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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「PEACE BED アメリカVSジョン・レノン」 社会問題を考えたい時に〔20〕

PEACE BED アメリカVSジョン・レノン」 
アメリカを敵にまわしたミュージシャン

 


【原題】THE U.S. VS. JOHN LENNON
【公開年】2006年  【制作国】亜米利加  【時間】99分  
【監督】デヴィッド・リーフ
【監修】オノ・ヨーコ
【原作】
【音楽】
【脚本】デヴィッド・リーフ ジョン・シャインフェルド

【出演】ジョン・レノン(本人)  オノ・ヨーコ(本人)  ジョン・ウィーナー(本人)  ロン・コヴィック(本人)  アンジェラ・デイヴィス(本人)  ジョン・シンクレア[活動家](本人)  タリク・アリ(本人)
【言語】イングランド語    
【成分】泣ける 悲しい 勇敢 知的 切ない セクシー かっこいい 反体制 60年代 70年代 ロックミュージック 反戦平和 ドキュメント
  
【特徴】ビートルズ解散後、妻であり「戦友」のヨーコとともに政治的な音楽活動を展開、アメリカと格闘するジョン・レノンの姿を描いたドキュメント映画。
  
【効能】ジョンのエネルギーに力をもらえる。ジョンの格闘に涙する。
 
【副作用】ジョンのネタで政治的利益を得ようとする制作側の意図が気になって不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
なぜ、いまジョン・レノンなのか?!
 
 12月8日が命日か。ジョン・レノン氏が殺されたニュースを耳にしたのは、私が中学3年生のときだった。当時はビートルズの曲を飽きもせず録音テープが擦り切れるくらい聞き続け、12月には「ハッピークリスマス-戦争は終わった」を自室BGMにした。(余談1)

 ビートルズ・マニアの友人が目を真っ赤にして悲壮感を露にしていたのを憶えている。私もそれなりに衝撃だったが、友人はジョン・レノンを崇拝していたから察して余りある。訃報を聞いて何日か経って、彼の最後のアルバム「ダブル・ファンタジー」のジャケットを見た。オノ・ヨーコ氏と向かい合ってキスをする場面を横から撮ったものだ。(余談2)
 私は背広を着たビートルズの若いジョンのイメージが強いので、何だか歳とって落ち着いた梅図かずお風中年のオッサンになっていたのだな、と中学生の頃は思った。その私もジョンの40歳を超えてしまって久しい。

 ジョンの人生は終始一貫していた。最も体制迎合的で万人ウケ楽曲を創るのが得意なポール・マッカートニー氏とは常に対極対立の大きな存在だった。ビートルズがアイドルだったときでも、ポールはモミアゲまできちんと剃り上品に背広を着こなしている時に、ジョンはプレスリーのようにモミアゲを生やしネクタイを緩めているときもしばしばあった。
 彼の曲調はアウトロー的でありメッセージ性の強いものもあり、普段の言動も反抗的だ。真偽はわからないがMBE勲章授与式のときにバッキンガム宮殿の便所でマリファナを吸っていた(余談3)り、問題発言でアメリカ南部のキリスト教徒を怒らしたり、ビートルズの枠組みから飛び出さんばかりの態度に見え、やがて前衛藝術家のオノ・ヨーコ氏との出会いでジョンの反骨精神が一気に爆発したような印象を持つ。(余談4)

 その後のジョンの活躍は作品でも紹介されている通りだ。現在、世界は紛争だらけで収拾の見通しがたたない。そしてジョンほど社会に対して強力な影響力と行動力を発揮した「平和運動家」「人権運動家」は後にも先にもいない。だから映画作品という形で「支援」してほしいという願望が制作者側やそれを支持する市民勢力にあるのかもしれない。
 ジョンとヨーコを映画化すれば、反戦平和運動への良き応援歌になるし、政治的宣伝にもなるし、何より興行的に元が取れる実に経済的な市民運動になる。

 作品としては及第点だ。可も無く不可も無いデキだったように思う。個人的には皆さんに「ジョン・レノン」を知ってほしいので鑑賞を勧める。時代と格闘したジョンの人生をご覧いただきたい。
 
(余談1)後に平和運動にも関心を持ち、数年前はイラク空爆の反対デモにも参加したことがある。その一方で戦争映画も好んで観るという、一見すると矛盾した志向。
 熱心な平和運動家から軽蔑のこもった批判を受けたものだ。しかし私を批判する平和運動家たちのセンスだけでは、万人の耳に主張を届かせることは無理と思うのだが。私のような軟派な人間も「必要悪」として存在意義を認めるべきなのだが残念だ。

 それにしても、ジョン・レノンは世界中で平和運動の旗頭になっていることを痛感する。彼が射殺された事件の黒幕はCIAではないかとも噂され、90年代初めに「政府暗殺説」を推理する本まで発表された。たしかに、彼の行動や政治姿勢はアメリカの権力層からみれば明らかに「反体制左翼」で、敵性人物と評価されても仕方がないことをやってきた。
 日本の反戦デモでも、ジョンの「イマジン」を鳴らし、ギターの弾ける人は「パワー・オブ・ザ・ピープル」を歌う。横断幕には「ウォー・イズ・オーバー」の文字、旗指物にはジョンのポスター。当然のことながら、アメリカと戦ったベトナムでは「反戦反米」姿勢を貫いたジョンは、救世主のように讃えられている。

(余談2)たしか篠山紀信氏が写真を担当したと思う。

(余談3)本人はやっていないと言ってたみたいだが。

(余談4)写真家デゾ・ホフマン氏の弁だったか、ジョンはスカッと爽やかにコーラを飲み、ポールは牛乳を飲むというイメージだそうだ。
 ジョンの最初の妻シンシアとの間にできたジュリアン・レノン氏との父子関係はうまくいかず、ポールが優しいオジサンとして接していたのは有名。当然のことながら、ジョンが反戦平和運動で世界的に讃えられるようになると、露骨に批判したことが伝えられている。幸せな家庭を築けない父親が平和を口にし大英帝国を非難してMBE勲章を返還してしまうなど、ジュリアンの立場なら笑止だろう。
 因みにポールはMBE勲章は持ち続け、90年代後半にサーの称号を得ている。したがって彼の正式名は「サー・ジェイムス・ポール・マッカートニー・MBE」となる。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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誰がジョン・レノンを殺したか? (学研M文庫) フェントン・ブレスラー
 

 
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映画評「PEACE BED アメリカVSジョン・レノン」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2006年アメリカ映画 監督デーヴィッド・リーフ、ジョン・シャインフェルド ネタバレあり

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#186.PEACE BED アメリカVSジョン・レノン

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