったですが、ちょっと「見せられる」くらいは出来るようにしてほしいですよね。スクリーンで見ると特に耐え難いですよね。監督の責任だけではないと思いますよね。
沈まぬ太陽のアレくらいは気になりませんけどね。
[ 2009/11/29 18:59 ] [ 編集 ]
タニ氏へ
 
 日本の特撮やCGのレベルは世界最高水準なのですが、絵になるといつも首を傾げます。アメリカの「ライトスタッフ」などは飛行機の模型を放り投げて落ちてくるのを撮っただけなのに絵になるとリアル、これは不思議です。
 
 「カムイ外伝」は大後寿々花ちゃんだけを目当てに見に行きました。予告編で嫌な予感がしたので、過度に期待を持たないようにしたのです。期待したかったんですが、今の映画人にカムイは重過ぎるかもしれません。

> カムイ外伝もかなり酷かったですが、ちょっと「見せられる」くらいは出来るようにしてほしいですよね。スクリーンで見ると特に耐え難いですよね。監督の責任だけではないと思いますよね。
> 沈まぬ太陽のアレくらいは気になりませんけどね。
[ 2009/12/02 10:23 ] [ 編集 ]
まあ、もしもう観られてたらスルーしてください。

あんまり話題にならなかった映画ですが、大後寿々花といえば、すっごく生理的な好き嫌いが分かれるタッチの映画ですが、「女の子ものがたり」が絶対オススメです。物語はよくできてるし、個性もはっきり出てます。「子猫の涙」の森岡利行監督作品です。「カムイ外伝」の悪印象は消せると思います。

超応援している監督なんで是非是非!!
[ 2009/12/03 02:35 ] [ 編集 ]
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『おくりびと』をまだ観てない非国民つか映画好き失格ですが何か? アカデミー賞の後にこの映画とは、世界の反応はどうだろう。 『釣りキチ三平』を観てきました。 ★★★ 面白くないわけじゃないんですよ! でも、面白くもない。 テレビドラマでももっと面白いのがある?...
[2009/11/23 18:23] そーれりぽーと
釣りキチ三平[DVD]大人気コミックの映画化だが、オスカー監督・滝田洋二郎の作品としては軽いタッチの凡作。それでも家族愛や夢を追うことの大切さなど、スタンダードなテーマは見ていて安心感がある。13歳の天才釣り少年・三平は、伝説の“夜泣谷の巨大魚”を?...
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