晴雨堂の耕晴雨読な映画処方箋
 晴雨堂ミカエルの飄々とした耕晴雨読な映画処方箋。  体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。

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晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 映画好き・猫好き・ドイツビール好きです。よく晴れた爽やかな日はマウンテンバイクでサイクリングをしながら風景や野良猫を撮影します。
 リタイア後は田舎に帰り、晴天は畑仕事や庭いじり、雨天は読書や映画鑑賞の文字通り耕晴雨読の日々をおくるのが夢です。
 お金があれば郷里に「晴雨堂オタク記念館」を設立して地元の文化交流の発信基地にしたい、連れ合いは怒るだろうが。館長に任命してやるといったら言下に断られた。
 
 ブログを始めたのは2007年5月から、本格的に参考書に目を通しながら運営を始めたのは同年11月から、操作方法で度々ミスがあると思いますがご容赦のほど願います。
 現在、少しずつですがブログを観やすいよう整理を行なっています。


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2007年10月29日設置

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晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
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「スパイ・ゾルゲ」-気晴らしに観るゴージャス活劇 8
【2008/02/10 11:36】 映画・・気晴らしに観るゴージャス活劇
監督の優柔不断が反映した作品
 
 

 
 太平洋戦争前夜の日本で暗躍した諜報員ゾルゲ(余談1)をどのように評価するのか定まっておらず、しかも評価の視点は直接現在の日本における政治的立場につながるため、製作者や監督は余程の覚悟をもって独裁を敷かなければ作品として曖昧になる危険がある。
 
 リヒャルト=ゾルゲという素材自体は非常に面白いので、ハリウッドがつくればもっと面白いスパイ映画になっただろうし、日本単独ではなくドイツやロシアをまじえた数カ国による合作なら重厚なスパイ・サスペンスに仕立てることができただろう。もっとも、世界の映画産業の中心は米・独・仏・英・伊なので、篠田監督に国際的名声と政治力が必要になるが。
 
 各々の場面を切り取ってみれば、監督・スタッフ・俳優の気合の入れ方が伝わってくる。CGで再現した東京や上海などの街並み、衣装や小さな小道具にいたるまで行き届いた時代考証、本木雅弘氏の尾崎ぶり、榎木孝明氏の近衛総理ぶりも及第点だった。(余談2)
 それだけに、まず台詞の使用言語が日本語・中国語・英語の三ヶ国語というのは勿体無かった。英語を喋るスターリンやドイツ大使館員たちでは調子が狂う。いっそハリウッド流に全編日本語にしてしまっても良かったかもしれない。あそこまでこだわって何故?という思いを抱いたファンも多いだろう。
 また、実際のゾルゲ諜報団は容易にゾルゲには辿り着けないよう工夫したネットワークを形成していたのだが、物語を解りやすくしたかったのかその辺りの描写は無かった。特高の捜査描写も無い。(その割りには長い映画だが)
 
 ゾルゲを基軸とした太平洋戦争前夜の歴史絵巻とみるべきか、ゾルゲに振り回され翻弄された人々の悲哀を描いた大河ドラマか、いろんな観方はできると思う。ただ、警戒していた通り、肝心の主人公であるゾルゲ像が曖昧のまま終わり、監督がマスコミ向けに語った平和とか反戦のメッセージとは逆に、所詮は世の中虚無でしかないということを言いたいのではないかと解釈されかねない。
 結局、篠田監督は詰めで独裁を敷けなかったようだ。気合だけが空回りした作品である。
 
(余談1)ソ連のスパイ。ナチ党員のドイツの新聞記者として来日。諜報活動にあたっては、日本の文化や風俗などから徹底的に調べ上げていた。たぶん、文化人類学か民族学・民俗学の学位が取れるくらいの研究を短時間で行っている。ただ、日本は嫌いで軽蔑していたようだ。だとすれば、ビジネスマンの鑑ともいえる。日本はどの分野でも逆の事をしてよく失敗をする。
  
(余談2)三十八式小銃の実弾とそのパッケージのアップは「おお!」と声をあげかけた。実弾を「実包」と言ったのも良い。小さなところで間違いをおかす映画は少なくないので好感が持てる。特高警察の拷問もリアル。
 なのに、兵卒の中で髪の毛が耳にかかりそうな辺りまで伸ばした者がいた。上官のビンタを食らう前に髪を刈るだろうから、あれはありえない。外地の前線ならいざ知らず、内地では少しでも服装等違えると鉄拳制裁の対象になる。
 それから、気合の入ったCGではあるが、もう少し技術的な進歩が必要だろう。リアルなようで、おもちゃっぽく見える。
 

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「ブラッドレイン」-気晴らしに観るゴージャス活劇 7
【2008/02/09 19:18】 映画・・気晴らしに観るゴージャス活劇
ベン=キングズレー氏が悪役に・・。
 
 

 
 「ターミネーター3」でジョン=コナーを追い詰める女ターミネーター役で勇名を馳せたクリスタナ=ローケン氏がDVDパッケージを飾っていたので目立たなかったが、なんと悪役には「ガンジー」でアカデミー賞をとった英国の名優ベン=キングズレー卿が扮していた。(余談1)
 
 作品としては、良いところは幾つかあった。中世ヨーロッパの面影を強く残す風景に17世紀後期か18世紀かわからない装束、吸血鬼にマッチした舞台設定である。(余談2)
 ベン=キングズレー氏の不気味でゴージャスな悪の帝王ぶりも作品全体の雰囲気を支えている。
 
 この映画の目的は「あずみ」と同種である。クリスタナ=ローケン氏の力強くてしなやかなチャンバラアクションを愛でる娯楽大作である。そのための舞台設定であり映画といっても言い過ぎではない。
 しかしチャンバラアクションでは、「キング・アーサー」のキーナ=ナイトレイ氏のほうが迫力と美しさがあるし、それに全体的にスローでドン臭くイマイチ強さを感じられない。
 
 クリスタナ=ローケン氏はもう少しだけ肩に筋肉をつけて体脂肪を減らして丸みを減らしたほう(減らしすぎると女性的魅力が無くなる)が良かった。さらに彼女の強靭さとしなやかさをアピールするために、コスチュームの露出度を大きくしても良かったのではないか?
 あまり露出度を上げすぎるとお色気が主軸になるので、上半身をビキニスタイルにして胸を豊かに強調し鍛えた僧坊筋と広背筋を見せるくらいが妥当と思う。
 
(余談1)「卿」を付けたのは、彼はサーの称号を得ているから。つまり大雑把に日本の芸能界で例えると、文藝大作に主演をはる重厚な文化勲章俳優がお色気アクション映画に出演して、女性をてごめにしたり女剣士とチャンバラをする場面を演じるほどのインパクトがある。もちろん、日本の芸能界事情とは異なるので一概には言えないが。
 ベン=キングズレー氏といえば、私は「ガンジー」のガンジー役か、「アンネ・フランク」の父親役のイメージが強い。
 
(余談2)やはりバンパイアは中世の城とバロックから19世紀頃までの風俗がよく似合う。
 映画の舞台設定なら、フリントロック銃(百円ライターと同じ原理で火蓋を切る銃で火縄銃より進歩した形式。形状は今のライフルと同じだが、弾は球状で先込め式なので基本的な操作は火縄銃と同じ)が使用されてもいいのに、飛び道具は弓矢とボーガンだけだ。
 

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「黒いチューリップ」-気晴らしに観るゴージャス活劇 6
【2008/01/12 20:56】 映画・・気晴らしに観るゴージャス活劇
痛快フランス時代劇
 
 

 
 アランドロンといえば「怪傑ゾロ」があまりに有名だが、ゾロより10年ほど前に主演した同様趣旨の時代活劇がこの「黒いチューリップ」である。(余談1)ゾロでは中年の渋さが出ているアランドロン氏だが、この作品では初々しい白面の青年である。
 
 「ゾロ」では昼行灯の総督役と凛々しいゾロとの演じ分けが見ものだったが、「黒いチューリップ」では完全に2人二役である。世間慣れした兄と些か覚束ない弟の演じ分けが見どころだろう。
 誰にでも楽しめるチャンバラ痛快時代劇だが、ラストの捻りが良い。ハッピーエンドでもあるし悲劇でもある。主人公はヒロインに悲劇を悟られないよう物語を終えたことが印象に残っている。
 
監督 クリスチャン=ジャック
脚本 アンリ・ジャンソン 、クリスチャン・ジャック
アランドロン(黒いチューリップ)
ドーン・アダムス(−)
ヴィルナ・リージ(−)
 
(余談1)黒いチューリップは、「ガンダム」の富野氏が采配をふるったアニメ「ラ・セーヌの星」にも登場する。リボンの騎士ばりの女義賊ラ・セーヌの星を助ける先輩義賊・黒いチューリップである。
 また「ベルサイユのばら」でも義賊「黒い騎士」が登場する。「怪傑ゾロ」がキャラのルーツだと思ったが、連載時期はアランドロン氏の「怪傑ゾロ」が公開される前であるし舞台はアメリカのスペイン植民地だ。「黒いチューリップ」を観てからはこれがキャラの元と考えるのが自然だろう。
 こうしてみると、「怪傑ゾロ」に隠れて殆ど忘れ去られている感のある「黒いチューリップ」だが、日本の漫画・アニメ界に大きな影響を与えている。
 
 「黒いチューリップ」という小説がある。作者は「岩窟王」「ダルタニアン物語」「三銃士」で有名なフランスの小説家デュマだが、内容はたしか新種のチューリップ球根をめぐる陰謀サスペンスで、義賊モノとは関係なさそうだ。
 フランスでの「黒いチューリップ」への認識はどうなんだろうか?
 
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「ゴルゴ13」-気晴らしに観るゴージャス活劇 5
【2008/01/08 00:14】 映画・・気晴らしに観るゴージャス活劇
高倉健氏がモデルと言われているが。



(未DVD化)
 
 高倉健氏がゴルゴ13のモデルというのは有名な話だが、いざ演じてもらうとイメージが全く違う。私が初めて観たのは小学生の頃だが、当時でもすでに高倉健氏の線の細さが気になってしまった。
 
 いまやゴルゴ13は超大国アメリカでさえも腫れ物に触るように接する恐怖の大天使のような存在だ。ゴルゴに睨まれたら、アメリカやロシアといえども慌てて平身低頭に取繕う。高倉健氏には演じ切れない存在になった。
 
 監督の佐藤純彌氏は過酷な地での撮影がけっこう多い。「植村直己物語」では雪原や雪山での撮影、「敦煌」では砂漠にオープンセットを造っての撮影、この作品はイランでの海外ロケ。既に他のレビュアー氏が記してあるが、パーレビー国王時代にイラン人俳優たちらと一緒にロケーションをやった貴重な映画だ。今では実現は難しいし、今後も無理だろう。
 
 しかしながら、作品全体にはダイナミックさや迫力にかけるものになった。イランのお国柄、初期のゴルゴに毎回登場するお色気場面が撮れないのだから、何かで埋め合わせがほしかった。たとえば、日本語吹替えをやめて全てペルシャ語台詞の日本語字幕にし、高倉健氏にもペルシャ語を話させたら、少しはゴルゴ13らしい世界観が出たと思うのだが、詰めが甘い映画だった。(余談1)
 
 ただ、後に製作された千葉真一氏の「九竜の首」アニメの「ゴルゴ13」「QUEEN BEE」を観ると、やはりこの映画が一番マシだったかな。(余談2)
 
1973年 日本映画 104分
監督 佐藤純彌
原作 さいとう・たかを
音楽 木下忠司
脚本 さいとう・たかを 、K・元美津
高倉健ゴルゴ13
プリ・バナイ(−)
モセネ・ソーラビイ(−)
 
(余談1)ゴルゴ13というキャラの魅力の一つに語学堪能がある。多くの言語を母語のように流暢に操るだけでなく、同じ英語でもクィーンズ・イングリッシュなど方言まで使い分けられる。
 だから日本語吹替えにしてほしくなかった。後に高倉健氏は「ブラックレイン」で英語台詞で出演したことを考えると、この作品ではもっと若かったのでペルシャ語台詞ぐらい話してほしかったし、発音がまずければ声が似たイラン人の声優に吹替えるという手があった。
 ともかく、せっかくイランまでロケしながら、肝心なところでゴルゴの醍醐味を損なうのは非常に勿体無い。

(余談2)あの映画、観るまでは期待していた。というのも千葉真一氏は当時の憧れの俳優であり、体格が漫画のゴルゴ13に近かったからだ。期待は見事に裏切られた。アクション・コメディーとして観る事を勧める。

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「ジェヴォーダンの獣」-気晴らしに観るゴージャス活劇 4
【2008/01/04 18:58】 映画・・気晴らしに観るゴージャス活劇
様々な素材が盛り沢山のフランス時代劇。
 
 
 
 
 史実のジェヴォーダン事件(余談1)を取り上げた作品。ヴァンサン=カッセル氏が出演していたので観た。
 
 フランスでは大人気だそうだが、日本ではウケないだろう。色んな要素を楽しめる映画だが、逆に様々な要素が有り過ぎてまとまりの無い映画だと観る人も多いと思う。特にフランス史を知らない人間にとっては、もっとシンプルな物語のほうが判り良いからだ。
 
 「ジョーズ」を彷佛させる場面あり、香港風のアクションあり、チャンバラあり、銃撃戦あり、ミステリーあり、ポルノチックなお色気あり、宗教問題あり、革命あり。(余談2)
 結局、オチは無難な「学説」に沿ったものに終わって、私は些か不満だった。
 
 もしアメリカなら、B級ホラー作品にして判りやすく狼男を登場させ、時代背景は省略してシンプルに主人公との格闘をメインに構成するだろう。
 B級ミステリー作品なら狼男に変装した変質者にする。ヴァンサン=カッセル氏はリュック=ベッソン監督「ジャンヌ・ダルク」でジル=ド=レイに扮した。ジル=ド=レイといえば史実ではジャンヌが英国軍に処刑された後、ジャンヌの信奉者だったゆえに傷心の帰国をし、精神に異常をきたして美少年たちを拉致しては虐殺していった。聞くところによれば「青ひげ」のモデルにもなっている説がある。
 だから、キャスト表を観た時、私は狼男=変質者=ヴァンサン=カッセル氏扮を期待していた。しかし、期待は見事に裏切られた。
 
2001年 フランス映画 138分
監督 クリストフ・ガンズ
音楽 ジョセフ・ロドゥカ
脚本 クリストフ・ガンズ 、ステファーヌ・カベル
サミュエル・ル・ビアン(フロンサック)
ヴァンサン・カッセル(ジャン=フランソワ)
モニカ・ベルッチ(シルヴィア)
エミリー・ドゥケンヌ(マリアンヌ)
ジェレミー・レニエ(マルキ・トマ・ダプシェ)
マーク・ダカスコス(マニ)
ジャン・ヤンヌ(−)
ジャン=フランソワ・ステヴナン(−)
ジャック・ペラン(−)
ヨハン・レイセン(−)
エディット・スコブ(−)
 
(余談1)私は名前程度しか知らない。フランスでは非常に有名な猟奇事件であり、日本でも超自然現象や未確認動物に関心のある人なら精細を知っている人もいるだろう。少女や少年ら100人以上が惨殺、狼の仕業とも狼男とも言われているが真相は薮の中。
 ルイ十五世の時代だから、日本では田沼意次の時代、八代将軍吉宗と鬼平犯科帖の間くらい。だから伝説や神話に埋没するには些か「最近」の事件である。

(余談2)学生時代にフランス映画「獣人」という映画を観た。18世紀、ハープシーコードの音色をBGMに熊のような化物が貴婦人をレイプする殆ど面妖なポルノだが、「なんでわざわざ熊を出す発想になるんや?」と不思議でならなかった。後にジェヴォーダン事件の事を知り、着想のルーツはこれだなと納得した。(私の勝手な解釈)
 
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