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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

4月23日はドイツビールの日である。嫌な報せや悲しい報せが多いので、ここらで一杯やりませう。[四十八]

本日、4月23日は 
ビール純粋令制定504周年。


2020年4月23日のビール。

【雑感】ドイツビールのファンなら御存知と思うが、1516年4月23日はバイエルン公ヴィルヘルム4世が悪徳業者の粗悪品などを排除しビールの品質を向上させるために「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」を制定した。この法律は紆余曲折へた現在もなお現役の法律として活きている。(余談1)現役最古の食品衛生関連の法律だ。

 ビールの原料は「麦芽・ホップ・水のみを原料とする」という内容として有名であり、副原料の使用を禁じている。そのためECやEU、加えてアメリカなどの圧力もあるが頑なに守られ、私のようなビール党の強い支持も得て現在もなおドイツビールの個性や品質維持に法的根拠として役立っている。

 という訳で、私個人にとっては「祝日」である。ビール業界にとっても「ビールの日」「ドイツビールの日」として扱われているようだ。たまたま仕事も休みなので上記写真の銘柄を取り揃えて飲んだ。

 左からチェコのピルスナーウルケル、ブドワゼ(元祖バドワイザー)、ドイツのレーベンブロイである。左の2銘柄はチェコ産だがビール純粋令に適った品質であり、ドイツビールファンの間でも人気が高い。外国産ビールの流通を規制していたドイツ国内でも以前から出回っていた。
 チェコビールの話をすると長くなるので別の機会に譲るとして、今日はドイツのレーベンブロイについて解説しよう。

 レーベンブロイLöwenbräu)はドイツのバイエルン地方の有名ブランドでバイエルン公に因んだ。今日のような祝日にピッタリのビールといえる。「Löwen(ライオン)」とライオンのエンブレムが示すようにライオンビールだ。
 ただ、ドイツビールファンなら御存知のように、ドイツ本国で売られている缶の色は青、写真のビールはライセンス生産を示す白である。
 以前からレーベンブロイを飲んでいる方々なら御馴染みのアサヒビール製造のものは白缶なのだが、2018年にアサヒはライセンスセス生産から手を引いている。ではこのビールはどこの生産かというと韓国である。日本が手を引くのと入れ替わるように韓国が生産を始めた。

 味はというと、嬉しいことに本場ドイツのレーベンブロイに近い。アサヒのレーベンブロイビール純粋令に沿って麦芽100%ビールではあったが、味と香りがまるで別物。「辛口」という薄味ビールが主流のアサヒに合わせられたような感があったが、この韓国産は私の好みに近い。
 韓国産のOBビールやCASSを飲んだことがあるがあまり好きになれなかったのでアサヒの時と同様に覚悟していたが、これは喜ばしい誤算。

(余談1)EC発足時に貿易摩擦となって問題になる。80年代後半に保護主義を禁じるローマ条約違反の判断がなされるが、90年代前半にドイツ連邦政府は改めてビール酒税法の一部として法制化した。

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第2245回「醸造酒派?蒸留酒派?」

こんにちは!トラックバックテーマ担当の梅宮です今日のテーマは「醸造酒派蒸留酒派」です皆さんはお酒には醸造酒と蒸留酒があるのをご存じでしょうか醸造酒とは、原料を酵母によって発酵させたお酒で、ビール日本酒ワインなど、蒸留酒とは、醸造酒をさらに蒸留して造った、ウイスキー焼酎ジンなどだそうです。そんなの関係ねぇという声が聞こえてきそうですが、梅宮は蒸留酒は美味しくいただけますが、醸造酒を呑むと具合が悪くな...
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【雑感】梅宮氏はあまり良い醸造酒は飲んでいないな。というか、ワインや日本酒もたくさん飲む種類の酒ではない。2合くらいが身体に良いといわれている。私が美味いと感じるのもそのくらいの量まで。

 私はそんなカテゴリーの分け方で酒を区別して飲んでいない。
 専門はビール、基本はドイツのビール、日本産ではよなよなエールやヱビスにプレミアムモルツが多い。これを専用グラスかドイツから取り寄せた陶器ジョッキで飲む。
 麦つながりでウヰスキーも飲む。シングルモルトのウヰスキーに昔ハマっていてラフロイグなどを飲んでいた。今は簡単に手に入るブレンデットのバランタイン・ファイネスト。これをショットグラスで飲む。
 焼酎は鹿児島産の芋焼酎。これを薩摩切子のグラスで飲む。
 故郷に帰れば故郷の酒を飲む。故郷の酒とは高知の酒のことだ。大昔は司牡丹を飲んだが今は土佐鶴が多い。理由は簡単で味がそこそこ良くて近所のコンビニでも手に入るからだ。これを切子のグラスか盃で飲む。
 ワインは比較的安くて質が良い南イタリア産やチリ産を飲む。これを利き酒用のワイングラスで飲む。

 こんな調子だ。なので醸造酒派でもないし蒸留酒派でもない。強いていえばどちらの派にも属す。もちろん、今までの説明で私は「酒なら何でも」という類の酒のみではない事は理解できよう。


 
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COEDOビール漆黒。 ビールは偉大な発酵食品だ[四十六]

最初はスタウトかと思ったがラガーだった。

漆黒。

【雑感】これは文句なし美味い!

 漆黒の名の通り、深い黒ビールだ。
 以前の日本の黒ビールは、黒とは名ばかりで焦げ茶といったほうが良い薄めの黒だった。日陰ではたしかに黒に見えるが、光りにかざしてみるとグラスの反対側が透けて見えてしまう。それにあまり美味いとは思わなかった。

 黒ビールの認識が変わったのは、アイルランドのギネスとドイツのケストリッツァーを飲んでからだった。当たり前の事なのだが、やはりビールの本場の国の黒ビールは美味かった。
 ギネスはアイルランドを代表するビールなのだが、隣のイギリスをも代表しているかのような(余談1)黒ビールだ。日本の黒ビールでは考えられない深い黒で、グラスに注ぐと反対側が真っ黒で見えない。
 ビールのカテゴリーとしてはスタウトになる。スタウトとは上面発酵でつくられ、黒くなるまでローストした麦芽を使用している。世間で飲まれているピルスナータイプに比べて苦みと酸味が強くアルコール度数も高い。スタウトとは「強い」という意味がある。イギリスやアイルランドの伝統的な上面発酵ビールのエールが濃くて強くなったものと捉えたら良いかもしれない。

 一方、ケストリッツァーはドイツのライプチヒ近郊のバート・ケストリッツ村産のビールで、下面発酵の黒ビールだ。ギネスと同じく深い黒なのだが、苦みは強くなく麦芽の甘みを感じる。アルコール度数も一般のピルスナータイプと同じかやや低い、なので何杯でも飲める。
 かの詩人ゲーテの好物としても知られており、日本でも通好みのビアホールやドイツレストランなら生ビールで供してくれるところがある。

ケストリッツァーのグラス。
ドイツで厄介になったH氏の家にあったケストリッツァーの専用グラス。 
もちろん中身も沢山ご馳走になった。

 さて、本題に戻ろう。COEDOビール漆黒はケストリッツァーの色合いや風味に近い。飲んでいて、ドイツのH氏にケストリッツァーをご馳走になったのを思い出した。
 COEDOビール漆黒は10年近く前に飲んだような気がするのだが、こんなに美味かったのだろうか? もしかしたら品質改善がなされたのかもしれない。
 改めてホームページで確認すると、やはりケストリッツァーと同じ下面発酵の黒ビールで、ヨーロッパで高く評価されているビールだった。

(余談1)ギネスは世界各地でライセンス生産されており、中でもロンドンのギネスやナイジェリアのギネスは美味いとの評判である。残念ながらロンドンのギネスは2005年に閉鎖された。


 
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COEDOビール伽羅。 ビールは偉大な発酵食品だ[四十五]

リニューアルした伽羅

伽羅。
友人から贈られたCOEDOビール伽羅

【雑感】こないだ50歳のお祝いに友人からCOEDOビール3本セットをもらった。
 その2本目を日曜日の昼飯時に開けた。伽羅は以前に飲んだ事があるので、特別な興味も無く惰性で開けたのだが、グラスに注いで驚いた。色が薄い。

 因みに以前飲んだ伽羅はこれである。

110511_2103~伽羅.jpg

 5年前に飲んだ伽羅は写真からでも若干の差は判ると思うが、以前の伽羅はメルツェンタイプで色は茶色がかっている。味もロースト臭がしていたような気がしたのだが、今回飲んだ伽羅は色は薄くてホップの芳香強烈、柑橘系の味と香りがする。
 ラベルをよく見たら、インディア・ペール・ラガーなどと初めて目にするタイプ表示だ。インディアペールエールはよく見るし、地ビールや大手メーカーの限定醸造でも略して「IPA」と書いているのを見かけるが、「ラガー」とは・・。

 簡単に解説すると、メルツェンビール(Marzenbier)は日本語に訳すと3月ビールである。冷凍機が無かった中世、夏は雑菌が繁殖しやすくビール醸造に不向きだったためビールを作る事ができなかった。その夏の間に飲むビールとして、アルコール度数を高くして傷みにくくしたビールを春の3月に仕込む、これがメルツェンである。

 インディア・ペール・エール(India Pale Ale)とは、諸説あるが私が聞いたのは大航海時代にインドへ行く船乗り用のビールとして通常のビールよりもホップを大量に入れて腐りにくくしたもの。別の人に聞いた話だと、イギリスの醸造業者がインドへ輸出するためにつくったとも。
 いずれにせよインドが関係する事と防腐効果のあるホップを大量に入れるので柑橘系の香りと苦みがすごい事は共通している。
 ペールエールというのは、ペールは「薄い」「淡い」という意味がある。現代は黄金色のピルスナーが殆どだが、ピルスナーが初めて醸造された1842年以前ではむしろ茶色や赤銅色や焦茶に濁ったビールなどが普通だった。その中で薄い色のビールをペールと呼んでいた。色は現代の感覚ではやや茶色っぽいだろう。
 エールはイギリスやアイルランドで醸造されるビールのタイプで、現代ビールの多くは下面発酵(ラガー)でつくられるのに対してこれは上面発酵でつくられる。下面と上面の違いとは何ぞやまで解説すると長くなるので読者諸氏で調べてもらいたい。ドイツにもエールとほぼ同じつくり方のビールがあり、アルト(ALT)と呼ばれている。アルトは英語でオールドの意味だ。

 で、この伽羅はラガーだ。ということは下面発酵という事なのだろう。味は上面発酵の軽井沢の地ビール「よなよなエール」に苦みと方向を強烈にしたような感じだ。
 なぜビールのタイプを変えたのだろう? 伽羅とメルツェンは名前やラベルとの相性も良かったのに。あまり評判が良くなかったのだろうか?


 
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COEDOビール瑠璃。 ビールは偉大な発酵食品だ[四十四]

友人からの誕生プレゼント。

コエド3点セット。
埼玉県川越のCOEDOビール3点セット。左から瑠璃伽羅漆黒

【雑感】飲み友達から誕生プレゼントが届いた。埼玉川越の地ビール「コエドビール」だ。

 コエドとは漢字で小江戸と書く。西日本の地方都市で京都の影響を受けて発展したところを小京都と呼ぶことがあるが、これも似たような意味合いがある。川越は江戸時代に四位クラスの親藩もしくは譜代の大名が治めていた城下町であり、近くには江戸へ流れる荒川もある。文化的にも経済的にも栄え小江戸と呼ばれた。
 この地ビールはそれを意識し、生産する銘柄のネーミングは日本の伝統色からとり、ラベルも江戸文化を連想する図柄にしている。
 近年は世界のビールコンテストで高い評価を受けていて、瑠璃はモンドセレクション金賞、漆黒はヨーロピアンビアスター・アワード金メダルと、ヨーロッパのウケが良い。

 ところがである。私は以前に伽羅を飲んだ事があるのだが、たしかに旨かったのだがあまり印象に残っていない。
 地ビールは小規模生産ゆえ単価がどうしても高くなる。大手と同じビールをつくったのでは勝負にならない。なので大手があまりつくらないタイプのビールを手掛ける事になる。

 世界で最も普及しているタイプは黄金色のピルスナータイプで、大手は横並びでピルスナーを生産する。このピルスナータイプに副原料を混ぜてコストダウンをはかり、麦芽の分量を削って酒税法上ビールではない発泡酒と、副原料入りで法的にビールとして認められているもの、麦芽100%でプレミアムビールを名乗るもの、概ね3タイプに画一化しているのが日本ビールだ。
 だからそんな大手との差別化をはかるため、地ビール業者の殆どはドイツやベルギー・イギリスやアイルランド型のビールをつくる。煎じ詰めればヨーロッパにウケるビールをつくる訳だが、どの地ビールもそれを目指しているので、大手ビールよりは個性があるものの、やはり横並び感がしないでもない。

 以前飲んだ伽羅も、いま一つ印象に残らなかった。缶ビールで飲んだ事も原因かもしれないが、コンテストで旨さを認められた訳なので旨いに違いはないのだが、同時にそれが個性的とは限らない。映画と同じで私が面白いと思った作品が万人にウケるとは限らず、万人が面白いと思った映画が私にはつまらないと思う事も多々あるので、あまり個性的すぎる味と香りは受け入れられない場合も多々あるはずだ。あくまでヨーロッパ市場に認められた品質と解釈すべきだろう。

コエド瑠璃。

 今日は瑠璃を飲んでみた。コエドビールではピルスナータイプを瑠璃と銘打って出している。たしかにラベルは瑠璃色なのだが、ビールが青い訳ではない。飲んでみるとホップの芳香と苦みが爽やかで綺麗なビールだった。この感触が瑠璃色を連想させるのだろうか?
 商品名と味との相性は申し分なく良いビールだと思うが、地ビール業者が出すピルスナーは味にあまり差が無いのだ。大手との差別化をはかるため、麦芽100%プレミアムとしホップの芳香を強くする。大手サントリーが出しているプレミアムモルツやキリンのハートランド系の味でほぼ横並びになっている。
 ドイツでは同じピルスナーでも際立った個性があるのに、何故なんだろう? 決して日本の地ビールは品質面で後れは取っていないはずなのに。

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COEDO「伽羅」 ビールは偉大な発酵食品だ[二十]


 
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ドイツに行ってきた!(2) 本場のケルシュを飲んだ。 ビールは偉大な発酵食品だ[四十三]

ケルシュだけでも数が凄い!

ギルデン・ケルシュ
ケルン特有のビールをケルシュと呼ぶ。
ケルンには23か4のケルシュがあり、それぞれ味が違う。 
因みに上記写真はギルデン・ケルシュ。日本ではあまり流通していない。

【雑感】ドイツでの宿泊はケルン郊外にある一般住宅、義従姪(便宜上、姪っ子と呼ぶ)の彼氏の実家H氏の家である。H氏一家は暖かく明るく歓迎してくれた。

 連れ合いのプッシュがあったとはいえ、ずーずーしくもドイツ行きに同行した私、何しろ連れ合いの立場に照らし合わせて考えれば、私の従弟の娘の彼氏の実家の家に押しかけて飲んで食ってするようなものだからである。
 逆に、もし姪っ子がドイツの彼氏と正式に所帯を持ったら、遠縁とはいえ私はドイツ人と縁続きとなる。

 さて、姪っ子家族の目的はドイツに住む姪っ子の様子を見に行く事とお世話になったドイツの関係者にお礼回りをする事なのだが、私の第一目的はビールである。
 事前に姪っ子とその彼氏が根回ししてくれたのか、H氏は様々な銘柄のビールを用意してくれていた。ケルシュだけでも数銘柄、さらにピルスナーやバイツェンも沢山、ありがたい話である。
 土地のビールが巾を利かせて他の地方のビールは手に入らないと思っていたが、近くの酒屋でけっこう様々な種類のビールを置いている。大晦日の朝、H氏の家の近所にある酒屋へ買い出しに行ったら、ミュンヘンのバイエルン地方からケルンのラインラント地方やハンザ・ブレーメン地方に東部のザクセン、さらにチェコのビールまで置いていた。しかも見た事の無いビールが沢山あったのは嬉しい。

 とはいえ、ここはケルンなのでケルシュと呼ばれる種類のビールは是非飲みたいビールである。バイエルンの濃いビールやドイツ北部の苦いピルスナーを連想する方々には薄味に思えるかもしれない。ドイツビールの中では淡麗の部類だ。
 上記写真のように、小ぶりで長細い円筒形のグラスで飲むのが流儀だ。日本ではビールの種類に合わせてグラスやジョッキを変える事はしないが、ドイツではビールを注ぐ容器にこだわる。

エルディンガー。
バイツェン用はグラスが大きくドッシリしている。
これ以外にも真ん中あたりがくびれているグラスもある。

 姪っ子の父親、つまり義従兄がつい日本の習慣でH氏が手に持っていたバイツェン用の大きなグラスにケルシュを注ぎ足そうとしたら、H氏は顔を顰めて「ネネネネネ!」(余談1)、わざわざケルシュ用のグラスを持ってきて大袈裟な身振りで「そいつはこいつに入れろ」と示し、続けてH氏はビールの種類によって入れ方が違う事も実演して見せた。

 そういえば、ケルシュといえば日本ではドムが一番有名でよく流通しているが、H氏の家には置いていなかった。ケルン大聖堂のシルエットに大きく「DOM」と書くラベルを見た事のあるビール好きは少なくないだろう。日本ではドムがケルシュの代名詞みたいなものになっている。ただ、私はこのドムはあまり美味いと思ったことは無かった。残念ながらドムより美味い日本のビールがあると思ったくらいだ。
 H氏にドムの話題を振ってみた。H氏は「ドム」という単語を耳にすると顔をしわくちゃにして横へ「ペッ」と吐くジェスチャーをした。H氏もあまり好きではないのだ。(余談2)
 私が一番気に入ったケルシュは、ケルシュの中でも苦みが強いガッフェル・ケルシュ、どうやらH氏も同意見のようだった。さらにH氏と私の生まれた月と日が同じと知って固い握手をした。

 ところでケルシュを知らない人のために説明すると、見た目は日本でもありふれたピルスナーに見えるが、製法が違う。上面発酵用の酵母で低温発酵させる独特の作り方。しかもケルンで認定された23(24かもしれない)の醸造所が作るケルシュしか「ケルシュ」を名乗ることを許されていない。
 つまり、日本の地ビールが作るケルシュはあくまで「ケルシュタイプ」と言わなければならないのだ。

(余談1)「Uボート」で見張りに立っていた水兵があくびをした時とか、次席士官が首席士官の悪口を言った時に艦長が「ナナナ」と注意する場面がある。Nein(ナイン)の変形か省略の言葉らしい。日本語で近いニュアンスの言葉なら「こらこらこら」「だめだめだめ」に相当する。
 しかし「Uボート」の艦長の台詞では「ナナナ」に聞こえたのだが、H氏たちは「ネネネ」に聞こえた。方言だろうか?

(余談2)当然のことながら、私のドイツ語会話能力はゼロに等しい。なので、姪っ子と日本語が達者な彼氏が通訳する。後で聞いた話では、義従兄も私も話題がマニアックなので姪っ子と彼氏は非常に疲れたそうである。


 
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あわぢびーる。 ビールは偉大な発酵食品だ[四十二]

あわぢびーるを飲んだ。

あわぢびーる。

【雑感】今年のお盆も例年通り本籍地母屋の草刈と剪定作業のため帰省した。

 ただ、今年の場合は観光目的をいつもより盛り込んだ。連れ合いが文句を言いだしたのである。私は車の運転ができないため連れ合いが独りでハンドルを握る。田舎の家に着くと、家屋の清掃と庭の草刈と剪定作業、畑の酢橘の収穫など、およそ休日を楽しむために帰省するのではなく、本籍地の家屋を維持管理のための野良仕事をしに帰るのである。田舎に仕事があれば私一人だけでも「単身赴任」の形で転職して管理したいくらいなのだが、残念ながら転職先は見つからない。

 「観光をしたい」という連れ合いの要望を叶えるべく、スケジュールに高知の観光地巡りを入れるのだが、郷里近くの龍河洞や高知市内の「日曜市」や桂浜や坂本龍馬関連の名所などはあらかた訪問した。連れ合いは四万十川を観たいと言い続けてきたのだが、日程を考えるとどうしても高知市より西へ遠出するのは困難。
 よって妥協策として大阪への帰路で一泊して身体を休めてもらう事にした。今年は淡路島の南にある国民休暇村に一泊した。ここには温泉があるので、温泉好きの連れ合いにゆったり休息をとってもらおうという趣向である。

 休暇村南淡路は厚生労働省監督下の財団法人が経営しているようだ。偏見から設備は古くて食事の内容が悪いと思っていたら、清潔で真新しい宿で食事も豪華な気分にさせてくれるものだった。食材にうるさい連れ合いも満足していた。食事の後はちょっとしたお勉強イベントがあって、この日は海ボタルの観察や天体観測(天体観測は雨天のため星座のスライドショーに変更)がある。私たちのように小さな子供を持つ家庭ではありがたい。(余談1)

 私はいつもの悪い癖が出て、休暇村がオプションで提供しているビール飲み放題を注文してしまった。たしか1時間で1300円程度だったか、元を取るべくキリンの一番搾りの生らしきビールを何杯もおかわりした。食事はバイキング形式なので、御飯モノは避けて刺身や天婦羅ばかりを食べた。連れ合いは途中で呆れて3歳児の息子を連れて部屋へ帰って行った。
 元は取れたと思うが、大量に飲みすぎたため気分が悪くなり、便所でしばらく避難した。幸いにも吐く事はなかった。御飯モノを避けたのはなかなかの策だったが、天婦羅が良くなかった。刺身に絞るべきだった。
 そんな事を呟くと、連れ合いが「アホやアホや」と囃し立て、息子も連れ合いの真似して追従する。


 さて、本題の「あわぢびーる」である。翌朝、1階のラウンジに降りると「あわぢびーる」の幟を立てていたので注文した。残念ながら前日のキリンビールが響いてビールを美味しくいただく事ができなかった。
 しかし逆にだからこそ喉の渇きに惑わされずに真の味を見極める事ができるとも言えなくもない。

 これは上記写真の通りピルスナータイプである。あわぢびーるは名前の通り淡路島の地ビールであり、ヴァイツェンやアルトなども生産している地ビールメーカーである。
 私としては色の濃いアルトを置いてほしかった。というのも、ドイツではピルスナーであっても個性豊かなのだが、日本の地ビールのピルスナーはどういう訳か味も香りも似たり寄ったりなのである。しかも大手のビールメーカーもプレミアムビールと称して本格的なピルスナータイプのビールを発表するようになった。もはや地ビール業界は大手との違いを強調するためにピルスナー以外のビールに力を入れた方が良いと思うのだ。この休暇村もピルスナーよりアルトを置くべきだった。

 確かに前夜に飲んだキリンビールよりホップの芳香を強く感じたのだが、値段では圧倒的にキリンが安いのだ。このあわぢびーるは小瓶一本620円で売っていた。ところが、前夜のキリンの生のドリンクバーでは30分で650円飲み放題。サントリーのプレミアムモルツも500ミリ缶で300円前後。
 やはり地ビールを飲もうという人間は大手のビールとは違う趣向を楽しみたくて飲む人が多いのだから、ピルスナーでは割高感を抱いてしまうだろう。よほどのビール通でなければピルスナー同士の味の見分けは難しい。私の場合、ヱビスやプレミアムモルツとアサヒスーパードライの違いぐらいは判るが、サッポロ黒ラベルとスーパードライの違いはイマイチ判らない。

 それからもう一つ注文を付けるならば、専用グラスを用意してほしかった。欲をいえばスニフターやゴブレット、せめて上記写真のグラスに「あわぢびーる」のロゴマークを印刷したグラスであれば、前夜の暴飲ダメージを受けた肝臓の影響で味覚が弱っていても、視覚で味わえる。
 味というのは舌だけで感じるものではない。視覚でも味わうのだ。北海道で食べるジンギスカンが大阪で食べるものより美味く感じるのはそのためだ。

(余談1)海ホタルの観察会は女性職員が講師を務めた。20代とおぼしき容姿端麗、写真を撮りたかったが昨今は肖像権や個人情報が厳しいので断念。


 
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