晴雨堂の耕晴雨読な映画処方箋
 晴雨堂ミカエルの飄々とした耕晴雨読な映画処方箋。  体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。

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晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 映画好き・猫好き・ドイツビール好きです。よく晴れた爽やかな日はマウンテンバイクでサイクリングをしながら風景や野良猫を撮影します。
 リタイア後は田舎に帰り、晴天は畑仕事や庭いじり、雨天は読書や映画鑑賞の文字通り耕晴雨読の日々をおくるのが夢です。
 お金があれば郷里に「晴雨堂オタク記念館」を設立して地元の文化交流の発信基地にしたい、連れ合いは怒るだろうが。館長に任命してやるといったら言下に断られた。
 
 ブログを始めたのは2007年5月から、本格的に参考書に目を通しながら運営を始めたのは同年11月から、操作方法で度々ミスがあると思いますがご容赦のほど願います。
 現在、少しずつですがブログを観やすいよう整理を行なっています。


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2007年10月29日設置

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晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
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「将軍」-
【2008/03/14 19:30】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
中華人民共和国の戦争映画

(未DVD化、但し中国ではディスク化されている有名な作品)
 
[晴雨堂の辛口批評へ・・・]

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「ズール戦争」-
【2008/02/18 14:13】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
大英帝国讃歌の「秀作」
 
 

 
 子供の頃に観たときは、アメリカの戦争映画のような派手さは無いにも関わらず妙に心に迫る説得力を感じたものである。史実を映画化したらしく、実在の人物が登場する。
 一概には言えないが、ハリウッドの戦争映画はとにかく派手に鉄砲や大砲を撃つ。そして敵国がアメリカ軍より装備も数も優れていても、一方的にアメリカ軍の銃火で倒れていく。いかにも撃たれるために突撃したり、撃たれるために馬鹿みたいにボーリングのピンみたいに立っていたり、不自然きわまりない場面の羅列である。
 この映画にも、英軍の銃火器によって一方的に撃たれ倒れるアフリカ先住民ズール族の軍勢が描写されるが、ハリウッドのような意図的な不公平描写ではない。というのも、ズール族側に感情移入しても納得のいく戦術であり、ズール族の戦力を冷静に考えれば、英軍に勝つ戦術はこれが妥当だろうと思う。(余談1)
 
 舞台は南アフリカ。英国の植民地支配がすすむ1870年代。ズール族が周辺部族を併呑して大英帝国に対し蜂起するが、当然のこと?ながらイギリス製作のこの作品にそんな背景描写は無い。
 作中では唐突にズール族が敵に豹変して連隊規模(千数百名)の英軍部隊を壊滅させ、別の砦に立て篭もる主人公ら英軍僅か百名がズール族の攻囲に勇敢な戦いをして守りきる。(余談2)意外にもズール族への露骨な蔑視描写は無い。これはアフリカへの配慮か。
 したがって、観客はほぼ英軍の視点からではあるが純粋にズール族との戦闘描写のみを鑑賞する事になる。子供の頃は英軍側に感情移入して観ていたので、ズール族が不気味な軍勢に思えたものだ。ところが面白いもので、社会問題への関心が強くなった学生の頃に観るとズール族視点に変わっていた。
 
 砦の守備隊を守る英軍百名の指揮官は性格が全く異なる2人の中尉で、最初のころは指揮系統に不協和音が生じる。スタンリー=ベイカー氏扮する中尉は野性味溢れる風貌の工兵隊指揮官。場数を踏んでいそうな物腰で的確に指揮をとるのでズール族との戦闘指揮を執ることになるが、傲慢とも思えるほどクセ者。マイケル=ケイン氏扮する中尉は金髪碧眼の白面、いつも身なり正しい上品な紳士で、もともとの戦闘部隊指揮官。エリート風吹かすと思いきや意外に部下想いで兵達の人望が非常に厚い。
 全く個性が違う2人の指揮官に加えて、アフリカをキリスト教で染めるためにやってきた牧師が砦に駆け込んで、兵士らの指揮を削ぐ説教をしたりと、砦は不安材料を抱える。
 
 対してズール族は大軍であるにも関わらず最初から統制がとれていて、最初は姿を見せずに足音だけで威嚇する。姿を現したら整然とした威嚇ダンスで砦の将兵を心理的に圧迫する。囮部隊に攻撃を仕掛けさせて砦に銃撃をさせて兵力を見切り、英軍から奪った銃で丘の上から砦を射撃させ、本隊は戦闘陣形を組んで巧みに波状攻撃をかける。(余談3)攻撃をかけながら威嚇の歌を合唱する。
 これがアメリカ映画なら、おそらくズール族を数に任せてゾンビみたいに突撃させ、勇気ある英軍将兵が銃弾を雨あられと撃ちまくる場面に終始しただろう。
 
 結局、英軍の獅子奮迅の戦いぶりで砦を守り抜き、大英帝国の面目を守ることでハッピーエンドとなる。ズール族は負けを認め潔く去っていく。イギリスでは溜飲下げる名作だろう。当時の映画としては、先住民と白人をイーブンで描こうとした努力のあとがある。(余談4)
 いま同じテーマで映画を製作したら、たぶん双方の視点で描かなければ世界的世論が納得しない。
  
(余談1)記録によれば、砦に篭城する英軍は一個中隊規模百名ほど、軍服は鮮やかな紅色で武器は一発装填式小銃のみ、基本的にナポレオン時代と変わらない。ズール族は数千人、武器は新石器時代から続く伝統的な木製の盾と槍のみ。
 
(余談2)正確には教会の周りにバリケードを築いた簡単な陣地。
 このズール族は別の戦場で英軍との大規模な戦闘を展開、見事な用兵術で勝利し、英軍は師団規模の増派と機関銃を導入して辛勝、これが英国にとってトラウマとなり、後のアパルトヘイト制導入につながったのではないかとも言われている。
 つまり、大英帝国を局地的であれ最初に打ち負かしたのは、中国やインドでもなく、国民国家になりつつある日本でもなく、木製の槍と盾しかもたない部族ズールである。
  
(余談3)ズール族は、中央の部隊が敵主力の注意を引きつけている間に、両翼の部隊が側面へ回り込み攻囲して打撃、さらに後方の予備隊を中央に投入して殲滅。鶴翼の陣に似ている。
 
(余談4)監督のサイ=エンドフィールド氏はチャップリンと同じくアメリカのレッドパージで追われた人物、だからハリウッドの娯楽西部劇とは違って敵味方をイーブンで描いたのか。
 


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「キング・アーサー」-気晴らしに観る戦争活劇 14
【2008/02/05 12:18】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
歴史ファンには興味深い作品
 
 

 
 一応スペクタクル時代劇だが、これまでの「ベン・ハー」「スパルタカス」「エル・シド」「ブレイブハート」など、過去の大合戦劇に比べて特にスバ抜けて迫力がある訳ではない。
 また従来の「アーサー王」モノと違って魔法やエクスカリバーが登場するヒロイックファンタジーでもない。だから、物足りなさを感じた人は大勢いたと思う。特に「ロード・オブ・ザ・リング」のような雰囲気を期待していた人には裏切られた感を持ったかもしれない。
 
 歴史ファンには興味深い映画である。ローマ史劇は数多く製作されているが、殆どが紀元前1世紀のシーザーの時代から紀元後2世紀の「グラディエーター」の時代までである。ゲルマン民族の大移動時の4世紀から6世紀にかけてのヨーロッパを舞台にした映画は日本ではお目にかかれない。(余談1)
 
 ハドリアヌスの長城がCG無しに復元、入浴の習慣が無くなった頃のローマ人の中世ぽい不潔さ、4世紀から5世紀にかけてのローマ軍の軍装、ウォードたちが話すケルト語? 1世紀のローマ軍と戦ったブリテン島の女王ボウディッカを彷彿させるキーラ=ナイトレイ氏、当時のゲルマン人の姿を再現したサクソン人たち。(余談2)
 当時のキリスト教内部の対立、被支配民族ケルトと支配民族のローマ人、新たな支配者のゲルマン支族サクソン人の関係。歴史好きには面白い時代である。
 ここまで金をかけてセットを組んだのなら、もっと踏み込んで、主人公のアーサー達はラテン語台詞を、ヘンドリックはドイツ語発音まるだしの古代英語で全編通して欲しかった。また、ラストのお涙頂戴シーンは平凡すぎて感動できない。もう少し民族問題を明確にして欲しいところだ。でないとアーサー王誕生がイマイチ判りづらいかもしれない。
 
 アーサー王の伝説も、もともとは中世の話ではなく、5世紀にブリテンからローマ軍が撤退したあと、ローマ化した原住民たちが次々と来襲するサクソン人らに抵抗した物語が元になっている説が有力になりつつある。
 
(余談1)学校の世界史の授業では5世紀末にゲルマン人によって西ローマ帝国が滅ぼされたことになっている。しかし実際はローマ帝国の国会にあたる元老院は6世紀まで存続していた。
 その頃までは大量の記録文書を作成していたはずだが、ゲルマン人の略奪などで散逸して殆どが消滅。中世暗黒時代の到来である。したがって、この時代の情報量は少ない。

(余談2)ハドリアヌス帝はスコットランドとイングランドの国境線辺りに万里の長城のミニサイズのような城壁を造った。
 3世紀のカラカラ帝の大浴場が示すように、ローマ人は入浴好き温泉好きだったが、4世紀にキリスト教がローマ帝国を支配するにつれて肌を見せない習慣が定着し、それとともに3世紀後半には入浴も廃れた。
 「ベン・ハー」などに登場するローマ軍は四角い盾をもっているが、4世紀以降は丸い盾に十字にギリシャ語で救世主を表す文字を書く。冒頭の場面で出てくるローマ軍兵士が持っている盾がそれである。
 確認はしていないが、ケルト族の風習で戦で青い化粧をほどこすのがあるそうだ。「ブレイブハート」でも主人公ウォレス達が顔に青い化粧を塗っている。ブリタニアの女王ボウディッカは2世紀の歴史家タキトスの著作に登場。
 
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「忠臣蔵 1/47」-気晴らしに観る戦争活劇
【2008/02/04 13:58】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
監督は何を考えている?



 
 キムタクこと木村拓哉氏が堀部安兵衛役で主演、城代家老大石内蔵助役に佐藤浩市氏、浅野内匠頭役には堤真一氏が扮している。
 あくまで私見だが、このTVが製作された当時はまだ時代劇沈滞の時期であり、若年視聴者に「迎合」したつもりで演出した結果、へんてこな所作のキムタク堀部安兵衛になってしまったのではないか?(余談1)
 時代劇を知らない視聴者には特に違和感が無かったようだが、昔から忠臣蔵モノを観ている人々には観るに堪えないドラマになった。
 
 堀部安兵衛のキャラは基本的には良かった。理の無い綺麗事やプライドばかりにこだわる藩士らに比べて損得勘定ができる冷静さがあり、合理的な意見を堂々と述べる。それだけにキムタクのアイドルとしてのキャラと組み合わされば、もっと魅力的な堀部安兵衛になったと思う。(余談2)
 
 やはり、物語の雰囲気を壊しているのは所作だ。佐藤浩市氏扮する筆頭家老大石に向かってタメ口を吐く。いくら小さな藩とはいえ、家老、それも筆頭家老は「赤穂王国」の総理大臣みたいな雲上人である。さらに、藩主の奥方に向かって跪かず仁王立ちでタメ口、まったくありえない話だ。無礼だけではすまない。
 視聴率を気にして、若者へのウケを狙った皮算用でそんな演出にしたのだろうが、ナンセンスである。このドラマ放送の2年後に「たそがれ清兵衛」が大好評となる。作品作りは興行も考えて視聴者の視点も考慮しなければならないが、下手に迎合するべきではない。
  
(余談1)このドラマを思い浮かべながら「武士の一分」を観ると、いっそう新鮮さが増すだろう。私の観立ては、あながち誤りではなかった。
 

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「あずみ」-気晴らしに観る戦争活劇 12
【2008/02/02 07:33】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
上戸彩の華麗な殺陣
 
 

 
 結論からいうと、上戸彩氏のチャンバラアクションは成功だ。この映画時代劇ではない。華奢でボーイッシュの上戸彩氏が「美しく」太刀を振り回す様を鑑賞するための映画である。それ以外を求めるのは野暮だろう。
 時代考証も物語の設定も看過すべきだ。これを問題にしたら「赤影」も「変身忍者アラシ」も「風雲ライオン丸」もレッドカードだろう。
 
 僅かながら感心する場面がある。北村一輝氏の茶筅髷が良く似合っているし、馬上で短筒を構えるシーンも格好いい。毒を塗った手裏剣に腕をやられ、ジワジワ弱って死んでいく同僚忍者の様がリアリティある。オダギリジョー氏の怪演も素敵だ。死屍累々に地面に血糊が染込んでいる様もリアルだし、セット担当者やエキストラの努力に敬意を表する。
 上戸彩氏の殺陣もなかなか綺麗だ。きっとダンスの練習をしたのだろう。少なくとも、大河ドラマ「新選組!」の沖田総司役の藤原竜也氏よりは上手い。
 
 ただ、どうしても納得がいかない場面がある。せっかく育てた忍者を仲間同士で殺し合いをさせて最強を選抜するのは、どう考えても戦力の損失であり、戦略戦術として最低最悪、愚かの極地だ。
 娯楽アクションにナンセンスな思想をもっともらしく入れるのは良くない。ナンセンスギャグとして観客が捉えていれば良いが、一見シリアスな映画の効果で本気で考える人間が出てくるかもしれない。(余談1)
 
(余談1)現実に日本は合理主義のアメリカに敗北している。日本軍はコストのかかるメカを開発したり、「名人」を育てるのに気をとられていたが、アメリカは平均点の取れる兵員を大量育成し不足は低コストの平均点メカを大量生産することで補った。
 戦後、日本は平均点主義で復興したが、今またバランスが崩れている。
 

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