ケルシュだけでも数が凄い!
ケルン特有のビールをケルシュと呼ぶ。
ケルンには23か4のケルシュがあり、それぞれ味が違う。
因みに上記写真はギルデン・ケルシュ。日本ではあまり流通していない。
【雑感】ドイツでの宿泊はケルン郊外にある一般住宅、義従姪(便宜上、姪っ子と呼ぶ)の彼氏の実家H氏の家である。H氏一家は暖かく明るく歓迎してくれた。
連れ合いのプッシュがあったとはいえ、ずーずーしくもドイツ行きに同行した私、何しろ連れ合いの立場に照らし合わせて考えれば、私の従弟の娘の彼氏の実家の家に押しかけて飲んで食ってするようなものだからである。
逆に、もし姪っ子がドイツの彼氏と正式に所帯を持ったら、遠縁とはいえ私はドイツ人と縁続きとなる。
さて、姪っ子家族の目的はドイツに住む姪っ子の様子を見に行く事とお世話になったドイツの関係者にお礼回りをする事なのだが、私の第一目的はビールである。
事前に姪っ子とその彼氏が根回ししてくれたのか、H氏は様々な銘柄のビールを用意してくれていた。
ケルシュだけでも数銘柄、さらにピルスナーやバイツェンも沢山、ありがたい話である。
土地のビールが巾を利かせて他の地方のビールは手に入らないと思っていたが、近くの酒屋でけっこう様々な種類のビールを置いている。大晦日の朝、H氏の家の近所にある酒屋へ買い出しに行ったら、ミュンヘンのバイエルン地方からケルンのラインラント地方やハンザ・ブレーメン地方に東部のザクセン、さらにチェコのビールまで置いていた。しかも見た事の無いビールが沢山あったのは嬉しい。
とはいえ、ここはケルンなのでケルシュと呼ばれる種類のビールは是非飲みたいビールである。バイエルンの濃いビールやドイツ北部の苦いピルスナーを連想する方々には薄味に思えるかもしれない。ドイツビールの中では淡麗の部類だ。
上記写真のように、小ぶりで長細い円筒形のグラスで飲むのが流儀だ。日本ではビールの種類に合わせてグラスやジョッキを変える事はしないが、ドイツではビールを注ぐ容器にこだわる。
バイツェン用はグラスが大きくドッシリしている。
これ以外にも真ん中あたりがくびれているグラスもある。
姪っ子の父親、つまり義従兄がつい日本の習慣でH氏が手に持っていたバイツェン用の大きなグラスにケルシュを注ぎ足そうとしたら、H氏は顔を顰めて「ネネネネネ!」(余談1)、わざわざケルシュ用のグラスを持ってきて大袈裟な身振りで「そいつはこいつに入れろ」と示し、続けてH氏はビールの種類によって入れ方が違う事も実演して見せた。
そういえば、ケルシュといえば日本では
ドムが一番有名でよく流通しているが、H氏の家には置いていなかった。ケルン大聖堂のシルエットに大きく「DOM」と書くラベルを見た事のあるビール好きは少なくないだろう。日本では
ドムがケルシュの代名詞みたいなものになっている。ただ、私はこの
ドムはあまり美味いと思ったことは無かった。残念ながら
ドムより美味い日本のビールがあると思ったくらいだ。
H氏に
ドムの話題を振ってみた。H氏は「
ドム」という単語を耳にすると顔をしわくちゃにして横へ「ペッ」と吐くジェスチャーをした。H氏もあまり好きではないのだ。(余談2)
私が一番気に入ったケルシュは、ケルシュの中でも苦みが強い
ガッフェル・ケルシュ、どうやらH氏も同意見のようだった。さらにH氏と私の生まれた月と日が同じと知って固い握手をした。
ところでケルシュを知らない人のために説明すると、見た目は日本でもありふれたピルスナーに見えるが、製法が違う。上面発酵用の酵母で低温発酵させる独特の作り方。しかもケルンで認定された23(24かもしれない)の醸造所が作るケルシュしか「ケルシュ」を名乗ることを許されていない。
つまり、日本の地ビールが作るケルシュはあくまで「ケルシュタイプ」と言わなければならないのだ。
(余談1)「Uボート」で見張りに立っていた水兵があくびをした時とか、次席士官が首席士官の悪口を言った時に艦長が「ナナナ」と注意する場面がある。Nein(ナイン)の変形か省略の言葉らしい。日本語で近いニュアンスの言葉なら「こらこらこら」「だめだめだめ」に相当する。
しかし「Uボート」の艦長の台詞では「ナナナ」に聞こえたのだが、H氏たちは「ネネネ」に聞こえた。方言だろうか?
(余談2)当然のことながら、私のドイツ語会話能力はゼロに等しい。なので、姪っ子と日本語が達者な彼氏が通訳する。後で聞いた話では、義従兄も私も話題がマニアックなので姪っ子と彼氏は非常に疲れたそうである。
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